ネットに依存するSNS人格とは?【薬物依存の沢尻エリカ逮捕で考えた】

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依存症の治療は、時間もかかりますし難しい局面を何度も乗り越えていくタフさが、治療者と相談者の双方に求められるように思います。治療中なのに依存行為がまた繰り返されたとき、治療者には落胆しないタフさが、相談者にはそれでも治療に通いとおすタフさが必要です。

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薬物依存の沢尻エリカ逮捕

沢尻エリカが2019年11月16日、薬物(MDMA)所持で逮捕されました。

薬物を使用するのは薬物依存です。依存症の治療の大きな道は薬物だろうが、ギャンブルだろうが、ネットだろうが皆同じです。

まず依存しているものに代わる、快感のある無害な依存物(無害な代替依存物)を見つけること。これは自分にとってということであり、ここを見つけるのは大変な作業ですが、それでも地道にやっていくしかありません。

代替依存物に依存しながら、治療に通うことです。治療は止めないこと。一生続くと思いながらカウンセリングを利用することです。薬物治療は薬では完治できません。ではカウンセリングなら完治できるのか?それもできません。

つまり一生モンと思ってカウンセリングに通う決断ができるかです。

薬物依存に関しては、最初は何気ない気持ちで始めることが多いとおもいますが、薬物は脳を破壊する力があるので、早期に止めなければなりません。そうしないとどんな治療も効かなくなります。何度も同じことを繰り返してしまうことになります。

沢尻容疑者も芸能界という重圧があったのかもしれませんが、これを機に、やけっぱちにならずに自分の人生をしっかりと見つめていってほしいです。

SNS人格とは?

Aさんは、ネット依存ともいえるかもしれません。SNSへの書き込みを止められず、一日何時間もスマホをチェックして、そのため眼精疲労や頭痛に悩まされています。止めれば頭痛もなくなると分かっていても止められません。行動や症状からみると、ネット依存症と言えそうです。

ここ数年、あきらかにネット依存と言える人々が多数いるのですが、インターネット依存症は、DSM-5には正式診断名として採用されず、インターネットゲーム障害として参考研究に記載されているのみです。これはDSM-5が2008年頃に執筆されたことも大きいでしょう。その頃はスマホが登場したばかりでした。現在のように普及することは想像できなかったでしょう。

そんなAさんですが、ある時、こう話します。「SNSで投稿するのは、単なる居場所を見つけるためにやっているわけではないのです。そんな軽いものではなく、自分の投稿をまとめてみると、そこには一つの人間像が出来上がるのです。自分というものがない私にとってこれは大事件です。」

Aさんは、アイデンティティ(自己同一性)の形成についてもつまづいているので、SNSを使って自分というものを、一つの人間像としてまとめあげようとしているのは大したものです。私はその人格をSNS人格と命名しました。

一般的にアイデンティティというと、社会的アイデンティティを指します。その上位に実存的アイデンティティがありますが、それは哲学の領域になって心理学では扱いません。たまにカウンセリングで扱うこともありますが、それはそういう場面が来たら扱うという程度です。こちらから敢えてそこへ突っ込んでいくことはしません。

AさんはSNS上でSNS人格(アイデンティティ風)を作り上げています。リアルな関係の中で作られる通常の社会的アイデンティティとは違うのですが、それは薄い関係かもしれませんが、対人恐怖の人は、直球で、社会的アイデンティティを作り上げるのは大変なので、SNS人格の中でアイデンティティを作り上げていくのもアリなのではないでしょうか。

そうはいうものの、実際の安心できる人々の中で社会的アイデンティティを作っていく作業も必要です。両方進めていけばいいのでしょう。Aさんが今こうやってネットから逃れられないのは、ある程度仕方のないことです。SNS人格を作り上げるというのは大変な作業です。アイデンティティに関する作業をしているわけですので簡単にはいきません。頭が痛くなっても当然でしょう。ですから、いまはネットに依存していてもいいよ、という話です。

Aさんは、こころゆくまでSNS人格へこだわっていいのでしょう。Aさんにとっては、自分の人間像が出来上がっているという感覚が大事で、それをもってリアルな人間関係との間でアイデンティティを強化していけるのでしょう。

こうやって、心理学的に依存が許されるケースもあるということを沢尻エリカの事件を題材にしながらお話ししました。

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