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ソレア心理カウンセリングセンター

2020.05.08(更新日:2020/05/19)  |愛着とトラウマ(虐待)

私は虐待されたの?五番目の虐待【社会的ネグレクト】を生きる人々



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・自分は本当に虐待されたのか
・自分が悪かったからではないのか
・性的虐待、身体的虐待、心理的虐待、育児放棄された覚えはないがどこかで違和感を感じる





こんな悩みをお持ちの方。児童虐待はとてもセンシティブな問題ですが、こころの臨床家なら切っても切り離せない問題です。





5番目の虐待【社会的ネグレクト】で苦しむ人が大勢います。この記事では、特に社会的ネグレクトに焦点を当てて、そういう人にはどのように対応していったらいいのか、3つのコツを紹介します。ガイドの臨床心理士がお伝えする知恵は、のべ2万人の悩みを聴くなかで学んだものです。その3つのコツとは、





・虐待だったことを納得してもらうこと
・虐待としてのカウンセリングを進めること
・5番目の虐待【社会的ネグレクト】の経験を積むこと





■虐待あれこれ





Broken teddy bear
打ち捨てられた幼いこころたち




この記事の対象としている方は、虐待を受けたという正当な理由がないということで、虐待を確信できない人です。ちゃんと確信できないと治療が暗礁に乗り上げることがあります。ちゃんと確信できないということは、カウンセラーがその確信を提示できていないということで、カウンセラーの責任になります。





虐待というと、性的、身体的、心理的、ネグレクト(養育放棄)の4つが言われます。この4つは分かりやすい虐待に入ります。





心理的虐待が、本当に虐待に入るのかは詳細な検証が必要ですが、この4つは分かりやすいと思います。カウンセラーも相談者の方に、虐待ということを分かりやすく提示でき、相談者も受け入れやすいでしょう。





相談者にとっては、それは親に対する評価も分かりやすいものになります。親を諦めやすい状態になっています。親を諦めるのは、親へのファンタジーが壊れないと難しいですが、この4つの虐待は分かりやすいので、虐待を受けたと納得しやすいのです。





■5番目の虐待という新しい概念





これとは別に分かりにくい虐待があります。この4つの虐待よりもっと広範に広がっているもの、一番多い虐待です。それは、社会的ネグレクトといい、DSM-5(*1)で登場した概念です。





心的外傷およびストレス因関連障害群の313.89 (F94.1)および313.89 (F94.2)に登場します。精神疾患の位置付けがされています。やっとこさ、世に出たという感じです。しかし、よく世に出してくれたという代物です。





これとは違って虐待の他の4つは精神疾患の中には登場しておらず「臨床的関与の対象となることのある他の状態」というカテゴリーに押し込まれています。私見では、他の4つの虐待も313.89の中に入るべきと思っていますが、今後の改訂ではどうなるでしょうか。





ただ、この社会的ネグレクトは、他の4つのものもこの社会的ネグレクトを必ず含んでいます。ですからこの5番目の虐待については精通しておいてほしいのです。





精神科医の高橋和巳先生は、この社会的ネグレクトを心理的ネグレクトと表現していますが、同じものです。





■社会的ネグレクトが虐待の正当な理由になるために





Alone girl
こころは家の中でぬくぬくするのに、その場所が見つからない




(ここが一番大事)





社会的ネグレクトとは、養育者との情緒交流が切れている状態です。この表現は漠然としていると感じる人もいらっしゃるかもしれません。相談者の語りが、親との情緒交流が切れている話かどうか、査定しながら漏らさず聴いていく技術が必要とされます。





そして、それが社会的ネグレクトだと分かったら、それを分かりやすい形で相談者に伝えること。これができて初めて相談者は、自分が虐待を生きてきたのだと納得できるのです。それを虐待の正当な理由と受け止めることができるのです。





そのためにはカウンセラーが、社会的ネグレクトとは何かということに習熟している必要があります。そして、社会的ネグレクトであることを、押し付けにならないように何度も伝えていくことです。地道な作業になります。





■確信 氷川きよし





自分を信じて、思い切り踏み出していこうという励ましソングにも聞こえますが、これは氷川きよしの性別違和に関しての宣言であるようです。





このような確信が、虐待を受けた人も欲しいのです。確信があればそれとともに今後の人生を生きていけます。





その確信がないと、自分の人生や輪郭がいつまでたっても曖昧な状態で、心身の不調は続くでしょう。ほっておくと、回復力まで奪いかねません。人間嫌いが加速して、恐れ・回避型の愛着スタイルに陥っていく可能性があります。





愛着スタイルについては過去の記事を参考にしてください。





話をもとへ戻します。





■虐待(愛着障害)から回復するための3つのコツ





虐待を受けて育った人は必ず愛着障害を持っています。その回復には、





(1)虐待されてきたと理解すること
(2)愛着を回復させていくこと





この2つをやっていくことです。どちらが欠けてもうまくいきません。(1)もとても大事な作業なのです。見立てを相談者に納得してもらうことです。これは高橋先生も話しています。カウンセラーはちゃんと、相談者が虐待されたことを見立てないといけないのです。





社会的ネグレクトは、親が境界知能であるケースが多いです。しかし、境界知能は軽度知的能力障害よりも分かりにくいものです。IQでいうと70~85くらいまでの領域。この境界知能の人々の社会適応度をよくカウンセラーが理解していないと、境界知能とは見立てることができませんし、それを相談者へ伝えられません。この状態では、社会的ネグレクトが虐待されたという正当な理由にはなりません。





数値で指摘してもスッとは入ってきません。親が変だったねとちゃんと納得できないと入ってきません。そのためには、相談者の話を傾聴し続け、親の考え方や行動について、それは境界知能だねと正しく指摘できること。つまり親が社会適応できていないところを見つけていくこと。これは





(3)勉強と経験を重ねていかないと分かりません。





これが3つ目のコツです。





■心理職としての2つの技術





WAISなどの知能検査が取れると境界知能が分かるかというと、なかなか難しいところがあります。知能検査で、Vineland-II というのがあって社会適応をチェックするテストがあります。これはイケルかもしれません。そういう心理テストに習熟していくことが1つ目の技術です。





2つ目は社会的ネグレクトを受けた人々のケースをたくさん経験すること。それをこころの中にインプットしていくこと。そういう個人的データをたくさんもっていることでしょう。これは先の回復するための3つのコツの(3)と同じことですね。





これによって、相談者は虐待だったねと【正当な理由】を明確に提示することができます。ただ、この2つの技術はとても難しい。しっかりと10年やって身につけばいい、くらいのものと思って、取り組んでください。





時間をかけないと理解できないということはあるのですが、そうなると当たり前の結論なので、少し近道はないのかという話をして終えたいと思います。





・児童虐待防止支援者のための講座2020(講師:精神科医・高橋和巳)
http://stop-gyakutai.net/index.html





この研修で1年学ぶとスタートラインにスムーズにつけるでしょう。
人気セミナーなのでお早めにどうぞ。





■まとめ





社会的ネグレクトというものを、多くのケースから学んで知識として自分のものにすること。そしてそれを的確にシンプルに、相談者の体験に沿いながら伝え返していくこと。これによって相談者は自分は虐待されてきたのかと納得できます。この納得感があってこと、愛着障害のカウンセリングは進んでいくことができるのです。





Girl riding a bicycle on the pier
こどもたちは、自分の未来はこの先にあると信じています




◇Reference





*1) DMS-5 精神疾患の分類と診断の手引, 医学書院, 2014





愛着障害は長期うつとセットです。慢性うつと感じるときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ







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