中年期は果たして最悪の時期か?【幸福曲線と愛着曲線の違い】

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・人生のゴールデンタイムはいつ?
・中年期ってしんどそう。最悪なの?

こんな疑問をお持ちのあなたへ。

この記事では受難と言われる【中年期】を、どのように乗り越えていけばいいのか、そのヒントを2つ紹介しています。中年期とは、

・幸福度の最も低くなる時期
・愛着の成熟度が最も高くなる時期

つまり、幸福ではないけれど、なにか充実感を感じる時期、自分の人生を歩んでいることを実感できる時期なのです。【おもしろく】生きることができるのです。

■幸福度はU字曲線

人生最大の危機―50歳への3つのヒント】でお話ししたことは、50歳くらいで一番幸福度が低いということでした。40~60歳の中年期が人生で一番幸福度が低かったという調査結果があります(*1)。この時期は、幸福度という指標だけでみると最悪=嵐の時代なのです。

では人生のゴールデンタイムはいつでしょうか。それは10代~20代と80代以降なのです。

私はいま60代半ばにさしかかっています。中年期は脱して壮年期に来た頃です。いま、幸福度の高い20代に戻りたいかと聞かれると、そういうことは全くなくて、それよりも幸福度が最も低くなる中年期に戻れたら?と聞かれると、それはいいかもしれないかなと思うのです。

これはいったいどういうことなのでしょうか。充実している感覚は、幸福度の高低によるだけのものではないということでしょう。幸福度はU字曲線を描いていますが、そこに、愛着の成熟度を示す曲線を考えてみました。以下になります。

■愛着の成熟度は山形曲線(逆U字曲線)

エリクソンの心理発達理論によると、幼児期には愛着=基本的信頼感を獲得します。そして、成人期II期つまり中年期になって愛着を使っていく局面に遭遇するようになります。これは生活構造の変化によるものですが、それは何かというと「子育て」あるいは「部下の育成」ということです。

幼児期は愛着をもらう一方だったのが、成人期前期~中年期にかけては、家庭では自分の子どもへ、あるいは会社では部下へ愛着を与える時期になります。世話、ケアという質を獲得する時期なのです。そのために愛着という資質が成熟していくことになります。それが、この山形の曲線になります。

幸福度とは逆を示す曲線です。一番幸福度が下がる時期(中年期)は、人を育てていく素質を獲得していく時期なのです。母親なら子育て、父親なら上司、部下の関係においてそれは獲得されていきます。

自分が獲得してきた愛着がこなれていくような感じですね。40歳頃にどんどんこなれていって、50歳くらいでピークが来るのです。こなれた=成熟した愛着で、子どもや部下へ対応していきます。

その愛着は、80過ぎになると必要なくなってくるので、だんだんと下がっていく。そうやってこの世からおさらばしていく。

■幸福だけでは計りきれないもの~おもしろく生きる

幸福度と愛着成熟度を合体することができたら、だいたい横にフラットな曲線(直線)になります。そうすると、幸福度と愛着の両方を同時に考える場合、人生においてどこでも中庸ということになります。つまり幸福と不幸という指標だけでは計り知れない人生という深みが見えてきます。

じゃ、どこの年代でもいいのかというと、いま中年期を抜けていった自分からすると、中年期はやっぱり面白いよと思うわけです。愛着が成熟して、それを使って色々な人間関係を経験していく、その面白さ。30代の人々はぜひ期待していてください。そしていま40代、50代真っただ中のあなた、その時間を堪能してください。その余裕はないかもしれませんが、ときどき立ち止まって空を見上げるといいですよ。

幸福度が低くても、おもしろく生きることができるということです。

Reference
*1) Simon Kennedy, Middle Age Misery Peaks at Age of 47.2, Economist Says, 2020

中年期の危機に遭遇しているときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ

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