精神医学的に(症状で)摂食障害を診断すると、
- 代表的なものは、拒食を続ける神経性やせ症です。ダイエットの減量とは違って、体重が落ちて満足することはなく、痩せるほどに体重に囚われてしまって、過度に痩せようとするのです。
- 過食は一般的にも存在しますが、それで困っている場合に限り、神経性過食症や過食性障害と診断されます。
- 拒食や過食のタイプを見極めるポイントは、やせ願望の有無、拒食の有無、過食の有無、嘔吐や下剤乱用の有無などを基準にタイプを診断します。
やせ願望があり、食べずに痩せている場合、神経症やせ症 (ANアノレキとも言う)。その中でも、過食・嘔吐・下剤を使う場合は「制限型」、使わない場合は「過食・排出型」。
やせ願望はなく、食べずに痩せている場合、回避・制限性食物摂取症。
過食を繰り返し、嘔吐・下剤乱用がある場合、神経性過食症(BNブリミアとも言う)。
過食を繰り返し、嘔吐・下剤乱用がない場合、過食性障害。
以上のように診断を下します。
摂食障害を調べる質問紙としては、EAT(Eating Attitudes Test) 摂食態度検査があり、自記式で、40点以上が軽度、70点以上が中度、100点以上で重度の摂食障害と考えられます。
EDI (Eating Disorder Inventory)摂食障害調査票は自記式で、食行動や心理的特徴を読み解くテストです。やせ願望の度合いや体型への不満などを読み取ることもできます。
(参考:精神疾患プラチナマニュアル・松崎朝樹)
次に、心理学的に摂食障害を見立てると、
A.幼少期につまずいた人の摂食障害
B.学童期につまずいた人の摂食障害
C.思春期につまずいた人の摂食障害
D.成人期につまずいた人の摂食障害
人間の心理的発達をざっくりと4つに分けて、上記のようにA~Dまでを見立てることができます。それぞれの時期につまずいた体験のある人々です。普通の20代の人ならDにあるはずなので、そうではない人々がいるのです。それが4つに分けられます。
一般的に摂食障害と呼ばれる典型的なものは、BとC、つまり学童期および思春期の心理発達問題に関わってきます。学童期が中心のものが拒食、思春期が中心のものが過食です。どちらも家族問題を引きずっている摂食障害です。一般的な思春期臨床のやり方が適応されるでしょう。BとCを定型的摂食障害とすると、AとDは非定型的摂食障害といえるでしょう。(この分類は高間独自のものですので、他では通用しません。)
一般的なものと比較すると、AやDの場合は、レアケースになるでしょう。AとD、どちらが多いかというと、A>Dのような気がします。Dは稀なケースです。Aの場合は虐待が影響しており、Dの場合はその方のもっている大きな葛藤が影響しているように思います。Aの場合は、虐待のカウンセリング、Dの場合は葛藤を解消するカウンセリングが適用されますが、Dの場合は難航する場合もあります。