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ソレア心理カウンセリングセンター

2018.09.28(更新日:2021/01/02) |愛着とトラウマ(虐待)

虐待に関するPTSDの3つの分類(DSM-5とICD-11から)


今回は、


反応性アタッチメント障害 Reactive Attachment Disorder
脱抑制型対人交流障害 Disinhibited Social Engagement Disorder


これらについて話しています。


この2つは、PTSDに由来する障害です。これらは子どもに対しての診断基準ですが、この障害をもったまま大人になると、


複雑性心的外傷後ストレス障害 Complex post traumatic stress disorder になります。


これらが虐待に関するPTSDになります。


C-PTSDとは、単一の心的外傷ではない、複数の継続的な心的外傷である、ということを表現した言い方です。継続的な心的外傷とは虐待のことであり、虐待はPTSDである、ということを診断基準として明らかにしたということです。DSM-5の変更は、実に画期的なことでした。


それまでのDSM-IVでは、これらの障害はPTSDのカテゴリーに入っていませんでした。それが今回のDSM-5の改訂では、PTSDにようやく入ったわけです。以前からこの議論はあって、それがようやく実ったことになります。




■反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害





①と②は、どちらも愛着障害という症状名が付いています。





反応性アタッチメント障害は、他人や養育者へのむき出しの恐怖があります。安心できないのです。一方、脱抑制型対人交流障害は、見慣れない人に近づいてベタベタした行動を取ります。そこに警戒・ためらいはありません。この2つの症状は真逆のように思われますが、そうではありません。表現は違いますが、どちらも人が怖いのです。





反応性アタッチメント障害はそれが素直に表現されているだけです。脱抑制型対人交流障害は、人の区別なくくっついていくので、フレンドリーで愛着を形成しているように見えますが、そうではないのです。近寄っていって、これ以上はマズイと思ったら、そこで躊躇なく愛着関係を切るのです。人が怖いから愛着関係を作れない、愛着が確立する前に切る、こういう心情が根底にあるのです。





こういう人が成人になると恋愛依存のような行動を取ることがあります。何人もの異性と同時に付き合うのです。そして、近づきすぎると怖くなって関係を切る。





子どものときは、接近―切断スピードが早かったのですが、大人になると関係性が複雑になり、疑似的な社会性も相まって、接近―切断スピードが長くなっているので、依存症なのか脱抑制型対人交流障害なのかは判別が難しくなります。





脱抑制型対人交流障害の場合は依存ではあっても、普通の恋愛依存とは違うということです。治療は、依存症の治療ではなく、愛着障害の治療になる、ということです。





◇愛着障害の原因





どうして、このような愛着障害になってしまうのか。それは次の3つの原因が考えられます。





  • ①2歳ころまでの基本的信頼感を形成する時期に、養育者との情緒的なやりとりが欠落していた。これを社会的ネグレクト(心理的ネグレクト)と言います。
  • ②複数の養育者(母親)が居た。例えば、里親による養育の頻繁な交代など。
  • ③一人の養育者に対して子供の比率が高い場合、愛着を形成する機会が制限されることになる。例えば、養護施設など。




養育者(母親)との情緒交流は特に大切です。養護施設や里親という立場になった場合、そういうことも起こりうる可能性があるということで「必ずそうなる」というわけではありません。そういう環境での育ちよりも、情緒交流が欠落していたということが、子どもにとっては重大な影を落とすことになります。





■複雑性心的外傷後ストレス障害





DSM-5では採用されなかった③複雑性PTSDですが、ICD-11(2018年)ではPTSDとは区別された症状として登場しました。





PTSDの症状については、関連記事をご覧ください。
PTSDの原因と結果(症状)(ソレア心理学ゼミ003)





複雑性PTSDは、その場から逃げることもできない状況で、長期間/反復的に、著しい脅威や恐怖をもたらす出来事に曝露された後に出現するものです。例えば、拷問、奴隷、集団虐殺、長期間の家庭内暴力、反復的な小児期の性的・身体的・心理的な虐待などです。





この「長期間の家庭内暴力、反復的な小児期の性的・身体的・心理的な虐待」によって、反応性アタッチメント障害あるいは脱抑制型対人交流障害になり、それが大人になって、複雑性心的外傷後ストレス障害になるということです。この3つはつながっているのです。





複雑性心的外傷後ストレス障害は、PTSDの症状(トラウマの再体験、回避、持続的な過覚醒状態)に加えて、次の深刻な持続する症状が出現します。これらは成人の愛着障害の症状そのものであり、個人・家庭・社会・教育・職業などの領域で深刻な機能不全をもたらします。これらをまとめて、自己組織化の障害と呼ばれています。(Marylene Cloitre)





  • 感情コントロールの困難さ【感情の調節異常】
  • トラウマ的出来事に関する恥辱・罪悪・失敗の感情を伴った、自己卑下・挫折・無価値感【否定的自己像】
  • 他者と持続的な関係を持つことや親近感を感じることの困難さ【対人関係の障害】

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