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ソレア心理カウンセリングセンター

2020.07.30(更新日:2020/08/02)  |こころカフェ(最新の心理学)

三浦春馬さん自殺報道のあと涙もろくなった人は【急性ストレス反応】?



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・自殺報道を見たあとドキドキして眠れなくなった
・芸能人の悲報を知ったあと突然に涙が止まらなくなった
・ある出来事がきっかけで涙が止まらない。うつ病なのか?





そんな体験をお持ちの方。急性のストレス反応かもしれません。この場合の対応は1つしかありません。サイコロジカル・ファースト・エイドをやりましょう。





この記事を読むことで、サイコロジカル・ファースト・エイドのやり方が分かります。これは急性ストレスだけでなく、長期のPTSDでも使えます!





この記事は、のべ2万人余りの悩みを聴き続けている、マインドフルな臨床心理士が学んだことを中心に、最新の知見をお伝えしています。





前半では、サイコロジカル・ファースト・エイドのやり方を、
後半では、急性ストレス障害とは何かを解説します。





■急性ストレス反応にはサイコロジカル・ファースト・エイドを!





A little girl drinking water
水はどこでも手に入る。まず水を飲む。




次のようなツイートをしています。










三浦春馬さんの自殺報道後、ドキドキしたり、眠れなくなったりする人が増えています。

これは急性ストレス障害ASDの可能性あり。ASDがPTSDに移行する境界はDSM-5では1か月ですが、3.11や阪神淡路の経験値ですと2~3か月です。2か月以上、それらが続いたら医者に相談もあり。






急性ストレス障害, ASD[Acute Stress Disorder] とはトラウマ関連の障害で、ストレスを受けて数日たっても症状が改善しない場合に診断されるものです。これが長期に渡るとPTSDへ移行します。





急性ストレス障害で現れる反応については、次の「そもそも急性ストレス障害とは?」で解説します。もし、これらの急性ストレス反応が1週間も続くようであれば、次のPFAを実行してください。これは誰でも、いつでも、どこでも、1人でやれることです。





◇サイコロジカル・ファースト・エイド(PFA)





急性ストレス障害で大切なのは初動の対応です。サイコロジカル・ファースト・エイド(*1) とはWHOによる心理的応急処置です。これが急性ストレス反応への現時点でのスタンダードになっています。参考文献にWHOのWebサイトを張っておきます。各国語に翻訳されていますので、適宜ダウンロードして目を通しておいてください。





参考文献にはいろいろ書いてありますが、臨床的にまとめると次の3つです。【WBS】覚えておきましょう。 この手法はPTSDでも使えます。





  • 水を飲む (Water)
  • 毛布などで体を温める (Blanket)
  • 安全・安心な場所にいる。動物を撫でたり、家族と【一緒に】いたりすることです。 (Safe)




まずストレス反応が出始めたら、水を飲んで、意識をしっかりとさせます。またストレス反応は体の自律神経を狂わせますので、毛布などで体を温めます。これは安心感にもつながります。最後に、安全な場所に安心できる誰かと一緒にいることです。





Wrapped in a blanket
次に、毛布などで身体を温める。




■そもそも急性ストレス障害とは?





ざっくり言うと、特定のストレスがかかって病気が発症して悪化したものをストレス障害と呼びます。今回の三浦さんのケースで問題になってくるものは、DSM-5(*2)によると次の2つです。





  • 急性ストレス障害
  • 心的外傷後ストレス障害




急性ストレス障害とは、次の4つのできごとのどれかを経験した人に起こる反応です。今回の三浦さんのケースはギリギリ「身近な人に起こった話を聞く」に近いでしょうか。





  • 実際に自分が体験する
  • 他人に起こった場面を目撃する
  • 近親者や恋人など身近な人に起こった話を聞く
  • そのような出来事と職業上で関わる(警察官や児童相談所職員など)




しかし体験しただけではストレス障害にはなりません。次の3つの場合が認められるとストレス反応と言えるのです。





  • ストレス反応による症状が9つ以上(下記)認められる場合
  • 本人の苦しみが深く、生活に支障がある場合
  • 他の病気では説明がつかない場合




ストレス反応による症状とは下記ですが、9つ以上というのはあくまでも医師の判断材料ということですので、1つか2つでもあれば、先に解説した【サイコロジカル・ファースト・エイド】を行って、自分で積極的に抑えていくことを繰り返してください。それがASDへ、ひいてはPTSDへ移行させないためには重要です。





  • そのことが場所を選ばず頭に何度もくり返し浮かんで苦痛がある
  • そのことに関連する悪夢を何度もみる
  • フラッシュバックがある。つまり、そのことが再現されたように感じたり、そのときの感覚が急によみがえる
  • そのことを連想させるものに対し、それまでにはない心理的苦痛を感じたり、体の激しい反応がおこる




  • それまでには感じていた幸福感、満足感、愛情、親密さ、優しさなどの肯定的な感情が喪失し、怒り、警戒、恐怖、悲しみ、絶望、罪悪感などに支配される




  • 外から自分を眺めている感覚になったり、現実感や時間の感覚が失われる
  • そのことに関することの記憶が抜け落ちる
  • そのことに関連した苦痛な感情や思考を避けようとする。アルコールや依存行動(買い物など)への回避も含む




  • 寝付けない、すぐに目が覚める、熟睡感がない
  • イライラや怒りを感じやすくなり、暴力性、激しい言動などが見られる
  • 警戒心が異常に強くなる
  • 集中力がなくなる
  • ささいな音に過敏になり、過剰に驚いたり怖がる




急性ストレスの診断には、トラウマの出来事の体験も重要ですが、その状態が何日続くかというところもポイントです。





  • 出来事が起きてから48時間以内(2日以内)に落ちつくものは自然に回復する反応とみなし、急性ストレス障害には含めない
  • 3日以上持続し、1か月以内で収まる症状を急性ストレス障害と診断する




診断基準は1か月以内となっていますが、ツイートしたように、【2~3か月】くらいは続きます。これは私が東日本大震災の電話相談員として体験したことに基づきます。被災当初の3月~4月は朝~深夜まで、ひっきりなしに電話がなっていました。それが6月になるころには、比較的落ち着きました。2か月半ですね。そのくらいは、急性のストレス反応があるのでしょう。





◇治療





以前は、心理的デブリーフィングという手法が用いられました。製薬会社やクリニックのWebサイトには、その手法がいまだに書かれていたりします。心理的デブリーフィングは、「自分の体験を何度か人に話す方法です。家族や友人、カウンセラーを相手に話すこと」です。





しかしこの方法は、今では症状を悪化させることが知られており、現在では使われることはなくなりました。(認知行動療法のPE [Prolonged Exposure Therapy] やEMDR [Eye Movement Desensitization and Reprocessing] も体験を強制的に話させるスタイルなので、デブリーフィングにならないよう、悪化させないよう、細心の注意が必要です。)





最も安心なのは【サイコロジカル・ファースト・エイド】です。また、この急性期には、薬物処方はしないのが原則です。





Hugging the dog tightly
最後に、安全な人のそばに一緒にいること。これが一番大事。




▼関連記事:急性ストレス障害
PTSDの原因と結果(症状)(ソレア心理学ゼミ003)





三浦さんのご冥福をお祈りいたします。





Reference:





(*1) Psychological first aid: Guide for field workers, WHO, 2011, https://www.who.int/mental_health/publications/guide_field_workers/en/
(*2) DSM-5, Acute Stress Disorder 308.3 (F43.0), American Psychiatric Association, 2013





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