・どうやったらフロー(ゾーン)に入れるのか?
・スポーツの試合や試験でフロー(ゾーン)に入りたい
・日常生活でもフロー(ゾーン)に入りたい
能力を最大限まで高めた状態を、本番でも発揮したいと願う人々は多いでしょう。これらの悩みを解決するヒントになる記事を書きました。
入門編ですが、ここがスタートで、かつゴールです。結論は【どんなこころで、それをやるのか】です。
先日こんなツイートをしました。フロー(ゾーン)の本質は、この2つのヒントです。この状態であれば、フロー(ゾーン)に入っていると言えるでしょう。
結果にしばられないことで、緊張から解かれます。自由に行動・思考できます。次に、充実感を味わっていることで、そのことに集中できます。
【どんなこころでそれをやるのか、2つのヒント】
何をやるか、どうやってやるか。これらは重要でないとは言いませんが、それよりも大切なことがあります。
・結果にしばられない
・充実感を味わっている
この2つがあれば、たいていのことは上手くいくでしょう。仕事、勉強、人間関係、人生のさまざまな場面で活用してください。
フローとゾーンは、同じ意味といってもいいでしょう。違うと捉える向きもありますが、心理学に近い言葉がフロー、スポーツに近い言葉がゾーン、そのくらいの使い分けです。
■超集中状態と言われるフロー(ゾーン)
ゾーンという言葉、スポーツの世界ではよく聞かれるようになりました。
- オリンピックの金メダルがかかった試合中に別の自分が出てきて次はこうしろと指示をしてきた(柔道の谷亮子)
- ペナルティキックを打つときに、ゴールまでの飛球の道筋が見えて、その通りに蹴ったら、ゴールした(サッカー)
- ボールがバッターボックスの手前で止まってみえた。自分は、それを当てるだけでよかった。(野球)
- 自分の不安や期待が消え、観客の歓声なども聞こえなくなって、自分の感覚だけが研ぎすまされ、次の行動にだけ集中した(オリンピック)
等々、さまざまなシーンでゾーンは知られています。スラムダンクなど、マンガでもおなじみになりました。
このゾーン、記録が塗り替えられるときに使われたりするので、人智を超えた能力のように思われがちですが、そうではありません。プロからアマチュアまで、フロー(ゾーン)は存在するのです。
またプロのゾーンとアマのフロー(ゾーン)は違うものでもありません。フロー(ゾーン)とは【こころと思考の、そのような状態】ですので、それ自体に優劣、高低などありません。
もしそこに優劣があったとしたら、それはフロー(ゾーン)から離れてるでしょう。結果を意識しているということで、フロー(ゾーン)に入っていないといえるでしょう。
フロー(ゾーン)は超集中状態とも言われます。確かにそういう定義も悪くはないでしょう。時間を忘れて何かに没頭することもフロー(ゾーン)と言えますので、悪くはない。しかし、私は、ちょっと違う定義です。
- 今に集中していること(マインドフルネス)
- 【今】に【幅】がある。点ではない。刻一刻と変化していく。そこに止まっていない。(フロー)
この2つ、マインドフルネスとフローが実践できている状態がフロー(ゾーン)です。特に後者は大切です。
◇どんなこころでそれをやるのか?
フロー(ゾーン)はこころの状態でした。アスリートの語りを紹介します。
人がどう言おうが、ハンマー投げという競技に自分の人生をかけて打ち込んでみたい。自分がそれだけの価値を見出したものを追求し、研究と工夫と努力によって自分を高めていくこと。それが自分の進むべき道だと思った(*1)
ハンマー投げの室伏広治さんの話です。【自分がそれだけの価値を見出したものを追求し】という部分、スポーツは分かりやすいですね。それだけの価値=ハンマー投げですから。しかし、ここは他でも応用が利くところです。目の前のものが面白いと思えれば、それを追求できるのです。そうすると【今に集中】できます。
しかし、その「今」は、固定されていません。流れて変化していくものです。その【変化を楽しむ】こと。
■生活の中でのフロー(ゾーン)
こんなツイートをしました。
結果より変化が大事。結果は点ですが、変化は幅があるものです。変化を見るには、成長と可能性を見るのです。成長は過去から現在までのもの、可能性は現在から未来への幅をもったものです。【幅】を見るのが大事なのです。結果より大切なものは【幅】です。幅とは変化(成長)です。
フロー(ゾーン)は、本来は生活をよりよく生きる知恵ともいえるものです。そういう視点でいえば、マインドフルネスと同じ線上のものとも言えます。
フローとゾーンは同じものと解説しましたが、日常生活では【フロー】をちょっと強く意識するといいでしょう。
- 【今】に【幅】がある。点ではない。刻一刻と変化していく。そこに止まっていない。(フロー)
こちらへ力点を置くのです。まずは【止まっていない】ということ。
- すべての物事は止まることなく流転して、流れていっている(フロー)
- 止まることはないので、【過去と未来にもっていかれない】ことを実感すること
ジョージ・ハリソンの作品に、All things must pass away(すべてのものは過ぎ去る)という名盤がありますが、あの感じですね。すべてのものは過ぎ去るので、止まることはないので、【過去と未来にもっていかれない】こと。今に生きること。
そして、その今は、点ではなく、ある一定の幅がある感じです。
過去と未来にしばられないので結果は気にしないし、いまやっていることを充実感をもって楽しめる。結果ではなく、どれだけ変化(成長)したかを基準にするわけです。
これがフロー(ゾーン)のマインドです。
■フロー(ゾーン)のコツ
以下のツイートをご覧ください。フロー(ゾーン)のコツを書いています。結果にコミットしないというのは衝撃的なことでしょうか。どこかのCMと反することなので、また時代の趨勢に反することなので、なかなか受け入れにくいかもしれません。
言葉を変えていうなら、【一生懸命を楽しんでいるなら】結果はあとからついてくるということ。
【一生懸命にやって、楽しさを味わおう】
こころが頭で考えることに持っていかれてない状態をフローといいます。フローでいられると
・失敗しても満足
・実践していることが楽しい
・小さなアイデアがうかぶ
頭で考えずに、直感で行動してみよう。生命が躍動するはず。
【 結果にコミット すると上手くいかない件】
アスリートにスランプはつき物。彼らにとってはそれは恐怖そのものです。しかし、彼らは
・恐怖を隠さない
・その感情と戦おうとしない
・結果を出そうとしない
そして、恐怖に気づくことからスタートします。これがスランプ攻略法、ビジネスにも使える。
【やるべきことをするのは】良いのです。その先に結果が設定されていることが危険なのです。その先にあるのは結果ではなく、【それを一生懸命にやって楽しんでいる自分】なんです。それがあると、ガマンしているわけではないので、逃げたりもせずうつにもなりません。
ただ一生懸命を楽しむのは難しいことかもしれません。
◇一般的なフロー(ゾーン)に入るための方法
ここで方法を提示するのは、結果と結びつきやすいので躊躇するのですが、時間のない現代人には方法の提示もいたしかたないのでしょう。
方法を実行するときは、必ず頭の片隅に、【結果を捨てるようなマインド】を働かせてください。その上で、以下に紹介するいくつかの行動などを実行してみることです。常に考えておくべきことは、
- 数字や客観的なデータだけに囚われるのではなく、自分の感性を十分発揮すること。データと感性のバランスを常にとっておくこと。自分の感性を考慮しなくなると、それは面白くなくなるからです。
毎日の行動
- 短時間、自分のやれない作業量を課す→過度なストレスをかける、達成感がご褒美。
- ゴールを明確化する、そして、やること【ルーティーン】を公表→Twitterで公表している人、多いですね。
- この動作をしたら自分の集中モードがONするという【ルーティーン】を決めておく。→イチローのバッターボックスの動き、五郎丸のキック時の動き等
- 呼吸法
- 集中するための外的な環境を整える→整理ができて、余計な音、光が排除されている
- 室伏氏の新聞紙テクニック(*1)→片手で新聞紙の中央を握って、小さく握りこんでいく。
- 自分が嬉しくなる言葉をつかう→ありがとう、うまくやれる
- 穏やかな表情、堂々とした態度をとってみる
内的な行動
- いまやっていることに自信をもつ
- 起こってしまった出来事は、放置しておく。こころの中にもちこまない
- 誰かに何かを与える→自己肯定感をアップさせるということです
自己肯定感についてはこちらの関連記事もご覧ください。
▼【自己肯定感】を育てる最強の習慣はコレ!~自分編【保存版】
■一生懸命を楽しむことはどうすればいいのか?
こんなツイートをしています。参考になるかもしれません。
【風をつかまえてアホウドリ】
羽を広げると2.5mになるこの鳥は、向かい風と追い風の両方を交互に使ってダイナミックソアリング(*2)する。その飛行術によって海上を数千キロ休まず滑空します。私たちの生き方の参考になりませんか。あー、大空を飛びたい。
アホウドリは上昇気流がなくても、一回もはばたくことなく数千キロ飛行できる技術を持っています。それがダイナミックソアリング。向かい風と追い風に対して90度程度横に飛行するのです。
フロー(ゾーン)にこれを導入するとしたら、【良いとき、悪いとき、その両方を使いながらそれをする】ということでしょう。
- 良いとき、悪いとき、どちらも優劣をつけない
- そのどちらにも、持っていかれていない
- いわゆる、【無】の状態。【あるがまま】を受け入れている
■結論:ダイナミックソアリングのスキルが、フローでありゾーンである。
今回の記事をまとめると、フローとゾーンはほぼ同じ状態でした。
- 結果にしばられない
- 充実感を味わっている
この2つが重要です。
そしてプロのゾーンとアマチュアのゾーンは同じものです。フロー(ゾーン)とは【こころと思考の、そのような状態】ですので、それ自体に優劣などありません。
フロー(ゾーン)は超集中状態とも言われますが、次の2つのことが実行できている状態です。ちょっと抽象的に思われるかもしれませんね。
- 今に集中していること(マインドフルネス)
- 【今】に【幅】がある。点ではない。刻一刻と変化していく。そこに止まっていない。(フロー)
そして生活の中でもこの状態は再現可能です。つまり、
- すべての物事は止まることなく流転して、流れていっている(フロー)。
- 止まることはないので、【過去と未来にもっていかれない】ことを実感すること。
また、フロー(ゾーン)のコツは、結果にコミットしないことでした。【一生懸命を楽しんでいるなら】結果はあとからついてくるのです。
一般的に言われているフロー(ゾーン)に入るための方法を解説しました。
- 短時間、自分に過度なストレスをかける
- ゴールを明確化する、そしてやること【ルーティーン】を公表
- 自分の集中モードがONするという【ルーティーン】を決めておく
- 呼吸法
- 外的な環境を整える
- 新聞紙テクニック
- 自分が嬉しくなる言葉をつかう
- 穏やかな表情、堂々とした態度をとってみる
- いまやっていることに自信をもつ
- 起こってしまった出来事は、放置しておく
- 誰かに何かを与える
最後にアホウドリのダイナミックソアリングという飛行法はフロー(ゾーン)に近いという話をしました。つまり、
- 良いとき、悪いとき、どちらも優劣をつけない
- そのどちらにも、持っていかれていない
- いわゆる、【無】の状態。【あるがまま】を受け入れている
このへんのことを一番伝えたかったのです。みなさんのフローライフがうまく行きますように。
Reference:
(1)室伏広治: ゾーンの入り方, 集英社新書, 2017
(2)アホウドリに学ぶ未来の航空技術, ナショナルジオグラフィック, 2012 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/6711/
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