【社会人が転職で迷ったら二足のわらじ】心理系大学院進学を例として

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・フリーランスになりたい、転職したい。なにか方法はあるのか?
・社会人だが、心理の仕事をしたいと思っている。どのような道筋がいいのか。今の仕事をやめるには不安がある。

そんな悩み(不安)を持って生きているあなたに、何かのヒントになればと思い、記事にしました。この記事のポイントは、

  • フリーランスになるためには二足のわらじをはく必要があります。その方法を解説します。(前半)
  • リスク分散は不安も分散させる効果があります。そしてどのようにやるのか、心理職を例にとって解説します。(後半)

■【転職】フリーランスを始めるためには

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ふたりの自分でやっていく

仕事を変えるときは大きな決心が伴います。ましてやフリーランスとしてやっていこうとした場合は、苦渋の選択を迫られそうです。しかし、そこを回避する方法はあります。次のようなツイートをしています。

自分のやりたいことがあって、しかしお金になるまで数年はかかる、あるいはお金にならないかもしれない。そんなときは、迷わず【二足のわらじ】をはくべきでしょう。稼げる領域を残しておく。経済的な安定というものは精神の安定にも大きな影響力があります。自殺の大きな原因は経済苦ですから。

なぜなら理由は簡単で、お金にこころを奪われてしまっていると、判断ミスをすることが多いからです。これは投資も同じですね。負けているときに判断ミスをしやすい。売る局面じゃないのに売ってしまう。失敗しないためには、お金のことを考えない状況を作っておくことが、まず必要です。それは【今の仕事を止めない】ことです。

◇二足のわらじのはき方

この二足のわらじは、どういう状況のときにはけばいいのでしょうか。

  • フリーランスとして仕事をしようか決心がつきかねているとき
  • 仕事をやめて何か新しい勉強を始めて、その道で生きていこうとしているとき

上のような状況のときは、迷わず2つを同時にやりましょう。今の仕事の量を落とさずにやれる方法を、一生懸命に考えることです。ここで思考停止にならずに、やり方を工夫しましょう。新しい領域でお金になるまでには、最低でも数年はかかると思います。その数年を波乗りしていきましょう。コツは、

  • 現在の仕事をできるだけ省エネで流せるように工夫する。これによって、新しいことへの時間を捻出するのです。
  • 新しい仕事に関しての知識と経験を積み重ねる。そのときどんどん新しいものを取り入れていく。また、メンターを意識しながらやるといいですよ。誰がメンターなのかを探しながら。

私は社会人で心理の道をめざしたので、心理職になったとき、これまでの仕事と同時並行でした。これまでの仕事の比重を落とすまで、同時並行の時期は5年くらい続きました。当然、睡眠時間は削られます。クオリティを落とさずに従来の仕事を続け、心理職としての知識と体験を積み重ねていくには、それぞれに工夫が必要でした。私の場合、次のような工夫をしました。

  • 従来の仕事を業務委託でやっていたので、時間給ではありませんでした。ですから品質を落とさずに仕事を完成させればそれでよく、毎日の仕事の時間を減らしても収入が減ることはありませんでした。現在、正社員や派遣など時給で働いている方は、会社を辞めて、まず【業務委託】に切り替えることでしょう。
  • 従来の仕事の時間を6時間と限定する。その時間で省エネ作業できるようにする。メール処理の時間を極力少なくする。自動でやれることは自動にする。人に振れる仕事は極力、人に振るようにする。必要なら人を雇う。
  • 毎日の心理職の時間を6時間と設定する。土日はフルで心理の時間にあてる。
  • つまり、現在の仕事と心理職を半々にしました。これを5年ほど継続です。

たしかに2つのものを同時に流すのは大変なことでしょう。ともすれば、新しいものだけにしておきたいと考える人もいるでしょう。しかしそれをしてしまうと、経済苦が待っています。1人ならまだいいですが、家族がいた場合は、それは無責任というものです。今の仕事を自動化、省エネ化できるところで、工夫してみましょう。それができるのは【業務委託】です。

■リスク分散は不安も分散する

Glowing bulbs
いろいろ わけておくと あんしん

二足のわらじとはマルチタスクのことです。マルチタスクのメリットについて、次のようなツイートをしています。

【キャリアはマルチタスクでつなげていく】心理士になるために今の仕事を止めるという話を聞きますが、私は体験上、それは止めなさいと忠告します。キャリアは何足ものわらじを履きながら作り上げていくものです。それは心理以外の仕事もそうです。うんざりしてもそれをやりつつ方向性を探すのが重要。

これは先のツイートの続きです。二足のわらじをはくとは、マルチタスクになります。マルチタスクの利点は、【不安が分散する】ことです。1つの大きな不安でなく、2つの小さな不安。これはどちらが良いかというと、後者です。精神衛生上も、不安は分散させておいたほうがいいのです。投資のリスク分散の考え方(*1)と同じです。

人間というものは、1つのことに囚われてしまうと、どんどんと深みにはまっていく傾向があります。これをヒポコンドリー(森田神経質・心気症)といい、健康な人でも持っている特性です。

ヒポコンドリーとは、自分の健康を過度に心配して思いなやむことです。本人の性格や親子関係の不調が原因だとされています。ヒポコンドリーは身体的なことについてですが、何度も何度も同じ不安について追い立てられるように心配をすることは、その不安に余計なチカラを与えてしまって、不安は強大化しがちです。

そして、その不安から逃れられなくなっていきます。視界が非常に狭くなっていきます。このとき1つの不安ではなく、2つの不安に分散されていれば、視界はそれほど狭まりません。

例えば、ある仕事で失敗したとします。そのときその仕事しかしてないときは落ち込みが激しいですが、別の仕事もしていれば、別の仕事に集中することでリカバーできるでしょう。

またある仕事と、別の仕事の両方で失敗したとします。このとき、失敗の程度を比較します。どちらの失敗からリカバーしようかと考えるでしょう。そしてリカバーの簡単な方から手をつけます。つまり、失敗の程度が違うために、こういうことができるのです。こうやって失敗から抜け出せすことができます。これは自信にもなります。マルチタスクのメリットです。

■具体的に、心理職の二足のわらじのはき方

Passing on a road in fall season. Aerial view.
どちらの路も 続いていく

最後に心理職について話します。心理は、仕事がハードなわりには給与が少なく、食べていくのにしんどい職種です。これをどう乗り切っていけるか。下記のようなツイートをしています。

社会人から心理士になる方が増えていますが、心理士になるために今の仕事をやめて勉強に集中するなんて危険極まりない。リスクが高いです。両方やるべき。生きるためには決断が必要なときがありますが、心理士へ方向転換するときは、その決断のときではないでしょう。決断リスクはもっと後に取っておく。

心理系の大学院には社会人から心理へ転向してきた人が少なからずいます。大学院はかつてから夜授業のところは少なくて、昼間主体です。日中、他の施設への実習もあります。当然、他の仕事をしながら院へ通うのは困難です。仕事をやめようとする社会人も多いでしょう。でも2年間ですから、工夫して乗り切りましょう。食いぶちの仕事をやめるというのは人生の大きな決断です。家族がいたらその家族も路頭(ろとう)に迷います。人生の決断というものは、そう何度もできるものではありません。「その決断は、他にとっておいてください」と言いたいのです。

◇私が心理職になるまで

では具体的にどのように工夫すればいいのか。私の心理の大学院の体験を含めて解説します。うまくいったところばかりではありませんが、こうやって限られた時間を有効活用してください。

  • 先に説明した、【業務委託】に転向して、時給生活から決別する⇒決断はここ、業務委託になるという部分に使うべき。
  • 業務委託のメリットは時給からの離脱だけでなく、【仕事を休みやすく】なります。
    心理の大学院は日中、施設実習が入りますので、その間は仕事を休まないといけなくなります。時給で働いていると、それが非常にしづらくなるでしょう。
  • できるだけ夜間に授業のある大学院に入学する。
  • 大学院が決定して入学まで半年くらいはあるでしょう。この半年にできるだけ、心理について不足している勉強や、大学院でやることを先にやっておく。つまり【先手必勝】ということ。
    私の場合は、大学院に入るまでの5か月で、5日間のロールシャッハテストの研修をすでに受講して、ロ・テストを施行できるくらいにはなっていました。また、修士論文については、すでに担当教官になってくれそうな先生に入学前に相談を始めて、一緒に酒を飲むくらいの交友関係を作っていました。つまり予習をしていたということです。
  • 大学院の修士課程は2年ですが、仕事の関係上、その年数で収めることができないかもしれないので、入学前から【3年を想定して】実習や授業の単位を取る。
  • レポートは、行き帰りの電車の中でマインドマップ化し骨格を作っておく。あとは帰って書くだけ。あるいは電車の中で書く。マインドマップの実際のやり方については、下記の関連記事のリンクを参照ください。
  • できるだけ授業で習得(記憶)する⇒マインドマップを書きながら授業を受け続けました。これが授業のみでの習得のコツです。授業を受けながらそれをマインドマップするのは集中力が必要ですが、慣れると結構楽しいものですよ。心理職になると多くの研修に出る機会がふえるでしょう。大学院にいるうちにこのスキルを身につけることができれば、そんな研修でも乗り越えていけるでしょう。関連記事を参照ください。
  • 心理職を始めたら、できるだけ早い時期にスーパービジョンを受け始める。これによって心理職としての知識と経験の集大成化をスタートできます。

▼関連記事
【創造する大学院ノート術】講義を聴きながら丸ごとマインドマップする方法

■まとめ

フリーランスを始めるためには、まず二足のわらじをはきましょう。そのコツのスタートは、仕事を業務委託で請け負うことです。

二足のわらじをはいてリスクを分散させておくメリットは、不安も分散し、大きな不安に呑み込まれないですむことです。

最後に、心理職になるためにどのようにマルチタスクをこなしていくか、実際の私の具体例を紹介しました。

Blue and yellow ripples; Oshawa Central, Canada

一生のうちで職業選択の悩みは何度もやってくるでしょう。けれど原則を押さえていれば怖くありません。あなたの仕事がうまくいきますように。

Reference:

(*1) 小林 武文:現役精神科医の投資コンサルタントが語る 株式「分散投資」のメリット, 幻冬舎Gold Online, 2018, https://gentosha-go.com/articles/-/17885

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