親子関係と愛着スタイルから見た依存症3つのパターン|不適応、非定型、定型依存

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・アルコール、薬物などの物質への依存
・ギャンブルや買い物、性(痴漢、盗撮、露出、セックス)、恋愛、インターネットなどの非物質(行動)への依存

などで、お悩みの方へ。

この記事では依存症から回復するための3つの視点をお伝えします。この中でも、依存症の見立てを行うには【心理学の視点】が重要です。ここで紹介している視点については参考文献も少なく、理解しにくいかもしれません。適宜、改訂して追加説明していきますので、ソレアのWebサイトのお問い合わせを利用して、ご要望、質問などを送ってください。

臨床心理士がお伝えするこの知恵は、のべ2万人の悩みを聴くなかで学んだものです。この記事を読むと次のことを理解できるようになります。

  • 依存から回復するには?(当事者の視点)
  • 依存とは?3つの軸(精神医学の視点)
  • 親子関係と愛着スタイルからみた依存の3つのパターン(心理学の視点)

動画でも解説しています。

依存から回復するには?(当事者の視点)

精神科医の熊木徹夫先生によると(*1)、

・一人でできる無害な依存趣味を見つける
・依存対象に近寄らない
・余分なお金は渡さない。
・火種は一生消えない(まず1年。安心は3年)

これらに注意しながら生活を送ることです。特に無害な趣味はできるだけ早めに見つけるようにしてください。例えば、パチンコ依存だった或る人は、バイクに情熱を見つけました。自分でメンテナンスをするようになって、余計な時間、ヒマな時間をそれに費やせるようになりました。

アルコール依存だった人は、いつも帰り道のコンビニでアルコールを買っていたので、帰る道を変えたそうです。コンビニのない道を通るようにした。そういう工夫はいくらでもできますので、あきらめずに考えてください。

注意

依存の火種は一生消えないと自覚しておいてください。忘れた頃が一番危ないのです。少なくともカウンセリングは1年は必要、3年続いて安心できるかどうか、くらいのレベルだと覚悟しておきましょう。3年すぎてカウンセリングの頻度は減ったとしても、継続していくことが必要です。

特に、覚せい剤の摂取、性的な犯罪行為をお持ちの方は、10数年くらいの長いスパンを覚悟しておいてください。

この熊木先生の対策は、物質、非物質、両方に適応できます。

依存とは?3つの軸(精神医学の視点)

・身体的依存
・精神的依存
・耐性

この3つで、依存について判断していきます。(*2)

身体的依存とは、それを止めると離脱症状、つまり禁断症状が出現することです。手がふるえたり、イライラしたり、落ち着かなかったり、口が渇いたり。

精神的依存は、欲しくて欲しくて仕方がない状態です。

耐性とは、長期に渡る依存物質の摂取、依存行為の継続によって、物質の量や行動の回数が、どんどんと増えてくることを意味します。

この3つの軸は、物質、非物質、両方に適応できます。

物質による中毒の例

モルヒネ、コデイン、ヘロインなどのオピオイド(麻薬性鎮痛薬)は、身体 +++ 、精神++ 、耐性+++ で、かなり依存度が高いです。

コカインは、身体-、精神+++ 、耐性-で、精神的依存のみ高いです。欲しくてほしくて仕方がないので、止められません。

覚せい剤は、身体-、精神+++ 、耐性++で、禁断症状はないのですが、欲しくて仕方なく、量がどんどんと増えていくので、それを買わずにはいられなくなってお金をどんどんと投入して破滅的な生活へ入っていきます。かなり怖い物質です。

非物質による中毒の例

非物質は、ギャンブル依存やゲーム依存(調査中)です。具体的な指標がないので、だいたいの感覚で考えてみると、ギャンブルをやめるとイライラや落ち着きなさが出現します。

ギャンブルの日が近づくとやりたくて仕方なくなります。ギャンブルの回数が増えてギャンブル漬けにもなるでしょう。そこから判断すると、身体 ++、精神 ++、耐性 ++ くらいでしょう。結構、怖い状態ですね。

ゲーム依存もギャンブル依存に準じていいのかもしれませんが、まだ調査研究中ですのでなんとも言えません。

親子関係と愛着スタイルから依存を見る、3つのパターン(心理学の視点)

ギャンブル依存を例にとって、3つのパターン(*3)で見ることができます。

  • 不適応行動→自責感のないギャンブル
  • 非定型嗜癖→ボーッとするためのギャンブル
  • 定型的嗜癖→興奮を求める病的ギャンブル

下の表は、親の愛着スタイルが子どもの依存症にどのように影響するかを示したものです。(高橋和巳先生の嗜癖の3つのパターンに、高間が愛着スタイルを加味して作成したものです。参考文献があるわけではなく、高間の臨床経験による試論です。)

表の見方は、縦に見ます。例えば親が回避型愛着スタイルの場合、子どもが不適応行動を起こしたり、定型嗜癖になり得るが、非定型嗜癖にはなり得ない、と見ます。

親の愛着スタイル⇒安定型回避型不安型恐れ・回避型
子の不適応行動
子の非定型嗜癖××
子の定型嗜癖×
〇:なり得る、×:なり得ない

愛着スタイルについては、関連記事をご覧ください。

【不適応行動】というのは、脳機能に障害のある軽度知的能力障害や、発達障害の人々の行動を指します。あるいは、不安型愛着スタイルを持つ人の行動もここに入る場合があります。大人にはなったが、思春期(10代)あたりで親子関係で大きくつまづいた人々です。

こういう人にはSST(社会スキルトレーニング)つまり「大人のしつけ」が良いでしょう。がっちりと練習を繰り返して身に付ける感じです。

  • 10代あたりでつまづいた大人のゲーム依存の場合は、SSTをやることになるでしょう。
  • 精神発達が成人期まで達している人のゲーム依存は、次の非定型、定型を参考にしてください。
注意

実年齢が10代の、未成年の不適応行動は、脳機能に障害がない場合、依存症とみるより、親子関係の不調によることが大きいです。親がカウンセリングを受けることで、子どもの不適応行動が納まっていく場合も少なくありません。

【非定型嗜癖】というのは、被虐者つまり愛着障害の人々です。こちらはカウンセリングで対応していくことになります。依存症の治療というよりも、愛着障害の治療になります。その途中で依存症関連のカウンセリングをやるということです。

非定型は、依存にはなりにくいので、本人が止めようとしているなら、指示をするというより、軽く「止めてみてもいいのでは?」というメッセージを出すだけで止まる可能性があります。
熱心に治療すべきは、依存の治療というより、愛着障害の治療です。

【定型的嗜癖】というのは、心理発達が成人期の人々です。こちらはカウンセリングもしくは認知行動療法が適応できます。止めたいが止められない、という葛藤をずっと聴いてもらってください。どこかに必ず落としどころを見出すことができるでしょう。

Reference
*1)熊木徹夫:ギャンブル依存症サバイバル, 中外医学社, 2015
*2)松崎朝樹:精神診療プラチナマニュアル, 2018
*3)高橋和巳:上級カウンセリングセミナー講義テキスト, 改訂3版, 2018

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