こんにちは。高間です。
これまで、のべ2万人の悩みを聴き続けている、マインドフルな臨床心理士です。
この記事は、毎日を健康に生きるエッセンスをお伝えします。
・子どもが注射をいやがって病院へ行きたがらない。
・子どもが元気でやってくれるのが一番だが、子育てが思うようにいかない。
・なかなか、子どもの気持ちが分からない。
そんな悩み(不安)を持って生きているあなたに、何かのヒントになればと思い、記事にしました。この記事のポイントは、
- 子どもの気持ちを分かってあげれば、子どもは元気になる(前半)
- 子どもはまだ言語化できないことも多いので、子の気持ちを分かる行動を諦めないこと。これは地域コミュニティなどの人間関係にも活きる(後半)
■子どもを元気にする秘訣は【分かってあげること】
親としては自分の子どもが元気にやってくれているだけで、嬉しくもありホッとするものです。だから子どもが元気になるように対応することが、子育てではかなり重要なポイントでしょう。次のようなツイートをしています。
子育てで一番重要なことって何でしょう?
人によって違うかもしれませんが、【子の気持ちを分かってあげること】は結構上位に入るのではないでしょうか。「分かってもらえた!」という感じは、子どものこころを開放し親と一緒の生活を楽しくします。
これは他の人間関係にも応用できます。相手を分かってあげると、相手はホッとして、楽しくもなるでしょう。(ツイート改訂)
人間は自分の気持ちを理解してもらえたと思えると、その人に対して親近感を覚えます。相手との関係性が親密になりポジティブな感情が生まれやすくなります。これは子どもに対しても同じです。
子どもの気持ちを分かるには、まず【傾聴】です。子どもが何を訴えているのか、しぐさや表情、声のトーンなども含めて観察します。これも傾聴の一部ですね。なぜなら、人の会話の93%が非言語表現である(*1)という研究もあるほどですから、非言語のチェックは必須です。
例えば、子どもがすねて病院へ行くのを嫌がっている場合、
「どうしたの?病院行くの嫌なんだよね」
⇒ここで子どもの気持ちを表現
「うん、嫌だ!嫌だ!」
「予防注射痛いよね。怖いよね。」
⇒ここで子どもの気持ちを表現
「痛いの嫌だ!痛い、痛い!」
⇒このとき、子どもは何も言わないかもしれません。自分の不安と戦っているのです。このときは子どもの不安な顔を見ながら背中をトントンやっていると、痛いの嫌だという言葉を発するかもしれません。この言葉を発するように待っていることです。
「行きたくないよね。でも予防注射しとかないと、熱出たときもっと痛くなるからね、その予防だよ。体の中にアンパンマンを作るんだよ。そうすればバイキンマンがやってきても負けないよ!」
⇒ここで子どもに分かる言葉で言いきかせている。
コツは、「嫌だ!」という気持ちを母親がしっかりと分かっていること。そして「嫌だ」とか「痛い」ということを子どもに何度でも言わせてあげることです。ついつい、これらの言葉を止めようとするかもしれませんが、それをたくさん言わせてあげる、それを分かってあげていることです。
また、カウンセラーの場合、傾聴しつつ見立てなければ、分かったことになりません。「目の前の人は〇〇だからこんなに苦しい人生だったのか」これが分かってあげるということです。この「○○だから」が見立てです。正しい見立てができると、目の前の人に対してのカウンセラーの感情がシンプルにセットされます。つまり、迷いなく相談者の前に座っていられるわけです。この安定感は、カウンセラーの非言語表現として相談者に必ず伝わります。
◇子ども(他人)をご機嫌にする秘訣
「分かってもらえた」と思えると、子どもはホッとします。楽しく感じる場合もあるでしょう。先の例でいうと、子どもの「痛い」「嫌だ」を十分に言わせること、それに親が同意していることです。痛くないよとか、注射はしないよとか、ウソを言っても必ず子どもにはバレます。その代わりに十分に表現させてあげることです。
この対応が子どもに余白をあたえ、子どもはフロー(ゾーン)状態に入る下地ができます。注射前だと、まだ安心はできていませんが、注射後は気分を変えて元気に話すわが子を見ることでしょう。
これが子どもをご機嫌にする方法です。たぶん唯一の方法ではないでしょうか。他人に対しても同じです。
■自分の気持ちが分からないことも多い
子育ては、親が子どもの気持ちを分かってあげることでした。しかし、子どもは自分の気持ちが分からないことも多いです。【まだ言語化できない】からです。そんなときは、親が子どもの気持ちを代弁してあげるのもいいです。
次のようなツイートをしています。
子どもは、自分の気持ちがモヤモヤとしてどんな気持ちが分からないとき、機嫌が悪くなります。
親がそれを「怒っているね」などと言語化でき、それが子どもの気持ちに合っていれば、子の機嫌は直り、親子の愛着は強化する。
気持ちというものは、なかなか合いませんが、10割ヒットする必要はなく、4割くらいを目指す感じで。(ツイート改訂
子どもは言葉が未発達なので、自分の気持ちを表現できないことも多いです。表現できないので、それを【モヤモヤ】と感じることが多いです。それでは子どもも気持ち悪いので、親が手助けをして、子の気持ちを【押し付けにならないように】探っていくことも必要でしょう。一緒に探検するような感じ。楽しくやってください。
そうすると子どもは自分の気持ちが分かることは、どんなに晴れやかになるのかを経験します。そしていつか他人にも同じようにやってみようと思うでしょう。こうやって子どもの社会化が進みます。アイデンティティの形成へスムーズに進めます。なぜならアイデンティティは社会的なものですから。
実際、子どもは気持ちをしっかり感じる前に、モヤモヤとしたフィーリングを胸のあたりに感じます。ですから、このモヤモヤからスタートすればいいでしょう。モヤモヤという気持ちはありませんが、気持ちになる以前のものをモヤモヤとして感じているから、それをシンプルに「モヤモヤしてるの?」と表現してみるのです。このモヤモヤして感じ、体の中に感じる気がかりな感じをフェルトセンス(*2)といいますが、ここではそんなに心理的に考える必要は全くありません。
このモヤモヤとした感じに対して、子どもが置かれている状況から子どもの気持ちを想像して、その感情を表現してみるのです。例えば「不安だよね」とか。それがぴったりだと、不安は低減されます。不安ながらも子どもの顔が少し緩むかもしれません。その表情を見落とさないように。それによって、親が想像した子どもの感情がぴったりだったか判断できます。
とは言っても、そんなの当たるの?という親御さんもいるでしょう。これは練習あるのみです。騙されたと思って、何度も繰り返してください。打率はしだいにアップするでしょう。10割バッターを目指す必要はありませんから。
■親御さんは諦めないで!
気持ちを分かってあげることは子どもを元気にする秘訣でした。けれど子ども自身、自分の気持ちが分からないことも多いので、なかなかその気持ちを言い当てることはできないこともあります。けれど、親御さんは、それを諦めないことです。下記のようなツイートをしています。
親が気持ちを察してくれない場合、子どもは「それをしてくれるまで待っていたり」します。
親が子どもの気持ちが分かるようになるまで子どもは待ち続けますが、待てど暮らせどそれがムリなんだなと分かると、諦める選択肢しかありません。
このような状況に追い込まれ、諦める恐怖と戦っている子どもは少なくありません。(ツイート改訂)
子どもの元気の素は【親に自分の気持ちが分かってもらえた】という体験でした。その体験が少ないと、子どもの元気も少なくなってしまうでしょう。ですから、忙しい親御さんには申し訳ないのですが、時間があるときは、子どもの気持ちに接しながら、それを表現する活動を続けてあげてください。
その体験がないと、自分の気持ちがなんだか分からないまま不安だけが増大して、しだいに自分の気持ちさえ信用できなくなって自信喪失につながり兼ねません。
また、この体験は親御さん自身にも、会社や地域コミュニティでの人間関係構築上、とても有用なスキルになるでしょう。
■まとめ
子どもを元気にする秘訣は、子どもの気持ちを分かってあげて表現してあげることでした。そのためには傾聴が必要です。
ただ、子どもはまだ言語の発達が不十分なので、気持ちが分からないことも多いです。親御さんは諦めずに、分かってあげる行動を続けてください。諦めないようにお願いします。
気持ちを分かってあげることで、子どもや他人との関係がご機嫌なものになりますように。
Reference:
(*1) Mehrabian, A: Silent messages. Wadsworth, Belmont, California, 1971 http://www.kaaj.com/psych/smorder.html
(*2)ユージン・ジェンドリン: フォーカシング, 福村出版, 1982
なかなか子どもの気持ちが分からない場合は、ソレア心理カウンセリングセンター(埼玉県)へ