・カウンセリングが苦しくてやめたい
・カウンセリングに効果を感じない
・カウンセリングをしているとどんどん悪化するようだ
カウンセリングをすることは自分の葛藤に接近していくので、辛いと感じる方もいらっしゃるようです。この記事では、カウンセリングの門をたたく人を3つのタイプに分けて、それぞれの人がどのような回復過程を辿るのかを解説しています。その3タイプとは、
- 地盤のある人
- 地盤が沼地な人
- 地盤がない人
地盤とは分かりづらいかと思います。地頭(じあたま)なんていいますね。あれのこころ版です。地心(じこころ)が地盤です。なんとなくイメージが伝わりますでしょうか。
ご自身が、この3タイプのどれに属しているかによって、カウンセリングスタイルは若干変わってきます。もしカウンセリングに効果がないと感じているのなら、まだ効果が出ない時期かもしれませんし、カウンセラーの見立てが間違っているのかもしれません。
この記事を読めば、現在自分のカウンセリングがどの辺りにいるのかが分かります。それによって苦しさの原因が分かれば、少しは楽になるかもしれません。
また、最もカウンセリングが難しいとされる、愛着不全の(不十分な愛着を生きた)人々の回復のロードマップが分かります。この情報はカウンセラー向けですが、現在カウンセリング中のクライエントの方々が読んでも参考になります。このロードマップは、のべ2万人のクライエントの話を聴いた臨床心理士・高間の最新の知見に基づいています。
この記事では次の4つのことを解説します。
- 最悪な人のほうが早く回復する
- 最悪ではない人のカウンセリングは?
- 地盤のない人のカウンセリングは?
- 地盤のある人のカウンセリングは?
■最悪な人のほうが早く回復する
次のようなツイートをしています。
カウンセリングの門を叩く人は3種類に分けられます。
— しのぶ@ソレア心理 (@soleapsy) July 14, 2020
①地盤のある人
②地盤が沼地な人
③地盤がない人
家を建てるには①が必要です。カウンセリングは①を目指して進みますが、困難さに順番をつけるなら②>③>①です。②が最強に困難。カウンセラーに力量が求められます。動画で解説します。
カウンセリングの門を叩く人は3種類に分けられます。
①地盤のある人
②地盤が沼地な人
③地盤がない人
家を建てるには①が必要です。カウンセリングは①を目指して進みますが、困難さに順番をつけるなら②>③>①です。②が最強に困難。カウンセラーに力量が求められます。
最悪とは、苦悩が深いという意味です。どうして最悪な人のほうが回復が早いのかというと、【愛着】というしがらみに執着していないからなのです。下の図をご覧ください。
①地盤のある人→愛着があって成人期まで育った人
②地盤が沼地な人→愛着があって(不全で)育った人(愛着不全)
③地盤がない人→愛着がないところを育った人(愛着障害)
図を見ていただければ分かりますが、②と③がグラフ上、不連続になっています。この断層は何かというと【愛着】ラインです。
愛着を知って育った人は、機能不全に陥ると(愛着不全②です)、③の愛着障害の人よりも回復進度が遅くなります。これはちょっと考えればわかりますが、愛着を知っているためです。一度知ってしまったものは、切ることが難しくなるということです。いつまでも十分な愛着で満たしてほしいという欲求、期待が続いて、餓鬼状態になります。だから難しいのです。
愛着障害③の人は、養育者との間で、もともと愛着を知りませんので、根源的な苦痛にさらされていますが、「そんなものか」という感じになれば、回復は進みます。
ですから、困難さをみれば、②>③>① という順番なんですね。愛着不全②のカウンセリングは難攻を極めます。カウンセラーも、腹を据えてハチマキをしっかり巻いて取りかかる必要があるのです。ですから最悪の③の人のほうが回復が早いのです。
■最悪ではない人のカウンセリングをどうするか?
「愛着不全の人が回復する道のりは長いのは分かったけれど、カウンセリングに来た当初は、それほど深い苦悩を抱いているように見えないが」と思うカウンセラーもいるでしょう。
それは、そうですね。その通りです。よく観察できています。つまり苦悩を隠しているわけです。その苦悩をカウンセラーがほじくりだす功罪というのはあるでしょう。カウンセラーがそれをしていいものかどうか。それは数回のカウンセリングの中でお互い話し合いの中で判断してください。
その理由は、カウンセリングを深めた結果、長い年月に渡って苦しみを体験することになるので、そのコンセンサスをとっておく必要があるからです。相談者もカウンセラーも、その道を歩むことになるのですから、コンセンサスは必ず取っておくようにしましょう。
では実際、どのようなカウンセリング過程になるのかというと、中断しなければ、だいたい5年~10年は見ておきましょう。中断をはさみつつでも結構です。5年~10年。次のロードマップをご覧ください。
◇愛着不全(最悪でない人)回復のロードマップ
- 受容しつつ話を聴く段階。だいたい1~3年。
- 悪化する段階→1年くらい。(最悪、入院の可能性も?)
- 回復する段階→ここが長いです。3~5年。
The Long and winding roadです。この期間では、【愛着は十分ではなかったが何とか生きていこう】とします。ここで息をきらす相談者がいますので、カウンセラーはそれを支えながら進みます。カウンセラーもつらい時期ですが、ここが長いということを分かっていると、ペース配分ができます。
100m走ではなく42.195kmのマラソンと思ってください。アップ・ダウンしながら進みます。カウンセラーが一喜一憂しないことが一番重要です。ペースメーカーとしての役割を全うしつつ、このマラソンを走り切ります。
もし悪化する段階が耐えられないと判断したら、最初の受容する段階で、不時着させるようにしましょう。「私はこのへんまでが精一杯」と伝えます。回復はしていませんが、十分に受容していれば一つの峠は越したのでOKとしましょう。
とはいうものの、相談者は、カウンセリングに来た段階で苦悩しているので、そのままカウンセリングは続行してもいいと思うカウンセラーもいるでしょう。でも愛着不全の場合は、そんな簡単には運ばないことを思い出してください。
- これから続く苦悩をカウンセラーは支えられるのか
- 自分の身心がもつのか? そういうことを自分に問う時間があってもいいでしょう。
そして、ムリだなと思ったら、熟練のカウンセラーへリファーしましょう。それが相談者のためでもあり、カウンセラー自身が身を持ち崩さないための方法です。
■地盤のない人のカウンセリングは?
愛着障害のカウンセリングになります。関連記事を張っておきます。ソレアのWebサイト>お悩み相談室>愛着とトラウマ(虐待)の記事ならどれも参考になります。適宜参照ください。
▼参考記事
毒親カウンセリング3つのヒント~毒親ですらなかった【毒になる親】
■地盤のある人のカウンセリングは?
この人は、普通の成人期のカウンセリングが適しています。心理療法というより、シンプルに「カウンセリング」を標ぼうしているところに相談しましょう。
関連記事を張っておきます。ソレアのWebサイト>お悩み相談室>カウンセリング A to Z の記事ならどれも参考になります。適宜参照ください。
▼関連記事
こころの悩みが解決するための3つのヒント【パリピで行こう!】
■まとめ
カウンセリングが効果がないのは、カウンセラーの見立てが間違っているか、まだ効果が出てこない時期なのか、そのどちらかでしょう。
- 地盤のある人
- 地盤が沼地な人
- 地盤がない人
この3タイプのどこに自分が属するかによって、カウンセリングの効果が現れる時期が異なってきます。
地盤のある人、地盤のない人は、比較的早くに回復しますが、地盤が沼地の人は時間がかかります。
そして、その一番時間のかかる「地盤が沼地な人」の人のカウンセリングは次のように進みます。
- 受容しつつ話を聴く段階、だいたい1~3年。
- 悪化する段階→1年くらい。
- 回復する段階→長い、3~5年。
悩みの深さは人によって違いますが、いつかその悩みに光が当たってあなたの人生が動きだすことを祈っています。
悩みがなかなか晴れないときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ、