・仕事の悩みがある
・プライベートがうまくいかない
・人間関係がうまくいかない
・将来が不安だ
こんな悩みをお持ちのあなたへ。
人は生きている間は不安に陥らないことはありません。その不安の感情が解消して楽な気分、幸せな気分を味わえるから人間は生きているともいえます。この記事ではどのように悩みが解決するのか3つのヒントを紹介します。ガイドの臨床心理士がお伝えする知恵は、のべ2万人の悩みを聴くなかで学んだものです。
- パリピ式で回復する
- ニーチェ式で回復する
- ロジャーズ式で回復する
- 日常でルーティン化できる実践的な3つの手順は?
具体的な3つの手順に行く前に、3つのヒントへの理解を深めてください。これらのヒントは、実はどれも同じことを言っています。ソレアのカウンセリングはどれかというと、全てに該当しますが、ソレア流に説明すると【パリピ式の回復】がメインです。
■パリピ式で回復する(ソレア流)
パリピとは、ご存じの通りparty peaple の略です。英語の発音は、パーリーピーポーなのでパリピ、パーティー好きの人々を表しています。そこから派生して、集まって騒ぐ若者というちょっと悪い意味にも使われたりするパリピ、カウンセリングの回復を説明するための概念の一つにもなり得るのです。それは【パーティー】というとらえ方です。
長年のカウンセリングを通して、だんだんと分かってきたのですが、こころの回復はパーティーという形で行われていきます。これだけでは何のことかさっぱり分かりませんね。説明します。
雪山をザイルをつないで登っていく数名の集団をイメージしてください。どんなイメージかは、動画のイラストを見てください。稜線をA,B,Cの三人が登っています。それぞれはザイルでつながれていますが、AとBは離れています。BとCは近づいています。これらはすべて同一人物なのです。Aは先を行く人ですが、そういう自分がいるのです。Cは後からついてくる人。そういう自分もいるのです。
みんな同一人物なので、ザイルでつながれている。個人としてのまとまりはあるのですが、それが大きく離れているところに苦しみが発生している状態です。
カウンセリングでは、このような色んな自分を体験していくのです。それが回復につながっていきます。A,B,Cの各個人がそれぞれ遠く離れていると、全体としてのまとまりが弱く、力強さを感じることはできないでしょう。しかし、これらA,B,Cが接近してくると、1つの集団として意識できるようになります。集団で山登りしていくので、つらい登りのときの精神的な支えにもなります。
分断されていた自己がひとまとまりの自己になっていくように、このようなパーティとしての自己を体験をすること。だんだんとAとBの間隔が短くなって、A~Cが一つの集団として見なされるようになっていくこと。このようなパーティー集団を意識できるようになってくると治療が進んでいるといえるでしょう。
登山に例えて、パーティという概念で説明しました。
◇双子というとらえ方
これに近いものとしては、コフートの双子自己対象があります。双子とは、自分とそっくりの別人と出会っていくことです。自分と同志であるという感覚です。これが相談者を一人に置き去りにしません。他人だけど双子。母でも父でもない、この感覚が相談者を最終的に癒していくのです。
絵本作家のレオ・レオニのカメレオンの話は、この双子自己対象に出会う話でした。
■ニーチェ式で回復する
もう一つの回復イメージとしては、らせん階段を登るように治療が進んでいくイメージです。A,B,Cの三人がいるとします。Aは4階に、Bは2階に、Cは1階にいるとします。この三人も実は一人の人で、A,B,Cはザイル(動画の図の赤線)で結ばれていて、これも一つのパーティを形成しているのです。
参考文献は、ニーチェのツァラトゥストラはかく語りき(*1)。どういうものかというと、らくだ→獅子→小児というサイクルを何度も繰り返して超人に向かいます。螺旋階段を登るように、何度もこのサイクルを繰り返します。この営みは永劫に続きます。超人にはなれないのですが、超人になる営みは永劫に続く。これが永劫回帰ということです。
何度も何度も楽になっていく。何度も続くので永劫なんです。楽になっていくので回帰なんです。【悩みは楽になっていくために存在している】んですね。それが永劫回帰。
精神科医の泉谷閑示氏(*2)は、このらくだ→獅子→小児のサイクルを、弟子が師匠を乗り越えていくサイクルである守破離に例えています。守→破→離のサイクルで弟子は師匠を乗り越えていくのです。らくだというのは、師匠の教えを従順に守ってなぞっていることです。それがいつか、師匠の教えを破ることになる。それには獅子にならないといけない。最後に師匠から離れていく。それが子どもです。
超人になるサイクルのいったんの落ち着きどころが「子ども」であるというのは、ツァラトゥストラのもっとも重要な主張ともいえるでしょう。子どもとは、【純粋無垢で創造的な遊戯に没入する存在で、能動的な「あるがまま」を体現した存在】として描かれています。
■ロジャーズ式で回復する
日常で生活することは、経験的自己と理想化自己の2つの自己が常に存在して、それらがせめぎ合っている状態です。この2つの自己が一致していくと生きやすくなります。自己一致モデルです。
この2つの自己が離れていると自己一致している部分が少なくなってしんどいですが、接近してくると自己一致している部分が多くなって楽に生きられる。
これは2つの自己が統合してくると、つまり統合した集団=パーティーが形成してくると楽ですよ、ということを言っています。パリピの回復と同じです。
■日常でルーティン化できる実践的な4つの手順は?
シンプルに考えると、次の4つの手順に集約されます。
- 悩みは最初、不安という感情とともに現れます。ですから、【何が不安なのか】自分に問いかけてみる。
- 大きな不安の場合、小さな不安に分割する
- どうなればその小さな不安が解消するか考える。
- それを【実行】する。
次の小さな不安に対して、以上を繰り返す。
不安を明らかにして→解消方法を考えて→実行、これを何度も実行するわけです。
◇小さな不安を解消する
この4段階で悩み=不安は解決します。ただ、この方法は、小さな小さな悩みに対応できる方法ですので、大きな悩みがあったら、それをまず小さく分割することが必要。
急に大きな不安をいっぺんに解消しようとしないことです。小さな不安を解消すると小さな幸せを感じます。それを何回も積み上げていくイメージです。ニーチェでいう永劫回帰です。
具体的には、ノートやスマホなどに書き出して、順番をつけるのがいいでしょう。
◇実行は難しい
実行するのは大変難しいということはよく理解しておくことです。実行するのに抵抗がある場合は、その不安解消策に無理があるということです。その場合、次の点に注意してください。
- 自分にガマンを強いる解消策ではないか?→その方法では無理があるので、自分へのガマンが【最小限になる】策を考える。
- 自分が一生懸命にやれるような策を考える。
- 結果を求めすぎると、無理な対策をたてがちになります。結果から離れてみましょう。
- 自分を変えよう、考え方を変えよう、価値観を変えようとしないことがコツです。
◇悩みと距離をおく
これも一つの選択肢として入れておいてください。また逃げるということも大切なことです。マインドフルネスとしての対策です。関連記事を参照してください。
焦っているときは【何もしない】というのも必要なことです。
■まとめ
一番大切なことは、【一つのまとまりのある自分として自覚】することです。それができると、その自分が悩みを解決してくれる。これが自分で自分の悩みを解決するということです。カウンセリングを受けている方は、その感じをよく実感されていると思います。ソレア式、ニーチェ式、ロジャーズ式、3つの回復のヒントでそれを話しました。
そのような一つのまとまりのある自分を実感できるようになるために、日常でやれることとして、4つの手順がありました。
- 【何が不安なのか】自分に問いかけてみる。
- 大きな不安の場合、小さな不安に分割する
- どうなればその小さな不安が解消するか考える。
- それを【実行】する。
コツは、
- 大きな不安なら小さく分解する。
- 解消策を考えるときは、自分がガマンしない方法を模索する。
Reference
*1) Nietzsche, Also sprach Zarathustra, 1885
*2) 泉谷閑示, 反教育論-猿の思考から超猿の思考へ, 講談社現代新書, 2013
こころの悩みを解決したいときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ