・感情をコントロールするのが苦手だ
・怒りや嫉妬、負の感情が爆発してしまう
・家族や恋人の前で感情的になってしまう
感情をコントロールすることは簡単なことではありませんね。ただ、いつもそれに振り回されているのもつらいことです。そんな人のために役立つヒントをお伝えします。
この記事は、のべ2万人余りの悩みを聴き続けている、マインドフルな臨床心理士が学んだことを中心に、従来の知見に止まらず、最新の知見を解説したものです。
この記事によって、感情をコントロールする原理が分かります。つまり、感情と感覚の親和性に気がつきます。その結果、豊かな生活は、まず感覚中心にすべきだと分かります。
前半では、感情のコントロールという問題についてのヒントを、
後半では、感情と感覚の関係について解説します。
ここでは、次の3つのことを解説します。
・感情を出せない人へのヒント
・怒りのマネジメントへのヒント
・感情を制するには、感覚を制すること
■感情を出せない人へのヒント
感情をコントロールするには、まず感情の正体が分からなければなりません。自分の感情を把握する必要があります。カウンセリングで扱う主な感情は、次の7つです。
- 不安
- 怒り(嫉妬)/さみしさ
- 恐怖
- かなしみ
- 絶望/孤独
- 諦め(明ら目)
- 楽しみ/喜び
先日、次のようなツイートをしています。
感情を出すのが苦手な人は「ごめん」とか「ありがとう」とかも表現しづらい傾向があります。そういう場合は、感覚を出してみることです。感覚を出すのは感情を出すよりもハードルが下がります。「このご飯、美味しい」とか「この歌のココ、いいね」とか。感覚から始めれば感情に接近していきます。
— しのぶ@ソレア心理 (@soleapsy) July 11, 2020
感情を出すのが苦手な人は「ごめん」とか「ありがとう」とかも表現しづらい傾向があります。そういう場合は、感覚を出してみることです。感覚を出すのは感情を出すよりもハードルが下がります。「このご飯、美味しい」とか「この歌のココ、いいね」とか。感覚から始めれば感情に接近していきます。
感情というのは、隣で認知が監視しています。そして自分の感情に対して、チャチャを入れてくるのです。それはいいとか悪いとか。だから、親の否定的な言葉が認知に刷り込まれている人は、感情を消して、認知に監視されないようにします。認知というのは、だいたいバカ(笑)なので、まんまとだまされます。
だから、認知の監視をかいくぐるためには、認知から遠いところにある、そして圧倒的なパワーを持っている【感覚】を感じるといいのです。認知が地球だとしたら、感情は月であり、感覚は太陽です。感覚(太陽)は認知(地球)から離れていますが、絶対的な存在感をもっています。
そして、「夕焼けキレイだね」「雨が冷たくて気持ちいい」など、感覚の言葉を使っていれば、その言葉は、感覚と隣接領域にある感情に接近してくるのです。その結果、感情の言葉を使えるようになってきます。
感覚→感情→認知の関係については、アートセラピーの大御所 Lusebrink の参考資料 (ETC)を参照ください(*1)。中心理論を図解したものを貼っておきます。
例えば、私たちは、かなしいとき味(味覚)さえ分からなくなり、音楽(聴覚)さえ聞こえなくなりますが、人から握られた手のひらの感覚(触覚)は分かるかもしれません。
感情の津波にさらわれたとしても、感覚を感じていれば、助かる確率は高くなるでしょう。
ありがとうとか、ごめんとかは、言ってしまえば何てことはないのでしょう。行動してしまえばそれで終わり、と考える向きもあると思います。普通の人ならそれで問題ない、とにかく行動でOKでしょう。
しかし、感情がその言葉をストップさせている場合は異なります。いくら認知が「言え!」と感情に命令してもテコでも動きません。感謝の気持ちは沸いてきません。より強い感情で感謝の気持ちをストップさせに行きます。そのため【感覚からの支援が必要】という視点で見てください。
■怒りのマネジメントへのヒント
怒りの問題で悩んでいる人は多くいます。また怒りはすごいのに、悩んでいない人もいます。それらをまとめると半数くらいは怒りの問題があるのでしょうか。怒りをマネジメントする本が売れているのはそのためです。では怒りの何が悪いのでしょうか?
怒りに支配されている人は、他の多彩な感情に気がついていないということが重大な問題です。怒り自体は悪いものでもないのです。それが強烈すぎるところが問題なのです。では怒りのマネジメントをするには、どうすればいいのでしょう。結論は、他の感情に気づくことです。
次のようなツイートをしています。
感情はコントロールできません。感情の問題のある人にとってはアンガーマネジメントもストレス以外の何物でもありません。コントロールしようとすると大爆発が起こります。ですから、まずその感情を見ることです。感情は、怒りだけではありませんが、ひとまず怒りを見てみる。眺めている。それが第一歩。
まず自分の怒りを知ることから始めましょう。怒りを十分に【理解】できなければ対処のしようがありません。
次のような怒りのマネジメントが提案される場合もあります。
- 深呼吸で鎮める
- だまる
- 目線を上へあげる
- 体を動かす
- 場所を変えて時間を置く(タイムアウト)
- 感謝する
- 意味付けを変える
意味付けを変えるとは、「最悪!」と感じていることを「これを糧にできる」というリフレーミングのことです。しかし、これは認知的にやっても失敗します。こういうときは、最悪という風に吹かれながら、90°方向へ飛行することです。参考記事を張っておきます。
▼気の流れや感情をマネジメントせず健康になるには?【結論:ゾーン】
しかしこれらは応急処置です。怒りをこのやり方で抑えたとしても必ず再燃します。なぜなら、根本にある理由の部分が手当てされていないからです。
手当てとは、怒りを良く観察して、自分がどうしてこの強烈な感情を抱くのかを見ていくことです。それには伴走者が必要な場合もあるでしょう。そのときはカウンセラーに相談することをおススメします。
でも怒りが爆発しているときはどうしようもない、早く納めないと大変なことになる、と思う人もいるでしょう。
そういう人に、とっておきのアートセラピーをお伝えしておきます。これは怒りを鎮めるというよりも、怒りそのものにアクセスしています。そして、これは視覚や聴覚や触覚にアクセスしているのです。
◇怒りのためのアートセラピー
用意するもの:
A4コピー用紙数枚、クーピー12色
- 黒でコピー用紙に四角の枠を描く。サイズはお好みで。
- その四角の中に、怒りを表現する。どんな表現でもいいですよ。抽象的でもOK. 具体例を貼っておきます。
アートセラピーではありませんが、動画でヘンガオをやっていますが、あのヘンガオで、感情表現してもいいと思います。特に怒りの表現は、やりやすいのではないでしょうか。
また、怒りの問題は長い目で見ていくと、自己肯定感の問題につながってくるかもしれません。関連記事をご覧ください。
▼【自己肯定感】を育てる最強の習慣はコレ!~自分編【保存版】
■感情を制するには、感覚を制すること
Lusebrink の図版で分かったように、感覚は感情の下位にあるものです。ですからまず感覚を制すること。豊かな生活は感覚を中心に回っているのです。例えば、
- 不安が襲ってきた
- 手に温度差があったら、温かいほうで、冷たいほうの手を握る
- その温かさを味わう
- 逆の手で握り返して、冷たさを味わう
こうやって、感情を、感覚に戻しているのです。
コツ:1つではなく、色々な感覚を味わうこと。
■まとめ
感情を出せない人は、自分の感情を知るために、まず感覚を感じてみる。
怒りについてもコントロールしようとせず、感情をまず分かってあげ、感覚のほうからアクセスするやり方をお伝えしました。
最後に、感情を制するなら、まず感覚が第一歩という話をしました。
感覚を中心に豊かな生活を送れることを、お祈りしております。
Reference:
(*1) Kagin, S. L., & Lusebrink, V. B.: The expressive therapies continuum, Art Psychotherapy, 1978
なかなか感情を抑えきれないときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ