【冗談と本音】カウンセラーの二重関係が禁止されているワケ

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冗談と本音のハザマを歩く高田純次

高田純次というコメディアンは不思議な人です。というか、成熟した人と言えるのではないでしょうか。実に、冗談をいいながら本音を覗かせる。本音を言いながら、冗談を混ぜる。そこに人は安心を覚えるのでしょう。

同じような人に、タモリとかビートたけしとか入るのでしょう。

ただ、カウンセラーがこれをやるのは難しいと心しておくのがいいでしょう。なぜなら、精神の病に罹っている人は、冗談を冗談と取れない精神状態のときが多いからです。このとき視野狭窄に陥っていると、冗談を悪意あるものと見なされるときがあるからです。

しかし、そうはいっても、カウンセラーは全体的には高田純次的でありたいと思います。ハザマで生きているわけなので、際どいところもあるでしょうが、ハザマで生きる人は全体的に、人間愛に満ちているからです。

二重関係の禁止

カウンセラーの勉強している女性からの質問です。友人として、同じ年代の中年男性の話をカウンセラーのように聴いていると、向こうが勘違いしてか気持ちを向けられることがある、私はその気がないのに困っている。

モテて困っているわけですね。これはカウンセラーと相談者の間ではよくある話です。相談者側の勘違いなんですが、友だちだけどよく聴いてくれたと思うと受容されたと思って、少し親しいムードを出してくるのも仕方のないことです。誤解を受けるのは、カウンセリングが上手になったと思えばいいでしょう。

しかし、この関係性は、友だちのカウンセリングをしていいのか、という二重関係に踏み込むわけです。これは教科書的にはNOです。友だちとカウンセラーという二つの関係を作っているから、それはカウンセリングにはよくないとされています。

こういうときは、いかにこちらがクールで居られるかを試されているのでしょう。聴いてもらってカウンセリングの枠を踏み越えてくるのは、そういう場合もあるのでしょう。枠を踏み越えるというのも、カウンセリングではキビシク対応されそうですが、そこはなかなか杓子定規にいかないところが、人間関係というものです。

人間関係の中で治療は進むわけですので、決して固い枠がいいばかりではありません。ただ、この高田純次的な崩し方が難しいことは確かです。

二重関係とは、関係が二重にならないように、関係をキープしなさいということでした。友だち関係にならないようにしなさいという戒めでした。例えば、お土産をもってくるのは良いのです。

先生、どうぞ。「ありがとうございます。お気持ちだけいただきます。」

これが教科書的対応ですが、それだとあまりに固い。私も10年くらいは実践していましたが、これが関係を硬直化すると思い直して、意を決して、それ以降はいただくことにしました。これで関係が崩れることはありませんでした。

あまりに固い関係だとうまくいかない場合もあるのです。二重関係にどこまで踏み込むか、そこにはカウンセラーの腹が座っていることです。相談者もそこの関係に飛び込ませることになるから、相談者の分まで背負う必要があります。

ただ、この複雑な二重関係を持った人間関係は、カウンセリング空間をその次のステップへ向かって、新たに熟成させるものになるのではないかと思います。

でもね、10年くらいは教科書通りでいきましょうね。

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