こんにちは、高間しのぶです。
これまで、のべ2万人の悩みを聴き続けているマインドフルな臨床心理士です。
・感情をコントロールしたいのだがうまくいかない。
・感覚をチェックするというのはどういうことなのだろう。
そんな悩みを持って生きているあなたに、感情とうまく付き合えるためのツールの1つをご紹介します。この記事のポイントは、
- 視覚的な感覚ノートをつけよう(前半)
- 感覚を感じることでどのように感情の改善が起きるか?(後半)
■感覚ノートから始めよう
人間は、思考の生き物であり、感情の生き物であり、感覚の生き物です。生きていく上で感情はやっかいになりますが、感覚がやっかいになるということはありません。やっかいにならない部分を利用しながら生きていきましょう。次のようなツイートをしています。
何をするにも興味が持てない。
そんな人は【自分の感覚】を見ているといいですよ。こころが軽くなった瞬間を記録していく【感覚ノート】がおすすめ。
自分の五感を働かせて、あの音を聴いたとき、あれに触ったとき、あの香りを感じたとき、あれを見たとき。
軽くなる瞬間にあなたの興味が隠されている。
感情に振り回されないように「感情ノート」をつけるというやり方はよく耳にすると思います。ある出来事とその出来事に対しての感情をセットにして記録していく方法です。そうやって感情を客観視することで感情の沈静化を図るのですが、それよりも優れたものが【感覚ノート】です。
例えば、こころが軽くなった瞬間があったら、どのくらい軽いのかをプロットするのです。30か70か95か。100点満点でやると分かりやすいかもしれません。何を見て、聴いて、触れてということは記録しなくて大丈夫です。時間とセットでプロットするといいでしょう。14:15 – 60 とか。こころの軽さだけをプロットしていけばいいです。
感覚ですから、数値で記録するよりも、グラフにして色付け(例えば黄色)して一目で分かるようにしておくといいでしょう。数値だと感覚より思考よりになってしまいますから。
そして一日の終わりにそのグラフを見てみる。意外と一日のうちで、こころが軽くなっていることを発見するかもしれません。その軽かったときの時間を思い出してみると、そこに自分の興味のあるものが見つかるかもしれません。
私は空を見てるとき結構、こころが軽くなります。雲に興味があるんだなと分かります。気象現象とかですね。
感覚過敏という人もいますね。たしかに聴覚や視覚が過敏だったりします。それでもすべての感覚が過敏であることはなく、また聴覚が過敏であったとしても、それが心地よいときもあります。それが【こころの軽さ】です。ですから感覚過敏の人にも使える方法でしょう。
■感情をダイレクトに扱うのが難しいときは
ここでは感覚の扱いやすさについて解説します。次のようなツイートをしています。
感覚にマインドフルになれると、感情にもマインドフルになるコツがつかめます。まず感覚を攻略するのが先手です。
マインドフルネスは感情のコントロールばかりが前面に出ていますが、それでは最初からハードル高すぎると思う。
ハードルを下げるには、五感という分かりやすい部分から入るのがベター。
このツイートの通りです。感情ってコントロールほとんどできません。では感覚はできるのか?それもできません。感情は認知によって強引にガマンさせることはできますが、感覚は頭を使っても感じないようにさせることはできません。
だからまったくコントロールできない「感覚」にフォーカスしたほうがいいのです。それを意識的に止めることはできないからです。視覚にしろ、聴覚にしろ、触覚にしろ、味覚にしろ【心地よい】という感覚は止めることはできないので、それを十分に感じつくすことです。いわゆる【マインドフル】に感覚を感じていることです。
これらの五感は体の外からのものを感知するもので外受容感覚といいますが、体の中を感じている感覚器もあります。それを内受容感覚といいます。意識にのぼらない無意識の処理がされている部分です。フォーカシングのフェルトセンスとは、この内受容感覚のことでしょう。
参考文献には内受容感覚と感情についての論文(*1)を張っておきます。下図をみるとわかりますが、まず内受容感覚があって次に感情が発動します(コア・アフェクトとは「感情のもと」のような意味です)。この研究から、外受容感覚(五感)も感情が起きる前に感じるものであると推測できます。つまり、感情の前に感覚が発生しているわけですので、感情を何とかしたいのであれば、まず発生源(感覚)を特定することが大切であると分かります。
■感覚を感じて自分の幸福度(感情)をアップさせよう
心地のよい感覚というものは、あなたの健康度をアップさせるでしょう。下記のようなツイートを2本しています。
自信のない人は、自分の感覚を感じてみるのもいいでしょう。
例えば、青い空を見てなんだかスッキリするとか、大きな絵を見たとき気持ちがいいなとか。
このスッキリとか気持ちがいいというのはあなたの感覚で、あなた自身です。そういうものを感じていれば、自分が回復します。自信につながります。
認知より感覚を優先させるほうが健康的です。
例えば、頭で考えると、清潔にしたいので歯磨きをしたり、ふろに入ったりします。ごはんも栄養のために食べます。
しかし、感覚で考えると、気持ちがいいので歯磨きや風呂へ入る。おなかがすいたので食べます。
感覚を使うほうが人としての幸福度は高い。
スッキリとか気持ちがいいという感覚を感じている人は「あなた」自身であり、その感覚によって幸福にもなれます。幸福な時間を過ごせているということは、自信にもつながってきます。なぜなら幸福な感じと不幸という感じは、真逆の感覚であり共存できないからです。気持ちのいいことができていると、こころが軽くなるしご機嫌になってきますよね。
■まとめ
感情ノートよりも、感覚ノートをつけて、その日一日のこころが軽くなった記録をグラフ化しましょう。感覚の記録ですので、数値で書くより、色付けがおススメです。
感情より感覚が先に発生するので、感覚にアクセスするほうが無理がありません。感情は触ると危ない要素を持っています。フォーカシングやマインドフルネスは内受容感覚にアクセスしています。
心地よい感覚を感じることで、あなたの健康度や幸福度はアップします。自信もついてくるでしょう。
感覚ノートをつけると、自分のこころの軽さというものが理解できます。それによって日常生活がめんどくさくなくなるかもしれません。
Reference:
(*1)福島宏器:身体を通して感情を知る, 心理学評論, 2018
自分の感覚さえ分からないという人は、ソレア心理カウンセリングセンター(埼玉県)へ