この記事は、主に公認心理師を目指す人のために書いています。公認心理師と臨床心理士の両方の資格取得を目指している方々は、今の臨床心理士のための勉強を続けながら、ここに書いてあることをやってください。
公認心理師のみ目指している方は、ここに書いてあることを中心に勉強してください。
公認心理師の資格取得に必要な知識は、下記の3つになります。これらを何度も何度も繰り返すということに尽きるでしょう。
【必要な教材】
(1)過去問
(2)ブループリント
(3)現任者講習会テキスト(最新版)
それにプラスとして、精神医学の部分を強化するために、
1.DSM-5
2.精神診療プラチナマニュアル(松崎朝樹)
を用意しておきます。
(1)(2)や1.2.をやるときは下記のブログやYouTubeがおススメです。
公認心理師・臨床心理士の勉強会
(https://www.public-psychologist.systems/)
Dr.松崎の精神医学のビデオ(https://www.youtube.com/channel/UCE5vCAio4dFydYd3Uf16UkQ)
公認心理師・臨床心理士の勉強会のブログはかなり深い記事になっています。またここには試験を実施するセンターの味気ないブループリントではなく、重要用語を中心に噛み砕いたブループリントがあって活用できるでしょう。
心理検査の勉強は、心理検査を扱っている販売店から検査カタログを取り寄せると良いでしょう。難しい場合は、ウェブでカタログを表示させながら勉強してください。公認心理師の試験では、ロールシャッハテストとかソンディテストなどの、ヘビーな投影法の解釈は出題されなさそうです。それとは違って質問紙や知能検査、発達検査の数値的な意味を問う問題は出そうです。ロテをやったことのない人については朗報と言えるでしょうが、心理系の人にはロテは得点源になるので残念です。その分、知能検査や発達検査、神経心理学検査の問題で得点を積み上げましょう。
【アウトプット―自分で考える】
これらを勉強するとき、漫然と本を読んでいるだけでは知識が活きてきません。公認心理師・臨床心理士の試験は、そのようなマル暗記の知識で解けるような甘い試験ではないことは確かです。そのためにはアウトプットも必要になってくる。試験勉強期間中(それ以外でも)は、日常触れる事件に注意して、それらはどういうことなのか、どういう背景があるのか、誰が関わるのか、行政的にはどのように動くのか、法律的にはどうなのか、医学的には?薬は?副作用は?そういう見立てを自分の頭で立てる練習をしていくといいでしょう。1日一回でいいのでやってみる。間違っていてもいいから。題材は無数に転がっています。事件を、心理、医療、福祉、教育、司法、労働の立場で眺めてみるわけです。このやり方はお勧めですよ。実際の臨床の現場でも活きてくる練習法です。
そしてその自分の意見を記録しておいて、時々見返すといいですよ。今はこうは思わないな、今はこっちのがよさそうだな、そういう検証というか自分の成長を見て取れる瞬間もあるでしょう。そういう体験がモチベーションを上げていきます。試験勉強は長丁場であるので、そういうことも必要です。
見返すとき、何回かかってもいいですから、最終的には法令や診断基準や文献などの根拠も示せるようになるといいですね。そこまでいけば、その知識は自分のものになります。これは過去問を解くときも同様です。
またウェブ上には、医師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、理学療法士、保育士、教員などの資格試験の過去問や練習問題が溢れています。これらは公認心理師の勉強範囲と被っています。ですからそういうもので腕試ししてみるのもアウトプットの一つでしょう。でも、あまり領域を広げ過ぎないように。
【公認心理師に求められているスキル】
3回の試験を見てみると、公認心理師が目指しているものは、心理の専門家というよりも、どうやって他業種と連携していけるかに主眼が置かれているように思います。そのため問題も他業種理解のための問題になっています。感じとしては、心理士というよりもソーシャルワークの技能が求められているのでしょうか。少なくともこれまでの試験を振り返ってみるとそんな気がします。ですから、心理が専門でなくても社会福祉士や精神保健福祉士のような技能を持った人が有利になったりします。2019年度の試験は、あまり心理の試験っぽくなくて、心理側の人にはちょっときつかったのではないでしょうか。
例えば、2019年の公認心理師の試験では、児童の出席停止について出ていました。教員の方には常識でしょうが、心理の領域から眺めると、これが心理とどう関係するのか?なんて思います。これは心理師に必要な知識というより、連携を意識させているのでしょう。試験に出るからやらざるを得ません。ヤレヤレって感じですけどね。