【愛着障害】これで回復!虐待された人々への支援のための2つのポイント

Apollo 8 Mission image, Earth over the horizon of the moon 愛着とトラウマ(虐待)
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先日こんなツイートをしました。

愛着障害から回復するためのポイントは2つあります。
・自分が愛着障害であると理解する
・欠如している安全感を分厚く構築していく

この2つの難しさは、
・親へのファンタジーが邪魔をして、自分がおぼろげにしか見えないから
・安全感は薄皮のように重層的に張るので、すぐに流されてしまうから

今回はまさに愛着障害からの回復のためのド真ん中の記事です。

これを知ることで、当事者は今の自分の回復の現在位置がおぼろげながら見え、カウンセラーは、回復へ導いている方法への自信が出てくるでしょう。

今回解説するのは、下記です。

  • 愛着障害の回復のための2つのポイント
  • 月から地球になるための2つの存在
  • 愛着障害は回復します
  • 捏造された記憶への反論

前半は理論的な話、
後半は具体的な話になります。

※この記事は、精神科医・高橋和巳先生の児童虐待の研修で使うガイドブック(*1)を中心にして、高間が臨床で得た知見を若干追加しながらまとめたものです。詳細を知りたい方は、高橋先生の専門家を対象にした研修へご参加ください。申し込みはこちらです。

■愛着障害の回復のための2つのポイント

  • 自分が愛着障害であるという理解
  • 安全感を成長させていく

この2つのポイントは、何度確認しても確認しすぎることはないものです。毎回のセッションで確認してもいいくらいのものです。

そのくらい愛着障害の人の生き方は儚(はかな)くて、自信が最低のラインで生きているのです。

◇愛着障害であるという理解

ここがまずスタートですが、この理解が難しいのです。説明されると頭では理解できるのですが、実感を伴って理解することが難しい。

そして、理解することは大きな苦痛を伴います。だから余計に難しい。なぜなら、後で解説しますが、記憶が捏造されているからです。

そのため180°真逆な認知へ、変更を強いられることになります。これがまず大変なのです。

何を強いられるかというと【親に虐待されてきた】という事実を受け入れなければならないのです。ここは自分のいろんな気持ちを否定していかなければならないので、大変なのです。

カウンセラーは、この話をする機会をうかがいながらカウンセリングを進めます。1回目で話すときもあれば、数回カウンセリングをした後に話すこともあります。

いつ話すのか?それは、相談者との信頼関係が出来てから、この話をするのがいいでしょう。ここを話すのはカウンセリング場面での、初めの、1つの大きな山です。

相談者がカウンセリングを中断するリスクもあります。そこを見極めながら話します。

注意点としては、このことは受け入れがたい事実なので、カウンセリングを継続中、何度も確認することになります。親が変だったという話が話されるたびに、カウンセラーは、意識的に、何度も確認してください。「虐待されてきたね」と。

◇安全感の成長~安心のシャワー体験

もう1つのポイントは、【安全感を、薄皮の張るごとく、少しずつ成長させていく】ということです。

これはどういうことかというと、愛着障害の人は、安全感がまったくありません。愛着障害の人の感情でもっとも集中的に扱う感情は【恐怖】です。

普通の人は、恐怖という感情の周囲には安全感でおおわれています。だから何か刺激するものが入ってきても恐怖に到達する前に消えてしまいます。何も影響を受けません。

愛着障害の人は、この安全感が希薄なので、刺激するものが、ダイレクトに恐怖に突き刺さってしまい、激しい衝撃を受けます。

この違いがあるのです。ですから、この安全感を形成していく必要があります。それが治療の最大方針になります。

安全感というものは、非常に弱いものなので、安心してもすぐに流れ去ってしまいます。ですから、何度も何度も、安心を浴びるような体験が必要なのです。

この【安心のシャワー体験】は、

  • カウンセラーとの間
  • 実生活で

体験していくことになります。カウンセラーから得られる安心とは、カウンセリングを繰り返すことで得ていきます。実生活で得られる安心とは、

  • 子ども
  • 配偶者
  • 友人
  • 自然の中で感じる実感 などがあります。

ただ、注意していただきたいのは、愛着障害の人は安全さえ怖いのです。ですから、シャワーと言っても、無尽蔵に浴びさせると恐怖が出て逃げてしまいます。なので、故障したシャワー装置くらいに、弱めに、少しずつ浴びる感じがベストです。

◇地球モデルと月モデル

Apollo 8 Mission image, Earth over the horizon of the moon
月から見た地球の出(Apollo 8 Mission image, NASA )

恐怖と安心の関係を図解してみると、地球モデルと月モデルに行きつきます。私はこの関係をカウンセリングの中で、いつも話しています。下の図をご覧ください。

恐怖と安心

普通の人は地球(左図)で生活しており、愛着障害の人は月(右図)で生活をしているイメージです。

地球は分厚い大気でおおわれているので、隕石が突入しても地表に到達する前に燃え尽きてしまいます。地上から見ていると流れ星として見えますね。大気があるので、われわれは安心して生きていられます。

  • 地球=恐怖、大気がある=安心感がある これが地球モデルです。

一方、愛着障害の人は、安心感が希薄なので、大気がほぼない状態です。月のようです。ですから突入してくる隕石を食い止める手段がありません。隕石は燃え尽きることなく、地表に到達して、地表には大きなクレーターが開きます。月自身もダメージを受けることになります。ひょっとすると軌道が変わるかもしれませんね。

  • 月=恐怖、大気がない=安心感がない これが月モデルです。

人間には、いや動物、生き物には、恐怖という感情が必ずあります。それがないと生命の存続にかかわります。天敵からは、恐怖感情を発動させて逃げなければ、あるいは戦わなければ、種が淘汰されてしまうからです。

しかし恐怖が適切に作動するためには、いつも恐怖がむき出しのままだと、刺激に絶えず反応することになってストレスで疲弊してしまうので、恐怖を覆うための安心感が必要なのです。それが地球モデルの大気なのです。

この2つのモデルを使って、母子関係がどのように変化するかを考えます。例えば、母親が愛着障害の場合、母親の変化に従って、子どもがどう変化するか?を解説します。

  • ①時間をかけて母親に安心感が育ってくると、母親の愛着スタイルが、Ds(愛着軽視)スタイル⇒F(安定自律)スタイルへ変化します。つまり、月モデルから地球モデルへ変化します。
  • ②すると、子どもはA(回避)⇒B(安定)へ変化します。
  • パートナーがF(安定自律)スタイルだと、母親が虐待された経験があっても、Ds(愛着軽視)スタイル⇒F(安定自律)スタイルへ回復することがあります。
    下記の、子ども・配偶者・第三者・カウンセラーの存在で解説しています。

愛着スタイルについては、
▼関連記事
【事実!】愛着の4パターンを詳細検討。結論:【虐待】は連鎖しない

ここまでが愛着障害の理論的な話で、これから具体的な話に入っていきます。

■月から地球になるための3つの存在

安心感を得るための具体的な方法としては、次の3つの存在との関係性の中で安心感を作っていきます。

◇子ども、配偶者の存在

【子ども】はあなたにとっては宝物。あなたの安心感を作るコアになります。あなたにとっては、子どもは怖い存在かもしれません。無条件で愛着を向けてきますから。

ムリをしなくてもいいので、少しずつ彼らとの距離を縮めて、あなたの中にゆるぎない安心感を形成していきましょう。

焦らなくていいので、何度も何度も作っていきましょう。

【配偶者】が、普通の人であれば、彼らとの間の関係も、あなたにとっては至福の時をもたらします。「普通の人」とは、心理学的にいうと「精神発達が成人期まで達した人」です。

この見極めは難しいですが、愛着専門のカウンセラーなら見極めることはできるはずです。カウンセラーに相談しながら配偶者との関係も整理して、活用していきましょう。

◇第三者の存在

あなたにとってかけがいのない【友人や先生】がいるかもしれません。彼らの存在も、あなたの人生にとって福音となるはずです。

そのような人が見当たらない、あるいははるか昔のことになっている場合は、あなたの周りの【自然】も、第三者の存在になりえます。

あなたのほおを撫でて、渡っていく風。そこに立ちつくすあなた。その瞬間に、なにか永遠の一瞬を見るかもしれません。【今】そのときの自然の流れの中に身を置いていること。マインドフルネス、それを実感するのです。何度も、何度も。

「自然」とこころの回復については、関連記事をお読みください。怒りについての記事ですが、他の感情、特に愛着障害では【恐れ】の感情が優勢ですが、その感情の取り扱いについても、下記の記事は有効です。

▼関連記事
【怒り】が収まらない原因と対策は?友だちと自然の中で癒されよう!

◇カウンセラーの存在~毒親カウンセリングとは?

愛着のカウンセリングにおいてカウンセラーの存在は、虐待を受けたあなたにとっては【空気】のようなものです。存在を感じたりはしないけれど必要不可欠なもの。

そこまでの関係性が出来上がると、あなたにとってカウンセラーは大切な存在になっているでしょう。

毒親カウンセリングという用語があるようですが、毒親と愛着障害は切っても切り離せないもの。このカウンセリングが成功するには、カウンセラーが毒親とは何であるかを十分に理解していることが必要です。

先に、自分が愛着障害であるという理解が必要といいましたが、カウンセラーも同時に、愛着障害とは何であるのか、毒親とは何であるのかの理解が必要です。毒親の明確な定義があるわけではありませんが、広く見ると、次の定義に当てはまる人々でしょう。

  • 軽度知的障害あるいは境界知能域の親
  • 知能は問題ないが、子どもの感情を理解できない親で、(社会的)ネグレクトの程度がひどい親

▼毒親についての関連記事もご覧ください。
毒親カウンセリング成功のヒントは【愛着の回復】~毒親ですらなかった

■虐待されると3つの愛着の問題が発症

DSM-5のPTSDのカテゴリーに、虐待された子どもが発症する障害について記載されています。そしてICD-11には、被虐児が大人になると発症する障害について言及されました。

  • ①反応性アタッチメント障害 (DSM-5:子どもの障害)
  • ②脱抑制型対人交流障害 (DSM-5:子どもの障害)
  • ③複雑性PTSD (ICD-11:大人の障害)

この3つを、虐待されて発症する障害とすることができます。これらの詳細については関連記事をご覧ください。
虐待に関するPTSDの3つの分類(DSM-5とICD-11から)

◇愛着障害の人がしばしば誤診される他の症状

実際にお会いする愛着障害の人は、結構、境界性パーソナリティ障害(BPD)と誤診されている場合があります。表面的な側面からみると、BPD、NPD(自己愛性パーソナリティ障害)、依存などの障害名がついているようです。うつや解離は愛着障害の人々の中核的症状でしょう。次のツイートをしています。

アダルトチルドレンと虐待と愛着障害は、かなり密接な関係があります(アダルトチルドレン>虐待=愛着障害)共通点は、
・【親】が関わっている
・カウンセリングで回復する
・精神疾患名ではない、状態を表すもの
・BPD、NPD、うつ、依存、解離など、様々な精神疾患名が付いている

また、自分の性別が分からない人もいます。身体的性と自分の性別が一致しないのです。これは虐待を受けた子どもが10代に入ってくると、こういうことが起こることがあります。この場合もトランスジェンダー(LBGT)と決めつけるのではなく、性別の混乱という広い目で見ていましょう。そのうち自分の性が固定してくるでしょう。

【虐待を受けた人は自分の性別に違和感を感じることがある】なぜなら虐待によってアイデンティティの形成が疎外されるため、自分が男か女か分からなくなるのです。こんな場合でも、虐待の後遺症から回復してくると、アイデンティティがしっかりして、自分の性別が男か女か、固定されるようになります。

■愛着障害は回復します

愛着障害は、毒親に関する上の2つの定義に当てはまる親に育てられると発症します。しかし、これまで話したことを実践できれば、愛着障害はキレイに回復します。

回復とは、他の人と一緒のようになるということではありません。一緒ではないけれど生きやすくなる、ということです。イメージとしてはムーミンのスナフキンを思い出してください。彼はムーミン谷の他の住人とは一線を引いているでしょう。あの感じ、です。

愛着不全は、毒親とは言えないかもしれません。愛着はもらっているけれど十分ではなかった。その一点が、普通の人とは違います。その一点ですが、この一点が回復に時間がかかる要素です。

虐待されてきたわけではない、というのは、回復に時間がかかるのです。それをときどき意識しながらカウンセリングを中断せずに、進んでいきましょう。不安型愛着スタイルを取る人々に、愛着不全が多くいるようです。

不安型愛着スタイルについては、
▼関連記事
【事実!】愛着の4パターンを詳細検討。結論:【虐待】は連鎖しない

◇愛着障害から回復してくるとどうなるか?

【愛着障害 の人が回復してくると】
・受容してくれる人に怒りを出せるようになります。
そこをパートナーやカウンセラーが受容し続けると、
・虐待した親への怒りを出せるようになります。
その怒りは分かりにくいものかもしれませんが、そこまでくると恐怖が融けて、親へのファンタジーが崩壊します。これが回復です。

このツイートのように【怒り】を出せるようになってくるのです。ただ注意したいのは、恐怖の裏返しの怒りではないということ。愛着障害の人は、恐怖をカモフラージュするために激しい怒りを出す場合があります。この場合は、まだ恐怖感情がメインですので回復というわけではありません。

■愛着障害を学ぶには?

数々の本を出版されている精神科医の高橋和巳先生のメインフィールドは、なんと言っても、異邦人の造語で知られるように、愛着障害です。愛着障害や毒親を学ぶには、高橋先生の門をたたくのが良いでしょう。

そのほかには、Peter Fonagyのメンタライゼーションという理論があります。たくさん本が出ていますので、精神分析の領域からも理解を深められます。愛着理論を作ったボウルビーも精神分析です。

精神分析家で自己心理学の Kohut の「自己に障害をもつ患者」という概念も愛着障害のことです。コフートの臨床は、優しさを運ぶ臨床とも言われています。アメリカ産ですが、アドラーのように全然マッチョではありません。

愛着障害と精神分析は切っても切れない関係でしょう。まずは高橋先生に学びつつ、Fonagy や Kohut でバックボーンを作っていくのがいいかと思います。下記の記事も参考にしてください。

▼関連記事
【愛着を癒す】じぶんだけのいろ~カメレオンが見つけた安全基地

◇母と子を守るために

虐待された子どもが成長してママやパパになると、子どもへの当たりが強くなったり、子どもの面倒を親密に行えなくなる可能性があります。なぜなら子どもへの愛着があっても、育児が怖いからです。初めての育児なら、なおさらです。このため、虐待している!と誤報されるケースがあります。この場合、

  • 子育てに疲れないように、家事や育児への支援は手厚くし、負担をできるだけ軽くする。
  • 過酷な家庭環境で育ったため、普通の子育てが分からないので、育児への支援はする。しかし助言は最小限にとどめ、母親の育児を見守っていること。子どもへの対応が少々厳しくなっても、「母親のペースで進めていいよ」とメッセージを出していく。
  • 児相や子ども家庭支援センターなどの地域での支援体制は最小限にして、連携はしないこと。大勢が支援に入ってくると、被虐者は極度の恐怖に陥るため、事情を理解している最小限の人が関わるのが良い。

虐待されている子どもが親のもとで成長しないといけない場合は、子どもの支援者は親を刺激しないことにこころを砕くべきでしょう。親にストレスがかかると子どもへの虐待が激しくなる場合があります。かかわり方は、

  • 親への指導・助言・カウンセリングなどはなるべく行わない。軽度知的機能障害の親には効果がないため。
  • 親を刺激しないよう良好な関係を保ちながら、子どもを積極的に支援する。つまり、家庭以外で、正常な大人と接する時間をできるだけ長く持てるようにする。
  • 親を刺激すると、親の怒りが噴出し、子どもへの支援ができなくなることもしばしば発生する。だから親と話すときは、支援者は細かな注意が必要。
  • 親が統合失調症などの精神障害の場合は、家族と連携して親の治療を優先する。

◇PCIT(親子相互交流療法)

PCIT (Parent-Child Interaction Therapy) とは育児困難に悩む養育者のためのプログラムです。母と子どもを、マジックミラーのある部屋で遊ばせます。支援者はマジックミラーの外側からその様子をうかがって、母子のかかわりをチェックします。何か助言を出したほうがいい場合は、マイク越しに指示を出します。母親はイヤホンでその指示を聞いて実行します。1970年代、Sheila Eybergによって考案されたプレイセラピー/行動療法です。

今の時代、マジックミラーがなくても、イヤホンを使って、スマホでビデオ通話などをしながらチェック出しもできますね。

PCITは研修プログラム(*2)もあります。そこで学ぶのもいいかもしれません。子どもとの関係を改善するスキルや効果的な指示の出し方、子どもが指示を受けた時の対応などのスキルなどを学べます。こういったことは各地方自治体の子育て支援センターなどで相談できることですが、それを体系的に学べるメリットはあります。

ただ、難しく考える必要はなく、【子育ての常識を定着させるだけ】と考えると良いでしょう。常識とは、次の2つのポイントです。これだけです。

  • 適切な行動は、褒める
  • かんしゃくを起こすような不適切な行動は、積極的に無視をする。

具体的には、次のようなスキルがありますが、上の2つの応用にすぎません。

  • 具体的に褒める
    「上手に描けたね」だけではなく、具体的に褒めます。子どもの行動や作った作品に対して「この黄色のチョウチョ、可愛いね」など。
  • おうむがえし
    子どもの言ったことをそのまま繰り返して言います。
  • 実況中継
    行動が適切な場合、子どもを主語にして、具体的に行動の説明をする。「いまアイちゃんは、歯を磨いています」など。

■捏造された記憶

こちらもツイートからの引用です。

ロフタスの【捏造された記憶】は、虐待された事実がないのに、子どもが親に虐待されたと訴えるときに使われる概念です。しかし実際の捏造は逆です。【虐待されていたのに虐待されていない】と捏造する。そうやってファンタジーを捏造しておかないと子どもは生きのびることができない。これが真実です。

愛着障害の回復のための2つのポイントの1つ目の、「自分が愛着障害であるという理解」に関わってくる事実です。こちらを最後に解説します。

虐待されてきた子どもは、その事実を受け入れがたいという事実があります。なぜなら、それを受け入れてしまった瞬間、自分には親が存在しなかったという事実に直面しないといけなくなるからです。それまでの何十年という人生が空虚な中に放り込まれるので、彼らは記憶を捏造します。

それは彼らが生きる戦略なので、そこはちゃんと称(たた)えるべきところです。彼らの勇気に敬礼しつつ、そこを崩していくという作業が延々と続きます。当事者も、カウンセラーもしんどい時間ですが、そこがないと、愛着の臨床は進んでいきません。

この捏造した記憶から目を覚まさせること。これが成功すれば、愛着障害の人は順調に回復してきているといえるでしょう。

■愛着障害の間違った考え方

世の中には愛着障害について、まだまだ誤った考え方があります。それらを簡単にまとめてみました。

  • 大人は皆、児童虐待の加害者になる可能性がある→間違いです。加害者になるには、加害者になる素質が必要です。その主たる原因は、脳機能の問題で、特に軽度知的障害が大きく関係しています。
  • 虐待(愛着障害)は世代間連鎖する→間違いです。愛着障害を受けた人に、脳機能の問題がなければ、その人の子どもには愛着障害はありません。世代間連鎖はしません。

■まとめ

愛着障害の回復のために重要なのは次の2つのポイントです。

  • 自分が愛着障害であるという理解
  • 安全感を成長させる

ここで、知っておくことは、地球モデルと月モデルです。普通の人は地球モデルで、愛着障害の人は月モデルです。

回復はこの月モデルから地球モデルへの変更になるのですが、そこで重要な役割を果たすのが、

  • 子ども、配偶者の存在
  • 第三者の存在
  • カウンセラーの存在 でした。

そして愛着障害は回復するということを申し上げました。そして、治療の方針を誰から学ぶかというと、

  • 高橋和巳
  • Fonagy
  • Kohut

この3人の著者です。ちなみに、私も愛着関連の著書を出しています。よろしかったらお読みください。
▼孤独と愛着~ダブルファンタジーへ生きのびる人々

最後に捏造された記憶と愛着障害の間違った考え方を紹介しました。

愛着に問題があったという事実は、あなたの人生において、重要な意味を持っています。どうぞ、あなたが愛着障害から回復されて、あなたらしい人生を送れますように。幸運を祈っております。

※児童虐待について10本の記事をまとめたものを書いています。そちらから各関連記事に飛んでいただくと網羅的にゼロから理解していただけます。

▼虐待について【まとめ記事】
虐待されてきた人々がゼロから生きるために知っておくべき10ステップ【まとめ】

残念ですが、虐待はなくなりません。私たちにできることは、

  • 虐待されている人々をいかに救い出して、いかに回復させるか です。

Reference:

(*1)高橋和巳:児童虐待防止 支援者のためのガイドブック(改訂第2版), 2017
(*2) 日本PCIT研修センター http://pcittc-japan.com/

慢性うつ病、睡眠障害、長期の希死念慮等は、愛着の問題かもしれません。ソレア心理カウンセリングセンターへご相談ください。

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