【ショック!】精神年齢は世代間連鎖する、子は親を越えられない

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・精神年齢が高いとはどういう人のことをいうのだろう?
・うちの親が子どもっぽいが、自分もそんなところがあり心配だ
・精神年齢というものは、どうやったら分かるのだろう?

これらの悩みをお持ちの方。この記事を読むと、
・精神年齢が高いとはどういう意味か
・自分の精神年齢を進めるにはどうすればいいか
・精神年齢はどうやってわかるのか
などを解決するヒントが分かります。

この記事は、のべ2万人余りの悩みを聴き続けている、マインドフルな臨床心理士が学んだことを中心に、最新の知見をお伝えします。

前半では、精神年齢の世代間連鎖のこと、
後半では、カウンセラー向けの心理発達の見立ての実際について解説しています。

具体的には、次の6つのことを解説します。

  • 心理発達段階とは精神年齢のこと
  • 精神年齢が高いとは?
  • 精神年齢は世代間連鎖するというショック!
  • 親を越えるという奇跡(ここまで前半)
  • 精神年齢は3世代を調査
  • 精神年齢の見立てミスを知っておく

長文ですが、心理学界隈では、ここ10年くらいの最新の見立て方法です。私自身、10年間、これをやり続け、実績を出しています。心理職の人にとっても、全く新しい知見ですので、よく反復してお読みください。心理でない人にも分かるように説明しました。今回は、成人期の見立てという基本的なものを説明しています。

■心理発達段階とは精神年齢のこと

Color gradients of autumn leaves
自然に生きるなら、当然、紅葉します。

カウンセリングで見立てを行うとき、特に【心理発達段階】の理解が重要です。これはエリクソンの心理社会発達理論(ライフサイクル)に準拠した区分ですが、この見立てを開発したのは、精神科医の高橋和巳先生です (2011)。とても素晴らしい見立て方法ですので、ここで紹介します。私なりに追加した部分がありますので、基本的な見立てを知りたい人は、高橋先生の研修に参加してマスターしてください。

心理発達段階といってもよく分からない人がいるかと思います。人の精神的な発達段階に合わせて、大きく分けて、幼児期→学童期→成人期の3つです。ざっくりこの3つのどこに入るかがポイントです。

各期の間に、反抗期が入ります。幼児期が終わる頃(2~3歳)第一反抗期が始まり、それが終わって学童期(4歳以降)になり、第二反抗期(思春期)を経過して成人期に成長します。思春期を一つの発達段階と捉えず、反抗期として捉えているところが高橋先生の特徴です。(私の場合は、思春期は一つの時期として捉えています。)

心理発達段階とは精神年齢と考えてもいいですね。英語でMA (Mental Age) です。実年齢が40歳でも、なんだか精神年齢が小学生っぽい大人がいますよね。そういう人を【心理発達的に学童期】と言います。高橋先生は、成人学童期という造語を作っています。

■精神年齢が高いとは?

精神年齢は心理発達段階と同じであることが分かりました。では、精神年齢が高いとは、臨床的には、下記で定義されます。

  • 精神年齢が高いとは、心理発達段階が成人期に達している

結構、抽象的ですね。成人期に達するための条件を考えてみると、思春期まで通過してきているということです。思春期があった、なかった、という表現を聞いたことがあると思いますが、アレです。

思春期を経験して成人期に達しているとは、臨床的には、下記で定義されます(精神科医の高橋和巳先生による)。

  • 学童期に親から教えてもらった倫理規範は、親の規範のコピーにすぎません。それを、思春期に壊して再構成して、自分のものに作り直すこと。この時期を越えると、人は成人期になります。

簡単にいうと、【倫理規範を自分のものに再構成すること】です。全然、簡単ではありませんが、心理士は、そこを相談者の会話から聴き取って見立てに生かしていくのです。

関連記事もご参照ください。

▼母と子の愛着ベースの攻防戦★母子葛藤

具体的には下記のような属性が成人期と観られていますが、そうとばかりは言えません。やせ我慢をしている場合もあるからです。下記に囚われず、そのへんも観て行くのが心理士の役割です。

基本は、倫理規範が自分のものになっていれば、その人は成人期=精神年齢が高いです。

  • 客観的に人や物事を観察、判断できる
  • 自分の責任で意思決定できる
  • 人のせいにしない
  • 自己中でない
  • 自分が見えている
  • 他人の感情を理解できる
  • 聞き上手
  • 相談できる
  • 頭を下げることができる
  • 感情的にならず冷静だ
  • 豊富な経験がある

◇精神年齢チェックアプリ

おまけで、精神年齢診断アプリを紹介しておきます。
こういうテストは、精神年齢が高いほうの予測がつくので正確な測定はできません。そのへんを承知して遊んでください。

◆精神年齢診断+ 実は何歳?あなたの心をチェック!! (Android) iOS版

◆精神年齢診断

■精神年齢は世代間連鎖するというショック!

次のようなツイートをしています。この記事では前半部の解説をしています。

複数の精神科医の中で、暗黙の了解事項として受け継がれていることがあります。これは都市伝説ではありません。私の知る限り、次の2つ。
・子どもは親の心理発達段階を越えられない【重要!】
・認知療法が効くのは成人期以降
私も、これに従って見立ても立てるし、アプローチの仕方も考えます。

子どもは養育者の言動を見て育つので、心理的な反応は【養育者をモデル】にして育ちます。だから、親以上になることはできないのです。

もう少し詳しくみると、親をモデルにするというよりも【養育者をモデル】にするのです。養育者とは愛着を結ぶ親のことでした。愛着を結ぼうとするのは、一緒にいる時間が長い養育者でした。ということは、だいたい母親になります。

こちらの参考記事をご覧ください。

▼生きるために必要なこころの栄養★愛着とは? 

ここで分かることは【子どもは母親の精神年齢を超えることができない】という愕然とした事実です。このことを語っている精神科医が複数いるのです。さすがに著書では書けないのでしょう。講演や研修の雑談で、こういう重要なことが出てきます。チョー有名な精神科医も同じようなことを話しています。(本音は雑談で出るのです。)

認知行動療法についての関連記事もご参照ください。

▼【認知行動療法 CBT】の効果は何歳くらいからあるのか?

例えば、次のような見立てになります。まずこの大原則が重要です。

  • 母親の心理発達が成人期→子どもが成人しているなら、子どもは成人期
  • 母親の心理発達が学童期→子どもも学童期
  • この原則から外れる場合は、つまり子どもが母親の精神年齢を越えている場合は、母親の脳機能障害を疑います。ここで愛着の査定が出てきます。

見立てが難しい場合は多々ありますね。こんな例は、よくあります。

  • 相談者の言動から考えると、相談者は【成人期】である。しかし、親はどうみても成人期未満の言動である。この場合、相談者が親の心理発達を越えていることになります。これは原則に反するので、相談者か親か、どちらかの見立て違いになります。
  • 相談者の見立て違い→相談者は成人期未満と考えたほうがいい。
  • 親の見立て違い→親は脳機能の障害と考えたほうがいい。

しかし、何度考えても、相談者は成人期の言動をしており、親は成人期未満である。

  • 次の「親を越えるという奇跡」をご覧ください。

親を越えていくのが成長だと思いたいですよね。でも、カウンセリングでも受けない限り、親の心理発達を越えることはできないのです。でも親が成人期なら子どもも成人期なのです。成人期ならI期、II期、III期と、約60年ほどの長い時間があります。ここはご自由に成長していってください。

■親を越えるという奇跡

Throwing stone
ラッキーは、おそらくラッキーじゃない。

次のようなツイートをしています。

親の心理発達を越えられないので、子どもは苦しくなってカウンセリングにやってきます。そしてカウンセリングを通して止まっていた心理発達をGoさせます。しかし稀に、親の心理発達を越えているな、と思う人に出会います。理由はまだ確定できませんが、【パートナーの成熟度】が関係していそうです。

親の心理発達を越えるには、カウンセリングなどが必要です。私は、のべ2万人ほどの悩みを聴いてきました。その都度ジェノグラムを描いて、各人の心理発達段階をメモしてきました。その膨大な臨床データがあるのですが、そのジェノグラムを見ていると、心理相談をしたことのない人で、親の心理発達を越えていると思える、奇跡の人にときどき出会います。どのように見立てを検討しても、親を越えているのです。そういう不思議な体験を時々します。

親の言動がお姫様タイプで、見るからに学童期の母親がいたとします。その子どもも、普通は学童期になるのですが、責任をもって仕事をしており、成人期まで発達していることがあります。

この例外は、下記の理由があるように思えます(まだまだ検討中)。いずれにせよ、かなり稀なケースですが、奇跡ではありません。必ず理由があるはずです。

  • 親を徹底的に反面教師化した。つまり嵐の思春期を波乱の中、通り抜けた。
  • 結婚したパートナーを初め、職場も含め、成人期の人々の中に囲まれていた。

■精神年齢は3世代を調査

親の心理発達を越えられないという真実があるので、相談者の見立てをするとき、親の見立ても必須です。見立ては3世代に渡ってやりましょう。最大の見立てミスは、【相談者の親の心理発達段階が、幼児期なのか、学童・思春期なのか】を正しく査定できるかどうかというところ。実は、今でも迷うことがある。

Hand to hand, grandma and grandson
精神発達は、家系の中で伝承される

相談者の語りの中から親の言動を拾って、親と相談者を見立てていくには、情報が少なすぎる場合があります。ですから祖父母まで情報を取って、3世代を俯瞰してみれば、心理発達段階を決めやすくなります。(ここでも俯瞰スキルは有用です。脱線しますが、参考リンクを張っておきます。)

▼【目標を達成する罠】鳥の視点を持って選択し続けるフローな生き方

しかし、心理発達段階の3つ、幼児期、学童期、成人期の切り分けについては難しいのじゃないか?とおっしゃる人もいるでしょう。かなり核心をついた意見です。一言、二言で言えるものではないので、、高橋先生の研修などで研鑽を積んでください。それでこそ、プロの心理職になれるでしょう。私も、この見立てを10年ほどやっていますが、いまだに難しいです。

日々自分なりに進化していっていると感じています。終わりなき見立ての世界、って感じです。

■精神年齢の見立てミスを知っておく

下記のようなツイートをしています。

【心理士の犯す最大のミス】
・脳機能の障害がないのに脳機能の障害があると判断する
・脳機能の障害があるのに脳機能の障害がないと判断する
この2つの見立てミスは最大のものでしょう。カウンセリングがおかしな方向を向いてしまいがちです。心理検査ではこのミスを防げません。

心理発達段階の見立ては、なかなか難しいので、ミスはしょっちゅう起きます。開き直っているわけでなく、ミスを犯すものだと、常に自分の見立てに疑惑の目を向けておきましょう。それがカウンセリングを進めていく上で、慢心しないために必要です。

ツイートでは、大きな2つのミスを紹介しています。心理発達段階の見立てとは違う、脳機能障害の見立てが入ってきていることに気がつかれたでしょうか。それにもう一つプラスして、

  • 心理発達段階の見立て
  • 脳機能の障害の見立て
  • 愛着の見立て

この3つの軸が合わさって、見立ては進んでいきます。これらは、何か心理テストで導き出せるかというと、そういうものはありません。補助にはなるものはありますが、あくまでも補助です。一番は、相談者の言動を聴き言って、さまざまな判断をしていくことが心理士に要求されます。

それぞれかなり細かくなるのですが、今回は心理発達の部分を中心に解説しました。

■まとめ

心理発達が成人期であるというのは、臨床的には、倫理規範が自分のものになっているということでした。

そして、人は、親の心理発達を越えらないという事実を解説しました。この大原則を知っていれば、心理職の人は見立てに十分活用できるでしょう。

心理職以外の方も、苦手な人を見る目が違ってくるかもしれません。楽に接するようになれたり、逃げたりできるでしょう。

心理発達以外にも、脳機能の見立てと愛着の見立てもあり、それらを総合すると、ひとりの人物の大まかな心理的な姿が立ち現れます。

精神年齢が成人になっていなくてもがっかりする必要はありません。それに気づいたあなたは、すでに新しい人生がスタートしているのです。

Road marking, family
家系を越えていくために…

なかなか大人になれないと思うときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ

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