こんにちは、臨床心理士・公認心理師の高間しのぶです。
これまで、のべ2万人の悩みを聴き続けているマインドフルな心理士です。この経験から得た知恵をみなさんと共有します。
・イメージトレーニングというのは、鍛えらえたアスリートのためのものなのか?
・イメトレで、成功した自分を思い描くことができない。
・イメトレはどうやってやるのか?
そんな悩み(不安)を持って生きているあなたに、イメトレの原理と練習方法が身につくよう、記事にしました。
この記事のポイントは、
- イメトレのコツ(前半)
- 実際のイメトレの例(後半)
■アスリートも使っているイメトレのコツは【結果を忘れる】こと
イチローなどのアスリートは、大舞台で実力を発揮できるようにイメージトレーニングをしますが、このイメトレ、結構誤って用いられているようです。次のようなツイートをしています。
【イメトレ】は、成功した自分を想像することではありません。それは結果にしばられているのですぐ萎えます。
例えば、オレンジ色を強烈にイメージするとか、子どもの頃の海岸で感じたまぶしさをイメージするとか、感覚に集中することがイメトレです。
コツは、結果にしばられないイメージを選ぶこと。
例えば、ホームランを打った自分とか、試験の解答をうまく書くことができた自分とか、素晴らしい演奏をしている自分とか、役員会に呼ばれて説明をして感心されているとか、そういう成功体験している「理想の自分」や「なりたい自分」を、「ありありと、具体的に」想像してみることが、イメトレだと勘違いしている人が大勢いるように思います。
実際、イメトレについて、そのように話すアスリートや芸能人などもいますね。これらのイメトレは、アファメーションとも呼ばれるものです。イメージトレーニングではありません。
アファメーションのような成功体験は、認知の脳がやっている話で、イメージの脳つまりライフスキルが発動しているわけではありません。ライフスキルとは、こころが軽やかな状態を言います。たしかに成功体験のイメージは、ドーパミンがでて気持ちよくなり、自信がわいてきますが、それは一時的なものです。継続しません。
イメトレは、もっと自由なイメージを使うのです。コツは、結果にしばられていないイメージ(感覚)を使います。例えば、
- 色(赤、オレンジ、黄色、青、紺(こん)、紫、白など):視覚によるイメージ
- ふわふわ、暖かさ、さわやかさ:触覚によるイメージ
- 自分の心地よさを感じるハーモニー(和音)やリズム(ビート):聴覚によるイメージ
感覚の重要性は、私がいつも話していることですが、このイメトレも【感覚】が大切なのです。
たしかに、一時的に気分をアップさせたいと思うこともありますね。だから成功している自分を想像したくなります。それは悪いことではありません。試合の直前にそうイメージすることもいいでしょう。NLPなどの自己啓発系の世界では、それが主流かもしれません。
しかしそれが自分の自由をしばってしまうことにも思いをはせてください。結果に紐づいていない自由なイメージは、あなたを大空に羽ばたかせてくれるでしょう。
成功イメージに頼らなくてもいいように、普段から、この【感覚のイメトレ】をしておくわけです。心地よくなって、結果的にパフォーマンスが上がるでしょう。でもそれはオマケです。フローやゾーンなどの状態に入るには結果から離れなければなりません。これは健康心理学からの提案として聞いてください。
■実際にイメトレをどのようにするのか?~瞑想との関連
イメトレのコツは分かった。では実際にどのようにするのかということについて、次のツイートをご覧ください
【イメトレの実際】
私がイメトレで使う「白」は、子どもの頃、海水浴をした四日市の千代崎海岸です。
そこは公害のヘドロまじりの海ですが私にとっては、オキナワやモルジブなどの、世界のどの白い海岸よりも白いのです。
【夏の光と砂浜の、まばゆい白さ】をイメージ強化します。懐かしさもありますが、私の「白の」イメージです。(ツイート改訂)
成功をイメージした「これまでの」イメトレも、具体例な情景にフォーカスしますが、感覚を使ったイメトレも具体例というか、【ありありと】想像します。何かを実際に想像しているわけではありません。
上のツイートの例では「子どもの頃の夏の千代崎海岸」がイメージの発端になっていますが、すぐそのイメージから離れて、【白くてまばゆい】イメージに集中しています。その白さを、まぶしさを、【ありありと】想像しています。その感覚に没入しています。
この没入感覚がイメトレには重要です。没入して【それを味わう】感じです。
例えば「赤」をイメージしたら、その赤に没入します。いろんなイメージが現れるでしょう。りんご、夕日、日章旗…。りんごのイメージが現れたら、昔食べたりんごを思い出すかもしれません。しかし、その思い出にしばられないことです。「懐かしいなあ」というところにこころが持っていかれるのはいいのですが、そこに居続けるのではなく、そこから抜けて、再度、その「赤」に強烈に没入していくのです。記憶とか認知とは違う世界への没入していくのです。
このように考えてくると、これは何かに似ているように思いませんか?私の記事を読んでいてくれる勘のいい人ならお分かりになるかもしれませんね。そうです、【瞑想】ですね。イメトレはまさに、瞑想と地続きなのです。少し種明かしをすると、先ほど紹介した、7色(視覚によるイメージ)は、実は瞑想で重要とされるチャクラの色だったりするのです。
イメトレは瞑想なので、心理相談などで必ず話題に出る【感情のコントロール】などにも役に立つものです。
筋トレは、皆さん頑張ってやっていらっしゃるようですが、今年はイメトレをトレーニングメニューに加えてみてはいかがでしょうか。
■まとめ
イメトレは、成功している自分を想像して自信をつけたりすることではありません。そういう結果から離れて、感覚に集中していくことがイメトレの一番重要なコツです。その結果、パフォーマンスはあがりますが、それはあくまでもオマケにすぎません。
実際に色を使ったイメトレ方法を紹介しました。イメトレは、瞑想とも深いつながりがあるのです。
イメトレはいつでもどこでもできるものです。スポーツウェアに着替える必要もありません。こころの筋トレに使い勝手がいいですよ。オマケで、パフォーマンスも上がるでしょう。
イメトレのコーチがほしい場合は、ソレア心理カウンセリングセンター(埼玉県)へ