・悲しいときはタバコの量が増える
そんな調査結果がアメリカ心理学会から発表されました。禁煙したいと思っている方は、これが救世主になりうるでしょうか?
研究はそこまで突っ込んでいませんが、そのへんもサラッと考察してみたいと思います。
American Psychological Association (APA)の最新の心理学関連の記事をピックアップしてお届けします。今回は悲しみとタバコの関連についてです。
■悲しみと喫煙
悲しみという感情は、他のどのような否定的な感情よりも、タバコへの依存を引き起こすという分析結果が出ました。
否定的な感情によって、中毒性の物質を使用を引き起こす可能性がありますが、最近の新しい研究では、タバコなどの依存物質を摂取しようとするのは、悪い感情だけではないことが分かりました。
今回の研究は、【悲しみと喫煙行動】に関してですが、悲しみによってオピオイド(モルヒネやヘロインなどの麻薬性鎮痛薬)の摂取に拍車がかかることも分かってきています。
この研究は、20年以上に渡って、1万人以上のアメリカ成人を対象に、3回行われた研究をもとにしたメタ分析という方法を取っています。
メタ分析とは、実際に調査したわけではなく、複数の調査の結果をまとめて研究したものです。ネットでいうと、まとめサイトのようなものと思っていただくと、分かりやすいでしょうか。
そのメタ分析によると、恐怖、怒り、恥などの否定的感情はタバコとの相関を示さなかったのですが、悲しみはタバコとの相関関係を示したということです。
悲しみは、知らずしらずのうちに依存物質の摂取に関与する可能性があるようです。今後は、悲しみ以外の、他の負の感情とタバコとの相互作用についての研究が待たれます。
■ということは、禁煙するには?
悲しみから遠い感情にいれば禁煙できる?という推論が立てられます。悲しみから遠い感情、それは喜びや安心感です。経験的にそれらの感情を感じるとタバコが減るかというと、どうでしょうね。微妙なところがあるように感じませんか。
ほッとしたときに一服というのはありますね。ごはんを食べたあと満足した状態で一服とか。
そうなると肯定的な感情も、悲しみと同じで、喫煙行動を持続させるのでしょうか。こちらも研究待ちになります。
悲しいからタバコを吸うのだ、とも言いきれない。そんなにシンプルなものではなさそうですね。複雑な情感が入り混じっているのが依存物質の摂取にかかわっているように思います。
■タバコと人生
タバコというものは、人の人生の縮図を表現したようなアイテムというのは言い過ぎでしょうか。ハードボイルドな探偵必携のアイテムです。その人の生き方を象徴しています。60年以上生きてきて、タバコ歴は短いですが、私には、そう思えるのです。
1960年代にCTIレーベルからリリースされたウエス・モンゴメリーの A Day in the Life。ある一日。ビートルズの名曲ですが、そのジャケットは、A Day in the Life そのものでした。
なんとタバコの吸い殻がいっぱいの灰皿の超ドアップ写真が使われたのです。中央から少し右側の吸い殻のフィルターには口紅のあと。色気もちゃんと入っています。クールなアルバムデザインにその写真。そのアルバムには人生の縮図、言葉にならない思いがいっぱい詰まっていました
ある一日の人間の生活とタバコ、その濃密な関係にノックアウトされた思いがあります。まだ20歳になったばかりの私にとって、大人とはこういうことなのか、圧倒されていた、そんな気分でした。アルバムジャケットとしては、私の中では今だにNo.1に輝いています。
ウエス・モンゴメリーのギターはジャズとしても秀逸ですが、ジャケットがとにかく芸術の域です。CDというコンパクトなジャケットでなく、30cm LPジャケットでぜひご覧になってください。アナログレコードのある老舗ジャズ喫茶に行けば見られる可能性があります。
■まとめ
悲しさが喫煙行動を加速させるという研究結果をご紹介しました。
悲しさを感じると、胸が締め付けられます。タバコを吸うとニコチンによってその興奮している感情が沈静化されます。ハードボイルドの探偵がいつもタバコを吸っているというのは、人生の悲しみを生きるが故ということにもなりそうですね。
Reference:
APA News – How do emotions trigger cravings?
By Stephanie Pappas February 25, 2020
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