学びは認知行動療法の十八番!カウンセリングではNGワード

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ひと昔以上前、ACで有名な斉藤学先生が研修で話していました。セッションの最後に言う言葉は「今日の学びは何ですか?」です、と。10年以上たった今でもこのことを覚えているので、このことは私の中ですごく衝撃的なことだったわけです。このことが原因ではありませんが、研修は麻布で行われていましたが、それ以来、私は斉藤先生の研修から離れていったように思います。

斉藤先生の画期的な治療方針はPIAS(逆説的介入)と言います。逆説的介入とは、例えば緊張する人に、「人前で緊張しなさい」というのです。そして緊張させて、「もっと足りない、もっと緊張しなさい」と言います。そうすると、そんなに緊張できないことに気がつき、あぁ、自分はそんなに緊張できないのだと思うようになります。こうやって緊張を取っていくのです。

普通はリラックスしなさいですが、そうは言わない。家族療法でよく用いられる方法です。斉藤先生は家族療法にも詳しい先生ですね。解決的アプローチでも、エリクソン催眠でも逆説的介入はよく用いられるでしょう。

私にとって何が衝撃だったかというと、斉藤先生が「学び」という言葉を使ったのがとても意外でした。学びというのは認知行動療法的なにおいがして、弁証法的行動療法のことを話していたのだったか、それも仕方ないのかと思いました。しかし、学びという言葉には、先生と生徒関係が発生するようで、そうなるとそこには上下関係が発生してしまいます。だから斉藤先生がその言葉を使うこと自体、とても違和感がありました。

斉藤先生はAC臨床が長く、ACの人は自然と意識せず教師ー生徒の関係に入りやすいので、そういう言葉は使うべきではないと思っていたからです。学びという言葉はAC臨床では禁句ではないのかと、それじゃ、治らないじゃないかと思ったのでした。

言葉をどう使うのかはセラピストそれぞれですが、たった一言でセッションあるいはクライエントとの関係性を台無しにしてしまう威力をもっているものです。そこをセラピストは自覚している必要があります。私も人のことは言えず、失言は多いのですが。

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