【解離の症状5タイプ】オセロの駒のように幸せを否認する人

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解離はどんな病態にもあります。また病気に限らず健康な人にもときどき解離症状は起きます。解離とはいったいどういうものか、シュタインバーグによる定義をもとに説明します。

幸せの否認

「自分はオセロのコマのようで、黒から白にせっかく成ったのに、そこで止まってくれればいいのに何回も白と黒を行ったり来たり繰り返すのです。ずっと回っている、いつになったら(白で)止まるのか?いつになったら完成するのかと思ってしまいます。」

白になった自分は落ち着きが悪いので、その幸せを否認するのです。気がつくと馴染みの黒の自分に戻っています。

これは解離ということで説明できます。アメリカの精神科医のシュタインバーグによると、解離とは3つの大きな症状があります。

(1)健忘(amnesia)
自分の経験したことが忘れさられること。人に自分の行動を指摘されても、そのことについて全く覚えていなかったり、自分が書いた日記や文章を見ても、それを自分が書いたという記憶がない状態。物がいつの間にか移動していたり、自分が買った記憶のないものが部屋にあったりする。

(2)離人(De-personalization)
自分に関しての非現実感、自分が自分から分離されて外から自分を見ているという、夢をみているような感覚。体外離脱している、自分が大きくなったり小さくなったりする、感情が全く沸かない、ロボットのようだ、など。

(3)疎隔(De-realization)
外界が非現実的な、なじみのない感覚。よく知っている人や場所なのに、見知らぬ人や場所のように感じる。色が変わったり、サイズが変わったり、オーラが見えたり、視野が狭くなったり、ゼリーの中から外を見ている感じがする。

離人と疎隔はかなり高い確率で同時に起こるといいます。また解離だけではなく、うつ病や精神疾患のない人も体験する症状です。このほかに、

(4)同一性混乱(Identity confusion)
自らの同一性の不確実さ。性的同一性の混乱も含む。自分が男か女か分からない。

(5)同一性変容(Identity alteration)
交代人格の出現など。自分の中に子どもがいて自分の行動に影響を与えている、自発的な年齢退行があるなども含まれる。

離人・疎隔症状が出ると、現実から離れるので、白が黒に見えてしまうのです。現実味がないな、白(幸せ)は落ち着かないな、というところで黒(不幸)に見えてしまう。疎隔によって白なのに黒に見えてしまうこともあるのです。この場合、現実に覚醒するとまた白だったと確認することもあります。

愛着障害の人は、この離人・疎隔が起こりやすい人ともいえます。

参考文献:解離性障害(柴山雅俊)ちくま新書

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