祭りがおわるとき日常へ戻る【ハレとケ】のけじめがない双極性障害

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祭りはちゃんと終わらせましょう、という大事なこと。

夏祭りのシーズンです。祭り自体が持つパワーはすごいもので、色々なものを変化させる力をもっていると思います。カウンセリングもああいうパワーで変化を与えられればいいのですが、物事はそううまくは進みません。

祭り自体、そのパワーは非日常のものであり、あれを日常に取り込むことには危険があるのでしょう。ですから、祭りというものは、特別な時期の特別な枠組みの中で行われることに意味があるのであって、あれが日常になってしまうと躁病になります。躁の人はそのような危うさがあるのです。

祭りというものの良し悪しということです。ただ、昔から祭りというものはそういうものだという了解が人々の間にはあったのだと思います。ですから、ちゃんと祭りにメリハリが付いていた。そのメリハリを壊したのは現代人。現代の精神病が、昔よりやっかいになっているのはそういうこともあるのかもしれません。

祭りのメリハリについて。祭りにはもう一つの側面があります。それは「祭りのその後」のことです。祭りが終わって日常に戻っていくとき、疲労感、気だるさ、一抹の寂しさがあったりします。これも祭りには必要な側面なのでしょう。メリハリです。つまり強力な祭りのパワーを軟着陸させるためには必要なもの。空を飛ぶという無謀なことをやった後は、ちゃんと軟着陸させないと生きていきません。なぜなら人は飛べないから。そういう役目が「祭りのその後」にはあります。

東北の夏祭りは青森のねぶたに始まって、だんだんと南下して行って仙台の七夕で終わります。そうやって東北の祭りは始まって終わっていきます。これもメリハリですね。祭りが終わると、秋風が吹きだす季節になります。晩夏を迎えます。東北は、そこから冬へ向けて進んでいきます。寂しさもヒトシオ、そんな気分にさせられますが、その抑うつ的な気分が、熱くなっていた気持ちを冷やすにはちょうどいいのでしょう。

そうやって安定を生きていくこと。躁の病として双極性障害があります。そのときに用いられるのが気分安定薬。代表的なものに、炭酸リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギン、アリピプラゾールなどがあります。この5つは臨床的にも重要なので覚えておいてください。躁の人に、抗うつ薬は禁忌です。なぜなら、躁転して大変なことになるからです。祭りから抜け出せなくなります。

安定を得るために昔の人々は、季節の行事などにメリハリをつけることができました。熱くなったらクールダウンする。それがちゃんとできていました。やり方は、年上が年下に教えました。しかし現代は24時間情報が流れっぱなしになっているので、余計にメリハリは難しい。上下の関係も絶たれがちです。それが現代の精神の病をやっかいなものにしています。

このテキストはビデオを撮ってから書いているので(また修正もしているので)、なんだかビデオとちょっと違うことを話しているようですが、まあ、両方ともご覧ください。

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