【愛着の治癒】自分の色がないカメレオンが見つけた安全基地の作り方|双子自己対象という生き方

Two chameleons おすすめ
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・自分には愛着の問題があると分かってはいるが、改善しない
・安全基地が必要と分かっているが、なかなか作れない。どうすればいい?

愛着障害を含め、愛着に問題のある人が回復していく過程は、安全・安心を作っていく過程であると言ってもいいでしょう。【安全基地を作る】、これが最優先です。しかし、これは一筋縄ではいかない。それを推し進めるものは、【双子】という概念です。この双子を理解するための本は、次の3冊になります。

  • じぶんだけのいろ いろいろ さがした カメレオンの はなし (レオ・レオニ)(*1)
  • 自己の治癒(ハインツ・コフート)(*2)
  • コフート心理学入門(和田秀樹)(*3)

この記事は、のべ2万人余りの悩みを聴き続けている、マインドフルな臨床心理士が学んだことを中心に、最新の知見をお伝えしています。

前半は、カメレオンの話。レオ・レオニの本だけを味わってもらえれば十分です。
後半は、カメレオンの話を心理的に解説した2冊を紹介します。

この記事を読めば愛着の回復のために必要な核心部分が分かります。

  • つまり、安全基地とは何であるのか
  • そしてその作り方はどうすればいいのか

そして、この核心部分の理解は、相談者の方だけでなく治療者にも役にたつものになるでしょう。

■カメレオンは安全基地の作り方を教えている

Two chameleons
You and I will always be alike. ぼくらは いつも 同じさ

次のようなツイートをしています。

レオレオニの絵本【じぶんだけのいろ】人生の一冊としておススメです。
カメレオンは周囲の色で変化するので自分の色がありません。自分の色を探しに旅に出た若いカメレオンが見つけた真実の幸せとは?この絵本、コフートの双子自己対象の話です。涙腺がゆるみます。愛着障害の人はぜひ!

なぜレオ・レオニのカメレオンの本なのか?それは、この本が、愛着に問題のある人の生き方である、【人に合わせる生き方】の全面的な超肯定だからです。じぶんのいろを持たなくていいよ、というメッセージそのものだからです。

ストーリーはとても短い。自分の色を探しに出た若いカメレオンは賢いカメレオンと出会います。そして賢いカメレオンは言います。

「こうやって一緒になっても、ぼくらは行く先々で、まだ色を変えるけど…ぼくらは、いつも同じさ」(you and I will always be alike.)

つまり「一緒に」色を変えること、ここが一番大切だよ、と教えるのです。「一緒にやること」ここが安全基地だと教えているのです。もう少し抽象的に言えば、同じ気持ちを感じているということです。これは母子の関係性そのものと言えますね。情緒交流をしていることと同じです。

一緒に色を変えてもらったことのない愛着に問題のある人は、そう言われても怖いでしょう。それでいいですよ。そのうち、おっかなびっくりでも一緒に変化することを実感していきます。そうやって、一緒に居られるようになります。

でも自分があったほうがいいじゃん、と思う人もいるでしょう。それは愛着がたっぷりある中を育ってきた人ですね。そういう人はちゃんと自分の色を探しましょう。

◇カメレオンとは同じ病理を持った人ではない

「ぼくらはいつも同じ」という言葉ですが、これは同じ病理を持っていることを前提としているわけではありません。同じ愛着に問題のある同士という状況もありますが、このカメレオンは、そこで始終しているわけでありません。同じ境遇の(似たようなダークな部分を持った)者同士の出会いというほうが分かりやすいですが、そういうことではないのです。

  • 人に合わせながら、孤独に生きている人がいる
  • 人に合わせながら、孤独に生きている、もう一人の人がいる(こちらは一歩先を行く人
  • このふたりが出会って、ふたりとも同じ(ダークな部分がある)と知る。
    何が同じか?それは、こころにを持っているということを「分かっていること」が同じなのです。「影(ダーク、シャドー)」というのは、何も愛着問題ばかりではありません。人生の中で様々な影は存在します。その影を知っている。これが同じなのです。
  • と、同時に、2人は同じ気持ちを感じていると知る。
    これは情緒交流をしている母子関係そのものと言えます。社会的ネグレクトではない関係性です。
  • 何も変わってはいないけれど、ふたりなら何とかなる、楽になる

自分と似ている孤独の質を持った人がそばにいるということは、ホッとしますよね。孤独はひとりですが、それでも誰かがそばにいることから、新しい感覚が導き出されてきます。それが「何とかなる」です。何とかなるという感覚は、孤独に生きる人の人生に、プラス方向に作用するでしょう。

この感覚、量子力学の中にも似た現象(クーパーペア)があります。心理学からは離れますので、この記事のラスト「ぶらり、宵まち、さんぽ道(番外編)」で紹介しておきます。

影(ダーク、シャドー)は分かりづらいと思いますが、「磁石の同じ極同士のような抵抗を感じます。しかし同時に、対の極のような吸引力も感じます」そんなふうに表現した方もいらっしゃいました。まさに、影とはそういう存在ですね。

愛着の問題を持って生きてきた人は、このようなカメレオンのような生き方が合っているのです。そのカメレオンの生き方そのものが安全基地になります。それをお伝えしたのが次のツイートです。

愛着障害の人は、カメレオンのように【自分の色】がありません。そのように人に合わせて生きてきたので、自分の色を持てません。ただ合わせるだけ、カメレオンのようです。これはとても生きづらいですが、いつか双子自己対象に出会えば、人生は動き出します。カメレオンとして生きていけるでしょう。
カウンセラーが双子の役割をする場合があります。双子の補助にアニマルセラピーを。つまり動物を飼って育てるのも一つの方法です。

さて、双子自己対象とは何でしょう?

■コフートの双子で、安全基地を作る

Twin baby feet and parents' palms
母の手、父の手、そして双子

精神分析家であるハインツ・コフート の双子自己対象について簡単に説明しておきます。コフートは自己心理学という精神分析の一派を率いていました。精神分析といいながら決定的に違うのは、コフート心理学は【共感の心理学】なのです。

傾聴、受容、共感のロジャーズ(来談者中心主義)に近いのです。ロジャーズと違うのは、もっと積極的に共感するのです。ですから愛着障害(あるいは愛着関連)の治療には最適の技法といえます。

コフート心理学には、3つの自己対象が登場します。

  • 鏡自己対象:この人はどんなことがあっても私の味方でいてくれるという対象、つまり母性です。
  • 理想化自己対象:この人がいれば大丈夫という対象、つまり父性です。
  • 双子自己対象:この人は自分と似ているという対象、つまり親友です。

コフートの本は難解かもしれないので、それを分かりやすく書いた、和田秀樹先生の本(*3)で理解するのもいいでしょう。

◇愛着障害の人は、鏡自己対象(母性)によるケアが欠損しているが…

普通2歳までに獲得するものが基本的信頼感です。この信頼感があることで世界は安全だと知り、世界に出て行く力が付きます。愛着障害の人は、この基本的信頼感が、決定的に、得られなかった人です。この信頼感は、鏡自己対象つまり母性との交流を経て獲得していくものです。ですから、愛着障害の人は、この母性との交流が重要になります。

この母性の次に重要なのが、理想化自己対象つまり父性です。父性が登場するのは、発達心理学上では3歳以降、イヤイヤ期が終わる頃です。学童期に入る頃に父性が登場してきます。学童期は理想に燃える時期ですので、この時期に父性が登場することはなんとなく理解いただけると思います。

こうやって安全基地を作る上では、まず母性、次に父性が重要であることが分かりました。

愛着障害の人は、母性によるケアがはく奪されているため、母性の補充が一番大切になります。しかし実母からそれを得ることができないため、他のもので代理するしかありません。

そこで母性の代わりになるものとして、カウンセラーや友人、学校の先生、図書館の本、パートナーなどが代役を果たします。これらは強力なサポート資源になりますが、母性そのものになるかというと、そう簡単にはいきません。

カウンセラーが安全基地となって愛着障害の人をがっしりと受容して支える「愛着安定化アプローチ」(*5)は、治療者が母性の肩代わりをしていくものです。母性は必要なのですが、本当に実母の肩代わりできるかというと、そんなに簡単なものでもありません。例えば、真夜中の緊急電話に即対応できるか?というと、かなり難しいでしょう。

では、父性はどうでしょうか。こちらも実父の肩代わりですから難しいのです。母性や父性をカウンセラーが肩代わりするのはいいのですが、里親になるくらいの覚悟がいるかもしれません。それは治療者としては役が重すぎるでしょう。

そこで期待されるのが、孤独に楽しく生きているカメレオンの登場です。双子の登場です。親友ですね。時に母性と父性を与えつつ(愛着の安定化)、双子(親友)として接する。
この場合、治療者も、もちろんカメレオンです。カメレオンとして相談者に接するため、治療者には、孤独を楽しめる技術が必要になります。

そうやって、相談者に「孤独は楽しい」という羅針盤を指し示し続けるのです。

岡田先生は、「愛着修復的アプローチ」も提案しています。これは不安定な愛着関係を作ることになった実母(本来の養育者)との関係を修復していくアプローチです。こちらのほうが、より理想的とは言えますが、修復不可能な関係を修復しようとしているため、非現実的なアプローチといえるでしょう。

なぜ実母との関係が修復不可能か、それは実母側に、脳機能の障害があるからです。参考記事をご覧ください。

以上から、愛着安定化をめざした双子的アプローチが最も有効でしょう。

◇どうやったらカメレオンと出会えるのか?

では自分に似ているカメレオンとは、どうやったら出会えるのでしょうか?これは素朴な疑問ですね。

カメレオンと偶然出会えれば、あなたの安定性が増します。そして安全基地がしっかりしますね。またカメレオンとまだ出会っていなくても、あなたの中で、安心感が増してくれば、良い人間を引き寄せることがあります。良い人間関係は、安定しているところの集まりやすいのです。

そして長年自分を縛ってきた足かせが取れて、能力を発揮できることもあります。基本的安心感とは、そんなマジックも引き起こすのです。これによってあなたの人生は完全に改善していくでしょう。

安心感が先か、カメレオンが先か。同時に生じることもあるのです。どちらが先かとは言えません。ただマジックではありませんが、こころが外側へ向かって開放しているとカメレオンも見つけやすくなります▽

【双子のツインカメレオンを見つける条件】オープンでいること

■具体的にどのように安全基地を作っていくか?

安全基地の条件として、岡田尊司先生は次の5つのポイントをあげています(*5)。

  • 安全を保証してもらえる場所
  • 共感してもらえる場所
  • 求めたときにすぐに応じてもらえる場所
  • 対応に一貫性・安定性がある場所
  • 何でも話せる場所

カウンセリングルームの中で、カウンセラーと対話しているときは、この上の条件を満たしているといえるでしょう。ただ、カウンセリングルームを飛び越えて、日常の中でもこのような場所を増やしていけるといいですね。この5つのポイントを集約すると【共感してもらえる場所】ということです。

カウンセリング以外の場所で、カウンセラーとつながっているということも心強いでしょう。例えば、

  • SNS、メール、緊急電話等を、したいときにできる
  • Webサイトが充実しており、担当のカウンセラーの記事がいつでも読める
  • 担当のカウンセラーの著書が手元にある

さきほど、カウンセラー、友人、学校の先生、図書館の本、パートナーが安全基地の代役になり得ると紹介しました。それ以外にも、もっと強力な安全基地があります。それは、

自分の子ども

これは、「子どもを頼りにして、子どもを安全基地にする」という共依存的な話ではありません。これは「やさしさの循環」、つまり相互依存の話と言えます。どのように循環するのかというと、

  • 子どもとの情緒交流を通して、自分がこれまで得られなかった安心感を回復させていく
  • そして、自分の中で育ったホッとした表情を子どもが垣間見ることで、子どもも安定していく

精神科医の高橋和巳先生は、異邦人つまり愛着障害の臨床として大切なものは、積極的傾聴(共感)であるとしています。具体的には、

  • 通常の傾聴に対して、少し積極的にかかわる
  • 相手の感じている心地よさを積極的に拾い上げて、フィードバックしていく

HSPを提唱したE.アーロン博士は、自身の著作 (*6) の中で「HSPは人生の容器が必要である」と言っています。この人生の容器とは安全基地に他なりません。どういうものがあるのか、具体的に抜粋しながら紹介しましょう。愛着に問題のある人は、愛着障害の人も含めて、このような基地を作っていくことを目指しましょう。

◇安全基地にはレベルがある。その作り方は?

人生の容器とは安全基地のことです。赤ん坊が生まれてきて初めに必要とすることは、

  • 抱きしめられ、
  • 過剰な刺激から守ってもらうこと

これによって、あなたは冒険に出かけられるし、怖くなったら保護者の腕のなかという安全な場所に帰っていくことができます。

そして、人生には安全基地は数多くあります。例えば、次の3つのレベルがあります。

  1. 具体的なもの:家、1人用テント、個室、クローゼットの中、車、会社、ご近所、コテージ、山小屋、特定の谷、丘、森、広さを感じる空間(海岸や河原)、お気に入りの服や場所、教会、図書館、美術館、コンサートホールなど、あなたが安全と感じる現実に存在する場所です。
    あなたの感情を揺さぶる絵画や彫刻、音楽など芸術もあなたの安心感を補強するでしょう。
    具体的な行動や自然:仕事上で期待されていること、家事をして台所をピカピカにする、子どもの寝顔が可愛い、土手の花をつんで生け花にする、磨いた窓から見た青い空、日光の暖かさなど。
  2. 人間関係:安全基地として重要なものは、人生における大切な人たちです。配偶者、両親、子ども、兄弟、祖父母、親友、恩師、会社の同僚・上司、そしてセラピストなど。
  3. 無形のもの:仕事、思い出、もはや会うことの叶わない記憶に息づく大切な人たち、人生における信念、哲学、祈りや瞑想の中に存在する内面世界など。

具体的なもの、人間関係、無形のものを統合したものとして「匂い」があります。嗅覚の思い出です。例えば、古き懐かしい故郷の実家、学校などの匂いなどです。これはあなた自身がかつて体験した安全装置の匂いです。この匂いを思い出すことも大切でしょう。

嗅覚という原始的な感覚は、あなたの深いところで安全基地となってあなたを支え続けているものでしょう。懐かしい匂いがトラウマを癒すことについて書いた記事があります。

懐かしいにおいと安心|腐っていられること~トラウマの癒しへの道しるべ

治療の始めは、具体的な(物理的な)安全基地のほうが、信頼できて価値のあるものに思えるかもしれません。愛着に問題のある人は、まずは具体的な安全基地の構築に努めましょう。具体的な安全基地を確保できれば、次に人間関係の安全性に移っていくと良いでしょう。

安全基地が脆弱な人は親密になることが怖いです。しかし、まれに、何かのきかっけがあれば親密になる障壁が下がる人がいます。こういうきっかけとして「どこかのコミュニティに所属する」という手もあります。例えば、ボランティア、趣味のサークルなどの活動を通して、親密になるレッスンをするわけです。

こういう人は、そのコミュニティから離れてしまうと、親密関係も切れてしまう場合が多いですが(親密が怖くない人は離れても関係性は続くことが多い)、それでも親密になった体験は彼らを支えてくれるでしょう。

しかし、最終的に、本当に信頼できるのは形のないものです。つまり、個人の愛、信仰、創造力、精神の鍛練は、何人たりとも犯せるものではありません。またいったんあなたの中に根付いたら、盗まれるものでもありません。

成熟するというのは、自分が安心だと思う感覚を、形ある基地から抽象的な基地へ移し替えていく作業といってもいいでしょう。

何度も申し上げますが、しばらくのあいだは具体的な安全基地が必要です。目に見える安全性、少なくとも同一性ということが必要なのです(同一性とは、目に見える安全性です)。ここは時間をかけて、ゆっくりと作り上げていきます。

何をやるにも土台が脆弱だと、そこに家を建てることはできません。しっかりとしたあなたの国を作り上げるには、しっかりと土台を固めましょう。時間をかけて。

そして、「目に見えるもの→目に見えないもの」という方向性で安全基地を構築していきましょう。

◇出来上がった安全基地をどうメンテナンスしていくか?


できあがった安全基地を守るためには、境界=バウンダリーが必要です。

自分が望んでいないものは、自分から排除しなければなりません。そうやって安全基地をメンテナンスしていくのです。他人をすべて入れないようにしたり、逆に誰でも、無条件に受け入れていくことは不可能です。それだと自主性が失われてしまいます。

当たり前のことですが、そうやって孤立したり、無理をしすぎたりしないことが大切です。

ですから、適切な境界を築く訓練も必要です。具体的には、自分の意志で余計な刺激を締め出すこと。

これにはマインドフルネスの技術が生きてきます。刺激に対して中立な姿勢を取り続けることです。下記の音声配信を参考にしてください。

瞑想はHSPにとって最良のツール|自己超越瞑想がオススメ

◇安全基地の境界の築き方、その具体例

アーロン博士は、具体的にラジオを使った次のような方法を教えています(*6)。これはテレビでもいいかもしれませんが、視覚情報というのは、圧倒的に情報量が多いので、YouTubeなどを流しながら画面は見ないという方法が良いでしょう。

  • ラジオのそばに座って、自分と周囲を隔てる境界をイメージする。このイメージは、光やエネルギーかもしれないし、大きな自然や信頼できる保護者の存在かもしれない。
  • 次にラジオをつける
  • その場に居る。このとき、ラジオの音に気を取られないようにする。音が聞こえてきても、具体的な内容は聴き取らないようにする。この状態を数分続ける。
  • ラジオを消して、いまの体験について内省してみる

ラジオの音を遮断することができたでしょうか。境界を感じることができましたか。うまくいかなくても、何回も続けることで、いずれうまくできるようになるでしょう。このアーロン博士が勧めるこの方法は、マインドフルネスそのものであると分かります。

今回は孤独の話もしましたが、ここで孤独と孤立の違いをおさらいしておきます。内向・外向という視点で眺めると、孤独と孤立の臨床的な違いをスッキリ理解できます。

孤独と孤立の違い
  • 孤独:自分の中にいる自分と向き合っている状態(意識が自分の内側に向いている、いわゆる内向
  • 孤立:自分の周りには誰も人がいない(意識が自分の外側に向いている、いわゆる外向

■まとめ

今回の話を一言でまとめると、

カウンセラーは、孤独を楽しく生きている【カメレオン】(親友)として、愛着に問題のある人の話を積極的に傾聴していく。

次の記事は、愛着障害の回復の道筋を書いたものです。参考にしてください。

いつか双子と出会えれば、それだけであなたは幸せの意味が分かるでしょう。

Twin Amanita muscaria
そして二人は幸せに暮らしたとさ。おしまい。(カメレオンの話より)

ぶらり、宵まち、さんぽ道(番外編)

量子力学では超伝導という物理現象があります。これは絶対0度付近まで温度を下げると、抵抗がゼロになって電流が流れ続けるという現象です。それは、JR東海が開発中のリニア中央新幹線(*4)の心臓部の話になります。超高速を出すためにリニアモーターという超電導コイルを使っているのです。

なぜ電流が流れるときの抵抗がゼロになるかというと、電子(マイナス)と電子(マイナス)が極低温領域では、クーパーペアというペア状態を作ります。マイナスとプラスが引き合うのが常温で見られる現象ですが、極低温ではマイナスとマイナスが引き合うのです。このクーパーペアの状態が作られることで、抵抗がゼロの、夢のような状態が実現します。クーパーとは、この現象を発見した人物の名前です。のちに他2名とノーベル物理学賞を取ります。

孤独どうしが引き合って、楽になる、なんとかなるー私は、このカメレオンの話を思い出すたびに、どことなくクーパーペアを思い出してしまうのです。

クーパーペアはニュートン力学では考えられない、量子力学の世界です。私たちの多数が経験している世界はニュートン力学の世界といってもいいでしょう。その中で愛着障害を負った人々は、量子力学のような世界で、自分の独自の世界観とともに生きています。

Reference

(*1) レオ・レオニ:じぶんだけのいろ, 好学社, 1978
(*2) ハインツ・コフート:自己の治癒, みすず書房, 1995
(*3) 和田秀樹:コフート心理学入門, 青春出版社, 2015
(*4)リニア中央新幹線, https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/
(*5)岡田尊司: 愛着障害 子ども時代を引きずる人々, 光文社新書, 2011
(*6)Elaine N. Aron: The Highly Sensitive Person: How to thrive whenn the world overshelms you, 1996

それでも愛着の問題が解決しない場合は、ソレア心理カウンセリングセンターへ 相談する

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