芸術の秋ですね。今回は、ちょっと趣向を変えて芸術を意識しながら、フロー的な話をします
・美術館と博物館の違いを考えて、それを心理療法に活かしてみる
・それを踏まえて、回復についてはどのへんのレベルで十分なのかを考えてみる
この動画のポイントは、2つあって、
- 美術館は【今】を観る場所、博物館は【流れ】を観る場所(前半)
- 美術館は【現在形】、博物館は【現在完了形】。そして現在に集約しなくても、過去をちょっと引きずってても良い。(後半)
■美術館と博物館の双方経営が健全なこころの状態
美術館と博物館の違いを考えてみました。これを考えることで、心理的な治療の方向性が見えてきます。次のようなツイートをしています。
【博物館と美術館の違い】博物館には過去から今までの歴史の流れがあり、美術館には「今」が息づいています。過去の有名画家の展示がされるのも、そこにはつねに「今」という視点があるはずです。美術館では、例えモナリザやゴッホの作品であったとしてもその作品が伝える【現代の息吹き】を観るようにし、博物館では今日までの【流れ】を観る。(ツイート改編)
心理療法では【今】に焦点を当てます。それはどんな心理療法であっても、そうです。これは美術館に相当するでしょう。コンテンポラリー(現代的)なムードを伝えるのが美術館の役割だからです。それは昔の作品であったとしても、それが現代にどのような影響を及ぼしているのか、という視点で観ます。だから、美術館は【今】なのです。ここは多くの心理療法と合致すると思います。そして私の治療も、そこを目指すのは変わりありません。【今】に気持ちが固定できなければ、それ以上のこともできません。
ここで博物館を考えてみます。博物館というのは、古代から現代までのものが年代を追って展示されています。つまりそこには歴史がぎっしり詰まっているのです。進歩というか、変化してきた跡が見て取れる。これは【大河の流れ】です。昔から現在に至るまでの流れ。現在も当然展示されてもいいのですが、それは昔からの【流れ】に沿ったもの。「悠久なる時の流れ」といいますね。あれが博物館です。
【今】に焦点を当てることは大切なことでした。つまり美術館は必要な施設です。それと同時に、【流れ】を知ることです。博物館的な広い視野で、大河の流れを遥か1万メートル上空から観ていることです。
つまり、心理療法としては、美術館と博物館、両方とも必要だということです。どっちかではなく双方を偏りなく経営しましょう。
■現在完了形という視点
美術館は【今】という点で、博物館は【流れ】でした。これを別の言葉で言い換えると、
- 美術館は現在形(今)
- 博物館は現在完了形(今までずっと) となります。
ACの自助グループを卒業すると生き方が楽になります。自由になって身体が軽くなります。そのため人に合わせなくなったのですが、完全に変わったわけではなく、まだ少し引きずっています。それを称して【現在完了形の私】と表現した人がいました。現在に過去をひきずっている感じですが、まったく過去の影をなくしてしまうのではなく、そのくらいでちょうどいいのでしょう。その人らしい回復の仕方です。(ツイート改編)
たしかに過去からの影響を全く受けないというのは理想的かもしれません。常に現在に生きていられるからです。しかし、そんなに都合よくはできていないのがこの世界。少しは何かしらの傷が疼く(うずく)のです。そのくらいで手がうてるようになると、十分に回復していると言えるでしょう。それだけ自由度の高い生き方が選択できているのです。
■まとめ
心理療法を行うにあたって、【今】という視点と【流れ】という視点、双方を持って進むことが大切です。これは、美術館と博物館に該当します。
また別の言い方をすれば、【今】と【今までずっと】という言葉に言い換えられます。これは現在形であり、現在完了形に該当します。現在完了形くらいで現在を捉えられれば、それだけで十分自由に生きていけるでしょう。
美術館、博物館、両方の視点で、あなたのこころの悩みを回復させていきましょう。
なかなか悩みが解消されない場合は、ソレア心理カウンセリングセンターへ