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ソレア心理カウンセリングセンター

2020.10.14(更新日:2020/10/16)  |こころカフェ(最新の心理学)

【自殺は連鎖するのか?】芸能人の後を追うことはない【孤立しない】



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・芸能人の自殺報道が目立ちます。自殺は連鎖するのでしょうか。
・自殺報道を見ていると、頭がボーっとして、そちらへ引き込まれそうになります。





そんな悩み(不安)を持って生きているあなたに、何かのヒントになればと思い、記事にしました。この記事のポイントは、





  • 自殺は連鎖しているわけではない。竹内結子さんの自殺について考えました。(前半)
  • ストレス因が重なったり、精神疾患の回復期は、自殺への注意が必要。(後半)




■自殺は連鎖するのか?竹内結子さんの自殺をめぐって





Leaves on a rainy day




自殺を美化するわけではありませんが、本人なりに美しく死にたい、あとくされなく死にたいという気持ちがどこかにある場合もあります。そんな余裕などないと思われるかもしれませんが。しかし、決してノリ(連鎖して)で死んでいくわけではないでしょう。次のようなツイートをしています。






【自殺の連鎖?】芸能人の自殺の報道が目立ちます。自殺が連鎖しているように見えます。連鎖すると考えるのは、亡くなった本人にとってはつらいでしょう。本人は本人なりの事情で、自分の決断で、命を絶ったわけですから。
実際、自殺連鎖があるとすれば、その要因は思春期心性によるものです。友だちと一緒に自殺する事件はときどき起きます。

大人はつられては自殺しないものです。ですからポイントは、連鎖しているようにみえて、そうではないということ。(ツイート改編)






通常、幾度となく死ぬか生きるかの葛藤を繰り返して、しだいに絶望の感情に支配されていき、帰りたくても帰れない橋を渡ったようなとき、人は自殺します。ですから、ノリなんかでは自殺はできません。ちゃんと、遺書も書くでしょう。しかし、これら一連の自殺報道が、人生を絶望している人のストレス因になることは確かです。





私たちは、さまざまなニュースにさらされて生きています。10年前と比較しても、その量は加速度的に増えているでしょう。ネット社会ですから、それは抗えない力となって押し寄せてきます。そういうストレスが常にかかっているため、自殺報道がされると、それは遠い世界(芸能界)のことであっても、私たちのこころの片隅に、ひたひたと小さな津波となって押し寄せて、少しだけ水位が上昇します。





自殺の連鎖はしませんが、それがストレスとして蓄積されるのです。このようなことが毎日繰り返されていくと、その水位は危険水域に達することだってあるのです。このサイクルを遮断するには、いかに私たちが情報を遮断するスキルを持っているかにかかっています。危険水域に達したかな、と思われる人は別の記事を参照してください。





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◇竹内結子さんの自殺について





竹内結子さんが2020年9月27日、自殺しました。いまのところ遺書は見つかっていないので突発的な自殺だったのでしょう。ただ突発的とはいえ、死ぬ準備は進めていたのかもしれません。死のうと思って簡単に死ねるわけではありませんから。2020年10月現在の竹内さんの記事をながめてみると、自殺の原因を下記のように推測しています。





  • ①出産による仕事減少への恐怖があった⇒「第一子出産のときは、私の代わりはいくらでもいると思っていて、(仕事から離れることが)怖くてたまらなかった」
  • ②コロナ禍で仕事が給料制から出来高制になっため、手取りが激減した⇒俳優さんにとっては、この激減は想像以上のもののようです。
  • ③産後うつによるもの
  • ④中2のとき母が死亡、中3で父が再婚し、継母と生活をした影響(複雑な家庭事情)




竹内さんは自立した大人の女性でした。そのため、自分が頑張って食いぶちを稼いで家庭を回していこうと思うのは自然なことです。自殺原因の推測である①、②によって追い込まれていたと考えるのは自然なことのように思います。





  • 警察庁8月の速報値(*1)では、全国の自殺者は1849人で、7月から増加に転じています。詳細な分析が必要ですが、コロナ禍のストレスによる関連性も大きいようです。そこから類推すると、竹内さんの自殺は、経済苦によるものと考えていいかもしれません。実際、警視庁の調べ(*2)では、自殺の原因は、(1)健康問題、(2)経済・生活問題、(3)家庭問題 の順番です。




産後のストレスは当然あったと思います。しかし③産後うつだったかどうかは分かりません。産後うつのような症状を持っていたと断定できるものがないからです。





また④複雑な家庭事情についてですが、ちょうど思春期初期のとき、母と死別し、父の再婚を経験しています。一般的に誰でも中学生なら、少なからず影響は受けるでしょう。倫理規範を作り替えるためにぶつかる母親がいなくなってしまったのですから、これは子どもの成長にとって一大事です。それで不安定になったりもしますが、それは思春期ゆえのことです。





彼女は中学を出て高校のときに芸能界へ入ります。両親は大反対だったといいます。これは親としては、通常の行動でしょう。しかし、竹内さんにとっては、これは反抗の意味もあったと思います。自分の規範を作り替えるためには必要な作業だったのでしょう。こうやって彼女は成人になっていったのです。





彼女はサーフ・スプラッシュ(*3)という小説の解説を書いています。そこには「私は父に人生をすきに生きてくれたらいいと思っていた。連れ子がいるという荷物がいることを面倒に感じられたくなかったのだ。」とあります。ここから、彼女の家庭は複雑だったという人がいますが、これは再婚家庭にはよくある感情です。ましてや彼女は思春期真っただ中の女の子。自然な感情だったと思います。





◇竹内結子さんの成育歴のナゾ





竹内さんの成育上のエピソードで1つ、気になる点がありました。





  • 両親は幼い頃に離婚し、父親に引き取られていた




普通は、幼い子どもは母親が引き取るものです。母親は子どもへの強い愛着をもっているので、子どもの養育権を強く主張するものですが、竹内さんは、結局は父親に引き取られています。なぜ母親でなかったのか?母親に養育能力がなかったのか?そこは腑に落ちないところです。





もし実母に養育能力の問題があるとすれば、竹内さんの生きづらさももっとクリアに見えてくるかもしれません。そうなると、竹内さんの自殺は、もっと違った風景として見えてくるかもしれません。





そして実母との関係が問題だった場合、彼女が産後うつだったとしても、その原因は子育てのストレスにあるのではなく、彼女の成育上の生きづらさからくるのでしょう。実母との関係によって産後うつになる人は多いのです。





推測の域を出ませんが、彼女の思春期に体験した実父の再婚問題というよりも、彼女を引き取れなかった実母の問題が大きかったのかもしれません。彼女には、





  • 【自分は実母に捨てられたという絶望】がずっとあったのかもしれません。そしてその風景をずっと見ながら成長した。




安らかにお眠りください、竹内さん。





■ストレスが重なると危険。解決策は【誰かに話すこと】





Bokeh in the dark on a rainy day
視界不良のときは、立ち止まることも必要。




自殺は連鎖することはないと解説しました。しかし、ストレスが重なると自殺の可能性は高まります。






【ストレス要因が重なると自殺する可能性が高まる】われわれ一般人にとって著名人は近親者ではないですが、著名人の自殺は一般人にとって①急性ストレス障害になり得ます。そのことは三浦春馬さんの記事で書きました(関連記事参照)。

その上に②被害感が出てきたり③別の疾患の回復期にあるときは、その話題はストレスとして可算され、自殺願望が出現する場合もあります。うつ病の回復期の自殺は要注意です。(ツイート改編)






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自殺する気持ちが高まってきたと思ったら、1人で孤立している状況から抜け出して、【誰かに話して】みてください。自分の気持ちを誰かと共有することです。真面目に孤軍奮闘しているあなたは、そんなことできやしない、と思われるかもしれません。そんなときのために、カウンセラーはいることを忘れないでください。





ストレスというのはさまざまです。嫌なことやつらいことばかりではなく、楽しい、うれしいこともストレスの原因になります。被害感がストレスになるのは分かりやすいですが、実は病気の回復期もストレスになるのです。回復期がどうしてストレスを感知しやすいかについては、次のツイートをご覧ください。





◇回復期に出現する自殺願望






「うつの回復期には自殺に気をつけろ」とは、うつ病臨床で必ず言われることです。回復期は少しの落ち込みを3倍くらいに感じる。さらに、足し算でなくかけ算で感じる。つまり3つマイナスに感じることがおきると-3ではなく-27くらいになる。(-1)+(-1)+(-1)ではなく、(-3)x(-3)x(-3)と感じてしまうのです。
確かに回復期はエネルギーが蓄積されてきて、自殺するだけのエネルギーも出てくるわけですが、それだけでなく、認知的にもマイナス認知が強くなる場合があるのです(*4)。(ツイート改編)






上の解説は、落ち込みを実際よりも深く感じてしまうために自殺願望が起きやすくなる、ということを説明しています。それ以外にも、回復してくると、他者から【回復してきて良かったね】と幾度となく声をかけられるでしょう。それは善意の言葉なのですが、これが、本人にとってはつらくなることがあります。





どういうことかというと、【うつだった自分はいけなかったのか】という自己否定の思考です。「うつのときは休めとか、心配しなくてもいい、あなたは間違ってはいない、とか声をかけてくれていたのは嘘だったのか」という思考に囚われるときがあります。過去の自分はやっぱり間違いだったのか、と絶望するわけです。この【過去の自分の否定】は、回復期の人にとっては寝耳に水で、ショックを受ける言葉にもなり得るのです。





このときの言葉かけは、【焦らなくていいからね、ゆっくり行こう】です。うつを患う人は、真面目で責任感の強い人です。だから、回復してきたら、すぐにギアをトップに入れて走り抜こうとします。これは決して良いことではありません。周りの人がブレーキをかけてあげることが必要な時期なのです。





十分に回復した人には、過去の自分には否定するのでなく教えてあげればいい、というやり方もあります。例えば、【うつだった自分に向かって、何か伝えたいことはある?】と言葉をかけます。ここには、2つの視点が隠されています。





  • うつ「だった」と、過去形になっているところ。これによって、「あ、昔の話か」とインプットされます。過去形にしているところで、すでに回復しているよ、と暗に教えているのです。
  • 過去の自分に伝える、というのは、自分を客観視しているということ。客観的になっているため、さまざまな感情に巻き込まれなくてすみます。焦ったりすることも少なくなります。




このやり方のポイントは、【過去の自分に何を伝えたいか】ということです。ただ、このやり方は強力ですが、かなり回復してきてから、つまり十分に日常の業務ができるようになってからにしたほうがいいでしょう。なぜなら、これは、「普通の状態の人に向かって使える方法だから」です。精神的なダメージを受けてそこから回復してきた人に使うのは、かなりの注意が必要です。悪化させることも十分あり得ます。





■まとめ





自殺は連鎖しないものです。しかし、日ごろから死にたいを思っている人にとっては、それはストレスの一因になり得ます。そして竹内結子さんの自殺について考えてみました。経済苦による可能性も高いですが、彼女の成育歴に気になる点もありました。





このようなストレスが重なると自殺の可能性が高まります。また、絶望の時期だけでなく、回復期にも自殺の可能性が高まることを解説しました。





死のうとする人は、その人なりの理由があるはずです。どうかそのわけを【誰かに話してみてください】。これがもっとも重要なことです。死への苦しみの中をいま生きているあなたが、長い苦しみを経て、軽やかな気持ちへ到着することを祈っています。軽やかさと死は両立しないはずですから。





Bench in the morning sun
となりに すわる ひとが いれば。




Reference:





(*1)警察庁: 令和2年中における自殺の状況 (令和2年の月別自殺者数について, 速報値),2020, https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html
(*2)警察庁:自殺の原因・動機別自殺者数の年次推移, 2012, http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/H24/H24_jisatunojoukyou_04.pdf
(*3)桜井 亜美: サーフ・スプラッシュ, 幻冬舎文庫, 1999
(*4)平井孝男:難治例と絶望感の治療ポイント, 創元社, 2008





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