これまで母親に支配されてきた、自分の不機嫌という感情が、自分のものになった。自分の中から純粋に不機嫌を表現できるようになった人の話です。こういうことを体験していくと、「いろいろあるけど元気だよ。」と話せるようになります。
和久井映見の不機嫌な女神たちプラス1
不機嫌な女神たちプラスワンという演劇が上演されていました。和久井映見、羽田美智子、西田尚美の女3人と、谷原章介の男1人のほろ苦コメディです。両親が死んで離婚もして子どもは都会へ行ったきり、という中年女性がカフェを開くところから始まります。
この物語は、人生いろいろあるけれど、私たちはここで楽しくやっているよ、というメッセージを伝えているようです。
ジブリの魔女の宅急便の最後に言うセリフ「いろいろあるけれど、私は元気です。」を地で行くようなストーリーですね。
不機嫌になったり、悲しくなったり、笑い飛ばしたり、怖くなったり、感情は本当に目まぐるしいけれど、それらの感情1つも欠けてはいけないよ、そんな当たり前のことを言っている物語です。
不機嫌もちゃんと必要なんですね。
不機嫌を取り戻した人
この人は母親と色んな確執があり、母親への怒りがずっと取れず、子育て中ですが、子どもを叩いたりしています。子どもへの怒りの底には、自分と母親との感情が混じっているようでとても気持ち悪いといいます。
いつも親から電話かかってくる第一声はため息で、その次に自分の話したいことを機関銃のように話す母親です。彼女は電話を取るたびに暗い気持ちになっていました。
この間、母親に対して彼女が怒りを爆発させる事件があり、それ以来、母親から電話かかってくると、彼女に気を使っている言葉が多くなりました。
「大丈夫?今、話できる?これやってくれるかな?とすごく私に気を使うのです。私はそれが嬉しくて、親に勝ったようで。」
それがきっかけで親からのたまのLINEでスナップ写真が送られてきても、以前は苛ついていたのですが、自分のいない世界で楽しそうにくらしていることに安心できたと言われます。彼女のこころの奥が変化して、これまで家にいても常に母親の声が頭の横でしていたのですが、それが一切なくなったといいます。気持ち的に母親から離れることができたのです。
「それ以降も子どもを叩くことはありますが、その不機嫌は母親由来のものではなく、自分のもの、自分の不機嫌になったのです。」
不機嫌を取り戻したのですね。こうやって感情が自分のものになるのは楽なことなのです。怒っていても楽なのです。自分のものですから。
暗い顔をしているとそんな顔はしないでよ、私の育て方が悪かったと思われちゃうじゃないと言われ続けていて、彼女は自分の感情も出せないと思い続けたわけですが、ここでようやく自分の感情を取り戻したのです。
楽に生きるためには感情を取り戻すことは重要なことの一つで、カウンセリングもそちらへ向かって歩いているのです。
アートセラピーの変化
彼女とはアートセラピーもやっていて、感情が暴走しそうになったとき、暴走したときに家庭で絵を描いてきてもらってきて、カウンセリングルームで一緒に眺めます。
今回はこれまでとは画風も変わってきていて、おもしろいのは、いつも中央に黒い■や●があったのですが、そしてそれを彼女の怒りを表現した赤いクレパスで塗りつぶしていたのですが、今回は中央部が小さく切り取られていました。ここに母は居ないとコメントされていました。
「ここは透明なんです。その四角の窓に縁を付けて、額縁みたいなんです。ここが「今」なのかな。」
不機嫌を取り戻したとき、絵の描き方も変わります。アートセラピーは面白いですね。
安全な空間の中で傾聴され、気持ちを整理したいときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ。
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