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ソレア心理カウンセリングセンター

2020.05.18(更新日:2020/10/08)  |愛着とトラウマ(虐待)

毒親カウンセリング3つのヒント~毒親ですらなかった【愛着の悩み】



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・大人になっても生きづらい、原因はいろいろと思うが、毒親が原因か?
・毒親から解放され、自分を取り戻すにはどうしたらいいの?
・毒親育ちのアダルトチルドレンの私、回復するのでしょうか





毒親の定義は定まっているわけではありませんが、【子どもをコントロールする親】と考えていいでしょう。しかし自分の親が、その毒親ですらなかったという絶望に気がつく人々がいます。彼らは愛着障害という生き方を背負っています。そうなんです、毒親という言葉の裏側には【愛着の悩み】が根深く隠されているのです。





毒親というと、アダルトチルドレン(AC)という言葉が浮かびます。切っても切れない関係ですね。そのACという人々の集団の一部に、この愛着障害を生きる集団の人々がいます。この記事は、毒親の深層部に横たわっている愛着問題にフォーカスしています。そのとき、あなたは「うちの親は毒親ですらなかった」ことに気がつくでしょう。





この「毒親ですらなかった」という絶望が、希望に変わるときは来ます。それがこの記事には書かれています。これから愛着障害からの回復するための3つのヒントを解説します。これらによって「毒親の子ども」というポジションから卒業していけるでしょう。臨床心理士がお伝えするこの知恵は、のべ2万人の悩みを聴くなかで学んだものです。その3つのヒントとは、





  • 愛着の回復
  • 安全感の回復
  • 何重にも守られた関係性―子ども、パートナー、カウンセラー




これらの回復を知る前に、毒親という言葉についての理解を深めましょう。





■毒になる親





Mother and baby, hand and hand
子どもは養育者を求めています




スーザン・フォワードによるこの本は、ACが注目されるきっかけになった記念碑的な本です。彼女自身も毒親に育てられたことがこの本で告白されています。この本をきっかけに、機能不全家族という概念が提出されたことは、大きな功績でもありました。精神科医の斉藤学先生の業績です。





ボウルビィの愛着研究(*1)と、ハーマンの心的外傷と回復(*2)、そして毒になる親(*3)は、私の中では密接につながっていて、今の自分の臨床面接の中軸であることには変わりはありません。これらは私だけでなく、多くの臨床家を動かし続けてきた研究です。これらの研究の導きがなければ私のカウンセリングは暗礁に乗り上げていたでしょう。





毒になる親(Toxic Parents)、略して毒親ですが、この言葉も定着しました。今はこの言葉が氾濫してしまい、毒親でないはずの親にも毒親というネーミングが付いたりしています。このへんは発達障害とラベルするのと似ているようですね。ネット社会の不確実な情報がまん延している影響ともいえるかもしれません。





毒親という言葉をどういう親に対して使うのか、そういうことを注意深く定義しておかないといけないのでしょう。常にカウンセラーはそのことを意識しているべきです。そして、その言葉を使わなくても、この人の親は毒親だな、この人の親は違うな、そのようにこころの中で判断をしていけるようになると、見立てが確実に立てられるようになります。





さてスーザンの親は、どうだったのでしょう。彼女は自分を振り返りながらこの本を書いたと思います。しかし自分とは違うジャンルの人まで含めてしまっているように思います。そのため、その後、世に出た「AC(Adult Children)」という言葉の定義が非常に曖昧になってしまいました。もっと彼女自身のことにフォーカスすればよかったのにと思います。そうすると、愛着の問題が大きく浮上したでしょう。ACの定義も、もっと限定されたものになったでしょう。





この曖昧さはBPD(境界性パーソナリティ障害)の曖昧さにも通じ、また愛着障害の曖昧さにもつながってしまいました。境界性パーソナリティ障害で著名な先生、愛着障害で著名な先生、彼らの書く本の内容は、外してはいないけれど、どうにでも取れるという記述も少なくありません。これらは不幸なことだったと思います。そんな背景を思いつつ、これからは愛着障害について再定義が必要な時期に来ているのでしょう。





◇愛着に関する3つの分類





カウンセリングを行ううえでこの毒親については3つのポイントを明らかにしておくことが必要です。それは、カウンセラーにとってだけでなく、相談に来ている本人にとって、そして親自身にとっても重要なのです。その3つとは、





  • ①愛着障害→毒親です
  • ②愛着不全→毒親とはいいきれないが、子どもはとてもしんどい
  • ③愛着のこじれ→毒親ではありません




ということです。
毒親と言われた親が変わっていけるとしたら、②愛着不全の場合と、③愛着のこじれの場合です。愛着障害の原因になっている親は、残念ながら変化していけそうにありません。なぜなら、その親は、重篤な精神疾患があるか、脳の器質的な問題があるからです。ですから、心理的なアプローチでも、薬物療法でも変わりようがありません。





この3つのことは私が臨床心理士として2万人の話を聴き続けてきた中で、彼らから学ばせてもらったことです。書籍や研修での学びもありますが、実体験の中で得た学びが大きいです。





  • 愛着障害とは養育者との愛着が切断されている状態です。愛着障害と診断される場合はここに入ります。回復の道筋は、この記事の後半で解説します。この場合、養育者は変化しませんので、養育者を乗り越えていくことです。「愛着(絆)はなかった」という事実を受け入れられると、回復はスピードアップします。




  • 愛着不全とは養育者との愛着形成は成されているが、それが不完全だった状態です。キーポイントは愛着は存在しているのです。欠損しているわけではない。ここに希望と絶望があります。希望としては「愛着があった」、絶望としては「それが不完全だった」。この葛藤状態を生きることになるので、地獄のような苦しみの中に放り込まれます。カウンセラーは相談者と一緒にその地獄を体験していくことになります。




  • 愛着のこじれとは、愛着はあるし、普通に育ったという状態です。そうではあるが、なんかぎくしゃくしている、そんな母子関係です。この場合の親は、毒親ではありません。母親も、「自分は毒親かもしれない、どうすればいい?」「毒親にならないためにはどうすれがいい?」と心配している状態です。そのように思う親というのは、元来、毒親からは遠い存在なのです。




異邦人2世という関連記事を書いていますが、その異邦人2世が、この【愛着のこじれ】関係に当たるでしょう。要(かなめ)は、【実は親が被虐者だった】という事実です。
Referenceに引用してある関連記事、藤圭子と宇多田ヒカルの関係 *I)〜*IV) を参照していただくと、宇多田ヒカルがこの「愛着のこじれ」に当たります。この場合、カウンセラーは、相談者の気持ちを整理していくと、回復はスピードアップします。





Colorful cactus
「花束を君に」は、ヒカルが母に捧げた花束です




■愛着の回復【カオナシ】





その人は、最近ご自身でそのように気づいています。カオナシとは、千と千尋の神隠しに出てくる妖怪です。その名の通り、顔がありません。昔風にいうと、のっぺらぼうです。





他人とSNSしていても、向こうが親しくしてきそうなときは、ものすごい早さで、これ以上親しくならないように即効でブロックします。自分の中で急いでその関係を終わらそうとします。





自分気持ちと相手の気持ちが、ちょうど二人の中間地点辺りで話しているときはいいのですが、相手の気持ちが私のほうへ数ミリでも近寄ってしまうと、バランスが崩れてしまい、うろたえてしまうのです。髪型変えたよね、とか、自分に注目されるとダメなんです。注目されたくないんです。相手の意識が自分に向いてほしくないんです。





会社でも、複数の人から言われてきました。





「近づいた関係ができそうになると遠ざかる人だね」
「恋愛はいいけど結婚タイプじゃないね」
「千と千尋の神隠しに出てくるカオナシに似てるね」
「誰とも接せずに一人で生きていくタイプだね」





愛着の苦悩をもった人は、そのように生きている人が多いのです。カオナシとよく言われます。身に覚えのある方もいらっしゃるでしょう。これは他人への(基本的)信頼感が欠如しているためです。恐怖を生きるために、そういう表情のない表情になるのです。





彼らの回復のキーワードは紛れもなく【愛着の回復】です。





カオナシの正体については、ネット上で色々な意見がありますね。宮崎駿監督自身も「誰のこころの中にもいる」と話しています。監督としては、キャラクターに汎用性を持たせたかったのでしょう。心理学的に、愛着の視点からカオナシの行動を観ていくと、カオナシは被虐児と考えると、しっくりきます。私の深読みかもしれませんが。





■安全感=基本的信頼感の回復





人間は、この世界で生きるための基本的信頼感を2歳くらいまでに、養育者の間で構築していきます。そのためには養育者からの働きかけが必要なのです。この信頼感が脆弱だと、世界が怖くて対人関係において親密な関係を作れなくなります。対人恐怖になってしまいます。





信頼関係の構築という体験を幼少期に持たなかった人々は、社会的ネグレクト環境にさらされていたということです。社会的ネグレクトは虐待問題の本質を突くものです。DSM-5で正式に提唱された概念です。これからもっと広がっていくでしょう。





「ママ友と話していて気づいたことがあります。会話をしていて距離が近くなるとワ―と焦って自分で主導権を握って話を終わらせていました。そうやって距離が遠くなるとスッキリしていたのですが、自分の気持ちに、恐怖だけではなく、ものすごい怒りがあることが分かりました。死にそうなくらいイライラしてくるのです。もう無理!となるのです。人と一緒にいることに耐えられなくなるのです。」このように話す人は、安心感のない人です。





愛着の回復とは、安全感、信頼感の回復なのです。では、具体的にそれらの回復を得るにはどのような環境が必要なのでしょうか。それを次で説明します。





■幾重にも守られた環境~毒親からの回復





Anemone fish
何重にも守られて、生命は生きることができます




ある人の語りは続きます。






その怒りは、「親が私を無視してコケにしてきた、許せない!」そういう怒りなのです。外からみると虐待というほどではありません。毒親は罵詈雑言を浴びせたりするわけですが、彼らは心底、私に無関心なんです。毒親とは子どもをコントロールして自分の好きなように、奴隷のように使う親ですが、私の親は、その毒親ですらないのです。
この「毒親ですらなかった」という絶望感に最近気がつきました。毒親だったら良かったのに。






この人は、毒親という言葉に最後の望みを懸けていましたが、それすら無くなってしまったのです。深い絶望の淵に追いやられてしまいました。





この人は社会的ネグレクトのことを話しているのですが、こういう人が回復していくための3番目に必要なポイントは、安全な関係性です。





  • 子どもとの関係
  • パートナーとの関係
  • カウンセラーとの関係




この【2重、3重にも保護された関係性】の中で、ゆっくりと愛着が回復していくのです。





■まとめ





毒親から回復には3つの側面があることをお伝えしました。





  • 愛着の回復、
  • 安全感の回復
  • 何重にも守られた関係性―子ども、パートナー、カウンセラー




順番としては、守られた関係性→安全感の回復→愛着の回復 というふうに進んでいきます。





Reference:





*1)ボウルビィ:I 愛着行動 (母子関係の理論 (1) 新版), 岩崎学術出版社, 1991
*2)ジュディス・L. ハーマン:心的外傷と回復, みすず書房, 1999
*3)スーザン・フォワード: 毒になる親 一生苦しむ子供, 講談社, 2001





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*I) 藤圭子とその娘、宇多田ヒカル~境界に生きる人々(愛着障害) 
*II) 人は愛着を切って死んでいく。残された人は長い喪の作業に赴く。
*III) 宇多田ヒカルと藤圭子の愛着の母子関係【マツコの知らない世界】 
*IV) 被虐者の子どものカウンセリング【宇多田ヒカルと藤圭子の親子関係】





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