感情はやっかいですね。情緒不安定な人は、いつも感情の大波に脅かされ、翻弄されています。
感情は波乗りと考えてみましょう。コントロールではありません。感情をコントロールするのは、原子炉から制御棒を抜いてしまうようなものです。つまり制御不能になります。
特に怒りや恐怖をコントロールしようとすると感情からの反発に合います。感情は、コントロールではなく波乗りなんです。サーフィンはちょっとしたスキルが必要ですね。そんなイメージで感情に向き合ってみましょう。動画もご覧ください。
■波乗りジョニー
サザンオールスターズ2001年のヒット曲です。というか、サザンというより桑田の単独楽曲らしいですね。ファンには怒られそうですが、そのへんの区別がよく分からない私です(笑)。歌の内容は、サーファーとその彼女のひと夏の物語ですね。
波乗りというと、山下達郎のBig Waveもあります。映画音楽です。超巨大な波に賭けた男たちのドキュメンタリーです。達郎の音楽も夏のワンシーンを捉えていて、素晴らしい。
今回は、感情のコントロールの話ですが、それを説明するのに、この波乗りの例えは最適です。ぜひ彼らの音楽を聴きながら、感情の波乗りをイメージしながら、この記事をお読みください。
■感情はコントロールではなく波乗り
感情は、不安、怒り、恐怖、悲しみ、絶望などがありますが、普通の人はそれらがフラットです。どこかが特別に極端に高い(感じやすい)ということはありません。日々の生活を送る中で、その1つや複数の感情が刺激を受けて波立つことはあっても、荒れ狂うほどにはなりません。しかし、カウンセリングに来る人々は、これらの感情がフラットではなく、どれかがBig Waveになっているのです。
特に、怒りの波と恐怖の波が、高層ビルのように大きくなっていたりします。このような感情であっても、カウンセリングを経過していく中で、他の感情と同じくらいのレベルに下がってきます。
そうなるとサーファーが波乗りするのに最適な波になります。どこかが特別に高いと、そこに突っ込んでいくだけで、波に乗ることができません。濁流にのみ込まれて滅茶苦茶に揉まれて溺れてしまいます。息ができなくなるのでパニックにもなります。死にそうになります。
しかしこれらの高層ビル程の高い波がレベルダウンして、他の感情と同じくらいの高さになると、波を乗り継いでいけるのです。
よく勘違いされるのですが、怒りがなくなるとか、恐怖がなくなるということはありません。感情ですから、なくなっては困るのです。感情は生物(いきもの)ですので無くすことは不可能なのです。同時にコントロールすることもできません。感情は認知(思考)よりもパワーが絶大ですので、それを思考でコントロールすると、必ず反撃にあってしまって、認知などいとも簡単に吹き飛ばされてしまいます。
怒りをコントロールして鎮めようとすると、小さな波が暴風雨の波のように成長してしまいます。感情は抑えようとするとより強大になってしまうというやっかいな特質があるからです。感情のエネルギーは思考の数十倍にも及ぶでしょう。
カウンセラーが相談者の怒りをコントロールすると、相談者の怒りは大爆発を起こす。原発であった水素爆発のように。そこをよく理解しておくことが必要です。それにはカウンセラー自身も自分の感情が分かっていることです。その移ろい(波乗り)を理解していることです。そこで初めて波乗りを指導できる良いサーファーになれるでしょう。
感情を感じていないのではなく、感情のてっぺんのフラットな部分を乗り継いでいく。そのためには
- 感情というものをコミットしていく
- 排斥しないこと
これが良いサーファーの条件の1つでしょう。感情はちゃんと感じているのです。しかしコントロールはしていません。だから、感情のフラットなレベルの波に乗って行ける。こういう波を作っていくことが感情と付き合うコツになります。
では、どうやってそのような波を作っていけるのでしょうか?
■コントロールしないためのスキル
感情にとってコントロールがいかにムダで、危険であるかがお分かりになったかと思います。では放置していればいいのか?そういうことでもありません。東日本大震災で米軍が日本で繰り広げてくれた「トモダチ作戦」がありましたね。ああいうイメージです。トモダチが大切。
感情とトモダチになる=感情のケア
感情に翻弄されている人にとっては、感情とトモダチになるなんて「まっぴらごめん」かもしれません。あなたを苦しめてきた感情ですからそう思うのは仕方ありません。そう思っていいので、その感情をモニタリングできるようになりましょう。横からそれらを見ている感じです。次のようなツイートをしています。
感情を閉じ込めると苦しくなります。いま苦しいと思っているときは「どんな感情を閉じ込めているのだろう」とモニタリングするといいです。でも苦しいときはそんな余裕もないかも。例えば利き手じゃないほうの手のひらにボールペンで「苦しい」と書いておくと、ハッと気づくかも☺
これはマインドフルネスですね。マインドフルネスについてはソレアの記事群を参考にしてください。下記の記事などはいいかもしれません。情緒不安定になったときアクティブ瞑想ができるようになると、感情が鎮まるようになるでしょう。
これは感情をコントロールしているのではなく、自分の感情をケアしている=トモダチになっているのです。あなたの親友をケアしてあげるように、ご自身の感情をケアしてあげてください。
カウンセラーもマインドフルに。
相談者の方の情緒を安定させるには、カウンセラーは、相談者の気持ちをいかにちゃんと聴いて、肯定していけるかが、分かれ目になります。傾聴ですね。相手の感情をフラットにするためには必要な技術です。
カウンセリングという場では、カウンセラー側も相談者の感情に揺らされます。そのため、上のマインドフルネスのスキルはカウンセラーも必携のものになります。相談者とカウンセラー、ふたりでマインドフルになっていれば、カウンセリング空間の安全性が確保され、カウンセリング自体がのんびりと進み出すでしょう。
感情のコントロールがうまくいかない人のご相談は、ソレア心理カウンセリングセンターへ 相談する