意志疎通ができれば虫も怖くない【愛着で虫とつながる】

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虫が嫌いという人は時々おられます。今日は、そういう限局性恐怖症の克服の話ではありません。虫への恐怖というのは、それそのものを治療するというより、他の要因と結びついていることが多いので、私の場合、最初から虫の恐怖へアプローチすることはしません。

行動療法などでは、不安階層表などを作って、その最強恐怖強度に虫を直接触るという課題があったりして、強制的に恐怖に親しむ手法が取られます。これを古典的条件づけと言いますが、この方法がうまくいくのかどうか。別の恐怖が出てくる可能性が高いのではないか、そんなふうに私は思っています。要するにもぐら叩き状態になってしまう。1つを潰すとまた次が出てくる。そういう悪循環に陥る可能性もあります。

(或る人のツイート)
私は、蝉や蜘蛛などの昆虫類が大嫌いなのですが、ある日道を歩いていると、蜘蛛の巣に蝉が引っかかっていました。その瞬間、彼と私は目が合ってしまったのです。何だか悲しそうなものが私に伝わってきて、じっと私を見ているのです。そのとき私は、反射的に蜘蛛の巣から蝉を助けようとしていました。意志疎通ができると、怖かったものも怖くなくなるのですね。

この話のキーワードは「意志疎通」です。お互いの気持ちが分かりあえること。これほどまでに重要なものはないでしょう。これはつまり愛着の話に通じるものがあって。養育者と結ぶ愛着も意志疎通の話ですから。それがあると、怖いものも怖くなくなる。これは世界共通の真理のひとつです。

犬や猫と視線を交わす人は多いかと思いますが、虫とも視線を交わしてみる。そこに恐怖症克服の一つの道があることは疑いもないことです。嫌いなものは嫌いですが、不快な感覚の中に何か別のムード(親密感)が混入してくる。これが不快を中和する方向に働くのでしょう。虫を愛でるまでいかなくても、それと親しさを感じている、これが何かその人の世界との絆に変更がかかっているのかもしれません。

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