【実践編】つらい吃音者のための話すコツ3選|イップスやパニック症の治し方と類似

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先日こんなツイートをしました。

【どもり】心因性吃音の場合、
・自分で表現したい
・他人から表現を禁止される、あるいは自分で表現を禁止する
この2つがせめぎ合って拮抗している状態ととらえることもできます。【話したいのに話せない】この場合、自分で自由に表現できる環境が与えられると吃音は消失します。

上は心因性吃音のツイートですが、心因性の場合は「消失する」と言えますが、この記事で対象としている、幼少期からバリバリのどもりの人に対しては「軽快する」くらいでしょう。しかし、この記事を読めば、吃音との付き合い方が分かるでしょう。どんな気持ちで吃音とともに生きればいいのかが分かります。

吃音は軽快はしますが、完治はしません。治そうとせず、長い人生、吃音とともに歩みましょう。そこには、味わい深い人生が待っているでしょう。そうすれば、あなたの吃音も、あなたの人生も軽快するでしょう。

  • 前半では、吃音の原因と吃音対応への3ステップ
  • 後半では、イップスとの関連 をお伝えします。

■バイデン大統領の吃音

アメリカ第46代大統領のジョー・バイデン氏は、自身の吃音について私信を出しています。彼のメッセージについての詳細は、下記の音声配信も参考にどうぞ。

私のツイートもあわせて紹介しておきます。バイデン氏の私信の概要です。

【バイデン大統領の吃音 】アメリカ吃音財団への私信:吃音に苦しんでいる人へ。目標にコミットし頑張れば、あなたの新しい強みとスキルを発見できます。吃音だけでなく、将来の人生も好転します。恥ずべきことは何もない。むしろ誇りに思ってください。
■チャーチルも田中角栄も吃音です☺

バイデン氏の吃音対策は、発話する言葉が言いにくい場合には、言いやすい言葉に変換しています。これは吃音の人が、ほぼ必ず、100%やっている方法ですね。うまくいった場合、うまくいかなかった場合を含め、必ずやっています。

例えば、「オバマ」大統領とは言えない、つまり「オ」でつっかえるので、「マイボス」と言い換えていたと言います。そういう変換を随所でやっているわけですね。私も、これは日常的にやっています。いまは頻度は減りましたが、それでも無意識的にやっています。だから一日が終わるころには疲労するのですね。

しかし、「マイボス」と言えていたとしても、油断はできない。なぜなら「マ」でつっかえるときも出てくるのです。不思議ですね。そうすると次の言葉を探す「ォバマ」と「ォ」を小さく言ったり「バマ」とオを言わなかったりする人も出てくるでしょう。以前の私はそんな感じでしたから。まあ、話すこと自体、とっても疲れます。

吃音の話になると際限がなくなります(笑)。しかし、バイデン氏の言うように「吃音について取り組むことは人生を好転させる」のです。これには痛く同意します。

しかし、持ち上げて急に下げることになりますが、吃音にどう取り組むかはどっちでもいいと思います。あえて、取り組まなくてもいいのでは?とも思います。次に吃音対策3つのステップを紹介していますが、そのくらいでいいと思います。それを意識していれば、人生も好転していくでしょう。

3ステップに行く前に、吃音の原因を簡単に説明しておきます。

■吃音は発達障害か?結論:不安症に近いもの

私のツイートを並べておきます。

深堀①【吃音と発達障害】吃音は発達障害でしょうか?DSM-IVあたりからそういう風潮があってDSM-5では発達障害になりました。その違和感は吃音の当事者はもちろん、バイデン氏も語っています。確かに普通ではないけど、発達障害とも違う。それではいったい吃音はどういう精神疾患なのか?

吃音は発達障害との認識が広がっていますが、そうではなく「不安症」がクセになったもの、強迫的にこびりついてしまったものではないか、というのが私の試論です。

なぜなら発達障害なら治ることはありませんが、吃音の場合は、見た目まったくどもらなくなる人がいるからです。私の場合は、いまでも結構どもっていますね。

深堀②【吃音とイップス】ピッチャーが急にノーコンになったりすることをイップス(不安症)といいます。ゴルフでもテニスでもありますね。吃音もイップスの側面があります。それは話せたり話せなかったりで波があるからです。その波がイップスに見えることはあります。でも似てはいるけれどズレもありそう。

イップスと吃音の関係は、主流ではありませんが、そんな研究もあります。強迫的にクセになる感じは、確かにイップスに近い気もします。クセってのはなかなか治りませんよね。それが「強迫的」になるともっと治りにくくなります。

吃音が自分の中にこびりついている感覚は、吃音者の方は誰でも体験しているでしょう。切っても切っても切り離せない感覚があります。治る気がしないのです。

深堀③【吃音とパニック発作】どもるとき、心臓バクバクで体全体が高い緊張におおわれます。これはパニック発作に似ています。発作はある条件で出現します。例えば、電車とか人混みとか高所とか。吃音も人前という緊張の高い場所という条件が多い。ということは、吃音はパニック発作との関係がありそう☺

パニック発作は不安症の中の1つの現象です。強い恐怖感・不安感が急激に(数分のうちに)生じます。自分は死ぬかもしれないという衝動が突如現れて、心臓がドキドキ激しくなって、数分のうちに最高潮に達します。冷や汗やめまいでクラクラしますが、30分ほどで自然と治まっていきます。

どもりも、同じように自分の発話のときになると、死ぬかもしれないくらいドキドキして体が硬直します。気管支あたりが硬直し、息が詰まります。出ない息を無理やり出そうとして発話するので、結果的に、発話できずにどもってしまいます。

どもりがパニック発作かというと、それも違うように思いますが、心理的な現象としては一番近いものではないでしょうか。根底には強い緊張があり、「どもらずにはいられない」という強迫的な思考に支配されています。

■吃音対応への3つのステップ

◇①自分を表現する

吃音についての関連記事があります。

▼イップスとスランプ脱出法【実は吃音とも深い関係あり】

吃音改善について一番大切なことは【自己肯定感】のアップです。肯定感がアップしていればどもっても何てことないのです。ですから、その状態でどんどんしゃべっていけばいい。

ここが吃音回復のポイントです。結論は【どんどんしゃべる】。なんかできないことをさせるようで心苦しいのですが、私の実体験での話です。さらに言うと、

  • どんどん【表現する】こと

この自分を【表現】していくことが、自己肯定感のアップにつながるのです。恐れずに自分を表現していくことです。

その一環としてYouTubeを始めるのでもいいし、何かのラジオメディアを始めるのでもいいでしょう。ブログは表現することにはつながりますが、じっさいに口に出していないので、ちょっと弱いかもしれない。

吃音者の心理は【表現したい】です。吃音を持った状態で表現しようとするから、どもって表現してしまうところにあります。

吃音者は、自分から率先して話したいと思うことはないかもしれません。できれば話す状況から逃げたいと常に思っています。でも逃げられず、その環境下に放り込まれて、緊張して、激しくどもります。

でも、これを考えてみてください。

  • 逃げてはいない
  • 話そうとしている のです。

これって、かなり素晴らしい行動をしているのです。やっぱりここで逃げてしまうと、吃音を気にしていると周りから思われるのが嫌で、カッコ悪いから逃げられないと思って、その場に居続ける吃音者もいるでしょう。それには本当に勇気がいるのです。

◇②ワザとどもる

確かに、吃音はカッコ悪いです。でも、そのカッコ悪さを上手に使うと、

  • 味のある吃音者 になれます。

どういうことかというと、【ワザとどもる】という領域まで吃音を洗練させるということです。

私の実体験です。私は臨床心理士です。みなさんの話を聴くのが仕事です。それでもカウンセリングの最後のほうで、少し、こちらの感想や助言を言ったりする場面があります。

そのとき【味のある心理士】になるには、【重要な場面でどもる】のです。これをワザとやる。

  • よし、ここでどもろうと思って、どもる。

吃音者は、どもりの専門家です。ですから演技じゃなく、本当にどもることができます。この迫真な感じが、相手に伝わるのです。

また、あえてどもろうとすると、緊張が下がるため、どもれなかったりします。【どもろうとしたのにどもれなかった】という体験もすることになるのです。これは良いことに思いますよね?でも違うのです。どもれない場合は、心理職としてはマイナスです。なぜなら、どもって場の空気を作ろうとしたのに、それに失敗しているワケですから。

でもこの失敗を地団駄ふんで後悔する「俺はなぜどもれなかったんだ!?」までいくと、気がつくと吃音は軽減しているでしょう。

下記のnoteの記事も参考にしてください。わざとどもることに焦点をあてて書いています。

https://note.com/soleapsy/n/n550ed846d26a

◇③吃音に効く職業につく

最後に吃音の治し方の、おそらく最も強力な方法を、ご紹介しておきます。どもりに効く仕事につくのです。アクロバティック!と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の人生史上、最強の方法です。それは、

  • 臨床心理士になること

つまり、吃音を軽快する職業につくということです。え?そんな職業選択があるのか?と思われる方もいらっしゃるでしょう。

「臨床心理士になったら心理療法にたくさん触れることになるので、それが吃音を軽減する」ということではありません。それもあるかもしれませんが、それは数%程度のこと。ではどういうことなのでしょうか。

心理の世界というものは、本来、差別などとは無縁の世界です。むしろ、差別していたら、その人の人間性が疑われる以前に、職業人としてどうなの?その人の仕事が全否定されるかもしれない領域です。

ですから、もし臨床心理士がうっかりどもっている人を笑っていたとしたら、「この人はたいしたカウンセリングはできないだろう」と判断されてしまいます。その臨床心理士は、心理の世界で生きていけなくなるということになります。

これは臨床心理の世界は、客観的に、どもりの人が安心できる世界ということです。どもってもいい、それが全面的に肯定されている世界です。そういう世界に入っていくことで、吃音を軽快できます。

これは臨床心理士に限りません。【どもることを否定すると、否定した人の仕事や人間性にまで影響が及ぶような世界で生きること、そういう職業につくこと】です。私の場合は、それは「臨床心理士」でした。臨床心理士以外の心理職でもいいとは思いますが、私は臨床心理士以外の心理職として生きたことがないのでよく分かりません。心理以外には、

  • 宗教家
  • 哲学者
  • 詩人 …

色々あるでしょう。でも臨床心理士が一番現実的ですね(笑)。これはね、【安心感】というものがいかに重要であるかということです。それは吃音に関しても例外ではないということです。

余談になりますが、吃音ではないけれど安心感が必要な人も「臨床心理士」になるという選択肢は効きますよ☺

■吃音への対策は、イップスと同じ

さて、スポーツの世界のイップスへの対応は、どんどん前へ出ていくでした。次は関連記事になります。

自分が活躍できる場にどんどん出ていく。そして怖がらずにプレイしてみる。失敗してもいいのです。どんどん出ていく。【考える間を与えない】感じでやるのです。イップスの最大の敵は間(ま)です。ですから間をあけずにどんどん対応していくことです。「思考」が入り込む時間を極力小さくするのです。

吃音も同様です。

  • どんどんどもる
  • 自己表現する場に飛び込む
  • どもりが生きられる世界へ分け入ってゆく

これらはハードルがとっても高いことです。ですから、すぐにできなくてもOKです。50代になるころにはできているかな、くらいで。この3つ、それくらい難しいことなのです。

でも、こういう未来があることを知っておくだけでも、少しは楽になるかもしれないと思って、この記事を書きました。

みなさんの吃音ライフが、いつか実を結びますように。

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