カウンセラーが自信をなくしたときの解決法【APA update-代理トラウマ】

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・カウンセリングを続ける気力がなくなった
・自分はカウンセリングはできないのでは?
・もう頑張れない

そういうカウンセラーの悩みに対して、American Psychological Association (APA)の記事を紹介します。トラウマ相談を行っている支援者向けで、結論は、

・社会的コミュニティへの積極的な参加

これが最も重要です。またこれはカウンセラーのみでなく、他の職業の方にも有益な内容になっています。

後で詳しく話しますが、その前にカウンセラーがどのような傷を負うのかについて説明します。この記事のトピックは、

・カウンセラーが受ける傷とは?
・カウンセラーが代理トラウマを受けるとき
・代理トラウマの症状は?
・代理トラウマへの対処
・ソレアからの提案-【見立てを立てられること】

最後の「ソレアからの提案」は重要と思います。最後までお読みください。

■カウンセラーが受ける傷とは?

カウンセラーは、虐待を受けた人、死に直面している人など、重度のトラウマや喪失を体験した人々を治療しています。この仕事は非常にやりがいがありますが、次の傷を受ける可能性があります。

・代理性トラウマ
・思いやりによる疲労
・二次的な外傷性ストレス、を受ける場合があります。

この影響は、人間の苦しみを定期的に聞くカウンセラーにとっては避けられません。これまでメンタルヘルス分野では、このストレスを過小評価していました。

優れたカウンセラーは、クライエントから受けるトラウマ外傷を処理できるはずであるという、誤った考え方がまん延しているからです。

他者に安全で効果的な治療を提供できるには、カウンセラー自身が健康でなければならないのです。

■カウンセラーが代理トラウマを受けるとき

Alone with waves
カウンセラーは知らないうちにトラウマを背負う

カウンセラーは、相談者の恐ろしい体験を十分に理解するために、クライエントの話を注意深く聴き、共感しようとします。なぜならそれがカウンセラーの仕事だからです。

しかし、このような深い関与をした瞬間、カウンセラー側のこころの防波堤が少し低くなります。それによって相談者の荒れ狂った大波がカウンセラーのこころの深部まで押し寄せて、カウンセラーが代理トラウマを受ける可能性が高まります。

■代理トラウマの症状は?

代理トラウマは、感情から行動まで多岐に渡ります。信頼感、安全、希望、喜び、自尊心の低下、麻痺または激しい感情的反応などの症状があります。

感情麻痺は、

・私たちを愛する人から引き離し
・クライエントや同僚に対する共感を失い
・それらとの関係を終わらせるか、破壊することさえあります。

これらの感情的反応の変化と脆弱性の高まりは、慢性疾患への移行や、同僚、家族またはクライエントへの虐待的な、専門家が取るべきではない行動につながる可能性があります。

代理トラウマの発生を理解することは、カウンセラーが健康を維持し、非倫理的な行動を避け、できるだけ長く現場で活躍するためには非常に重要です。

■代理トラウマへの対処

一般的な推奨事項(休暇やマッサージなどのリラックス)は、精神的に健康な人を対象したものです。これらの推奨事項は、文化的、社会経済的な背景が異なる人々には必ずしも適切ではありません。

Meeting with consultant
トラウマ解消のステップ1は、誰かに話すこと…

◇個人で

それよりも、自分自身が属している社会的コミュニティ(精神、宗教、文化)の中で、能動的に活動するほうが回復力を高めます。そのような活動の中で、自分自身の世話をするのです。

代理トラウマを感じているときは、カウンセラーが自分のセルフケア戦略を決定し、日々のルーチンに合う反復可能な活動の計画を作成することです。

◇職場で

この計画作成のためのサポートの提供あるいはワークショップの開催が、職場には求められます。それによって代理トラウマは低減していくでしょう。

■ソレアからの提案

APAレポートでは、コミュニティで能動的に活動することを提言しています。これはPTSDへの対処としては一番重要なことでしょう。それ以外に自分でやれることを紹介しておきます。

・見立てのスキルを上げる
アクティブ瞑想

この2つは自分でやれることです。アクティブ瞑想については色々とソレアのwebサイトやYouTubeで展開しているのでそちらの記事をご覧ください。(*1)

それよりも重要なのが見立てです。え?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、適切な「見立て」によって、自分の気持ちが揺れなくなります。

クライエントへ向かうとき両足で立っている自分に気がつきます。この「確実性」はトラウマからの津波を受けたときもビクともしないのです。

見立ての重要性を私も時々話していますが、この代理トラウマに対しても有効であるのです。

私も見立てがしっかりしてからは代理トラウマを受けることもずいぶんと減ったと感じています。精神的にも肉体的にもダメージを受けることなくカウンセリングを進められるようになりました。

Sea rock landmarks and seagulls
トラウマ回避へカウンセラーが持つべきコンパス

■まとめ

カウンセラーが燃え尽きないためには、

・日々、自分の属している社会的コミュニティ(精神、宗教、文化)を大切にして、その中で能動的に活動すること。

・同時に、見立てのスキルをあげていくために研修を定期的に受け続けること。

Reference:

Janna Henning: 4 questions for Janna Henning APA news, January 1, 2020

*1) 記事: Solea ホーム > お悩み相談室 Category > マインドフルネス / 動画: YouTubeチャンネル ソレア心理学ゼミ > 再生リスト > マインドフルネス(気づき)

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