臨床心理士の高間です。
この記事は、毎日を健康に生きるエッセンスをお伝えします。
・投資をしてみたいのだが躊躇している
・投資をやるこころがまえのようなものがあったら知りたい
なかなか決断できないあなたに、何かのヒントになればと思い、記事にしました。この記事のポイントは、
- こころの悩みからの回復に獲得した技術が、投資の技術につながる(前半)
- 投資は修行かもしれない。しかし楽しくも投資できる(後半)
この解説は、投資をしている人から聞いた話に対して心理学的考察を加えたものです。筆者は投資をやっているわけではないので、あくまでも参考としてお読みください。
また投資は、マネーゲームとも言われ、広い意味でギャンブルとして捉えられることもあることをご理解ください。投資を始める前に、ギャンブル依存にならないための方策も必要でしょう。
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■「こころの悩みから回復した人は投資に成功する」という説
投資をするときの大切な心構えというものを教わりました。私自身は、投資はしたことがないのですが、興味深い話だったので紹介します。次のようなツイートをしています。
投資する心構え【恐怖と欲に囚われないこと】らしい。恐怖も欲望(執着)も両方とも、カウンセリングのメインのテーマです。この2大巨頭を手なづけるのは、カウンセラーでも至難の技といえそうですね。そして、ここは【マインドフルネス】という領域でもあります。投資で成功するには心理学を極める?
— しのぶ@ソレア心理 (@soleapsy) September 18, 2020
投資する心構え【恐怖と欲に囚われないこと】らしい。恐怖も欲望(執着)も両方とも、カウンセリングのメインのテーマです。この2大巨頭を手なずけるのは、カウンセラーでも至難の技といえそうですね。そして、ここは【マインドフルネス】という領域でもあります。投資で成功するには心理学を極める?
投資に成功するには、知識を学ぶ以上に自分のこころを整えることが重要です。どういう心構えかというと、
- 投資に失敗するという恐怖に駆られて行動しないこと。
- この投資によって儲けたいという欲で行動しないこと。つまりお金に執着しないこと。
こころの悩みから解放されると、過剰な恐怖や執着がない状態になります。ですから、投資をするなら、このタイミングといえるかもしれません。ひるがえって考えると、こころが病んでいるときは投資するな、ということです。それは上の2つの状態になっているから必ず失敗します。
恐怖という感情は、人間にとっては原初的な感情です。恐怖がないと危険が迫ったとき逃げられないので、恐怖というものは、種族の存続には必要不可欠なものです。
ただ、この恐怖という感情は、やっかいなものでもあります。差し迫った大きなリスクを感知するには有効に働きますが、それほどでもないときでも働くことがあります。精神的なダメージを受けている場合は、後者のように、必要ないのに働いてしまいます。それによって人間関係に亀裂が入る場合があります。
心理学的に読み替えると、【過剰な恐怖は投資にとってマイナスである】ということなのでしょう。適切な恐怖による行動は問題ありません。恐怖に駆られて投資行動する場合は、もう適切な恐怖の範疇を超えているのでしょう。
儲けたい気持ち、つまり欲望ですね。この欲で行動するな、という。欲とは、何かを欲するこころです。食欲、性欲、睡眠欲、物欲(金銭欲)、自己顕示欲、自己向上欲などがあります。
脳科学やマズローの5段階欲求階層論によると、生理的欲求⇒安全への欲求⇒所属や愛への欲求⇒承認欲求⇒自己実現の欲求があるとされています。欲望というのは、人間活動をしていくうえでは切っても切り離せないものだと分かります。
お金というものは社会的に獲得するものなので、所属や愛への欲求に入ります。これを心理学的に読み替えると、投資で成功するには【社会的なものから距離を置く】ということになるでしょう。どこにも所属せず、孤高な状態で活動しながら、お金に一喜一憂しない、ということになります。
以上をまとめると、投資を成功させるためには、心理学的には次のようになるのでしょうか。
- 過剰な恐怖は抱かないこと。
- 孤独なこころの状態で、お金儲けしろ。
恐怖と孤独を手なずける必要があり、これは結構難しいですね。だから、投資というのは誰にでもできるものではないのでしょう。
たしかにこの2つの状態を手にするのは大変です。しかし、その前段階なら可能です。それがマインドフルネスです。自分の状態を観察していくこと。つまり以下の状態の観察です。
- どのくらい自分はこの投資に怖がっているのだろう。
- 自分が社会から切り離されていくにつれて(孤独になっていくにつれて)、他の感情は動いてないだろうか。
例えば、ここでもし「さみしさ」などの感情が湧き出していたなら、孤独から遠ざかっているので投資は控えたほうがよさそうです。なぜなら孤独はさみしくはありませんから。孤独とさみしさは別の感情です。
■投資が修行になっていればマイナスにはならないかも?
マインドフルネスの行動というのは、たやすく習慣化するものでありません。それを習慣化する価値が大いにあるのですが、難しい。ではその状態で投資をしたい人はどうすればいいのか。次のようなツイートをしています。
恐怖と欲を観察しているというのはマインドフルネスですが、その行動は疲れます。正直いって大変です。ですから、恐怖と欲を感じないところ(つまり楽なところ)でやればいいといオプションがあります。これは臨床にも応用できるところでしょう。投資は臨床に活きる?(ツイート改編)
投資の額などを制限して、失敗してもいいや、くらいの心持ちでやるのです。そうすると、恐怖もお金を儲けたいという欲も抑えられているので、成功しても舞い上がりません。儲けが少ないからです。
儲けは少ないですが、【その作業にこころが持っていかれていない】というところが最大のポイントです。この心持ちでいられる金額を自分で分かっていることです。ここが投資成功のポイントです。少しでもこころが投資に引きつけられているなと思ったら、その投資は失敗する可能性が高くなります。
このへんの場所が自分で客観的に分かっているということは、自分のこころが分かっているということですので、このスキルは自分を落ち着かせるために、十分使えるものです。
そんなこころで投資をしていても楽しくないという人もいるでしょう。そうですね、楽しむために投資をするかというと、そういうものじゃないということになります。つまるところ、投資って何か修行みたいなものなのでしょう。投資家の皆様いかがでしょうか。
■負けない気持ちが続けば楽しい
これまでの解説は修行としての(楽しくなさそうな)投資でした。ここでは投資の楽しみについて解説します。下記のようなツイートをしています。
投資は狩人だ、という捉え方があるそうです。
・寒い河原で、遡上する鮭を低姿勢で何時間も待ち続ける北キツネのよう
・もう一つ大切なことは、狩りに出かけながら大物を狙わないこと。勝とうとするのでなく、負けない気持ちを持続させること。こうなれば楽しい。投資はカウンセリングのようですね。(ツイート改編)
大物を狙わないということは、「それでお金儲けしようとしない」という、いままでと同じ主張です。それプラス、【負けない気持ちを持続させる】ことが重要といいます。結果をすぐ出すというのではなく、波乗りをしている感じですね。
向かい風も追い風も利用しながらダイナミックソアリングするアホウドリの話は、健康心理学【フロー】でしてきましたが、あのようなこころで投資をするのです。つまり、落下しないようにダイナミックソアリングを楽しむ。そのへんがカウンセリングと似ているのです。
カウンセリングも、途中で中断しないように長い旅をし続けます。飛び続けます。
■まとめ
投資をするには、次のこころがまえが重要そうです。
- 過剰な恐怖は抱かないこと。
- 孤独なこころの状態で、お金儲けしろ。
この状態は簡単には手に入らないので、マインドフルネスの技術を使ってみます。
- どのくらい自分はこの投資に怖がっているのだろう。
- 自分が社会から切り離されていくにつれて(孤独になっていくにつれて)、他の感情は動いてないだろうか。
この状態を作るのは難しいかもしれません。その場合は、儲けは少ないですが、【その作業にこころが持っていかれていない】という状態で投資をしてみましょう。これは修行と思われるかもしれませんね。
最終的に楽しく投資をするには、大物を狙わないことです。そして勝とうとするのでなく、負けない気持ちを持続させること。こうなれば楽しいはずです。
心理学を応用して、投資するときの気持ちをととのえて、楽しく投資ができますように。
大きな恐怖と執着によって動けなくなっている場合は、ソレア心理カウンセリングセンターへ