【マインドフルネスの極意】誰かを手当てすること|ポジティブにならなくていい

マインドフルネス
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臨床心理士・公認心理師の高間しのぶです。

・マインドフルネス瞑想をやっても効果を感じられない
・マインドフルネスをやっても気持ちが前向きにならない
・瞑想の効果というものがよく分からない

そんな悩み(不安)を持って生きているあなたに、マインドフルネス瞑想が長続きするためのコツを記事にしました。これまで、のべ2万人の悩みを聴き続けているマインドフルな心理師が、日々の臨床の中から得た知恵を、みなさんとシェアします。この記事のポイントは、

  • マインドフルネスの極意を実践すると、継続モチベーションも低下しない(前半)
  • マインドフルネスとはポジティブのことではない(後半)

前半部分は動画でも配信しています。記事にプラスアルファしたことを話しています。

■マインドフルネスに極意はある|誰かを手当てすること

マインドフルネス瞑想は継続が難しいと言われます。確かに効果を感じにくいところはあります。そこでマインドフルネスの極意についてツイートしました。

【マインドフルネスの極意】何でしょう?
禅の言葉を借りるなら「平常心、不動心」とかでしょう。
心理の言葉なら「自分の客観視」でしょうか。
どれも正しいですが、アクティブ瞑想の言葉なら「手当て」です。
これは看護医療の言葉でもありますね。瞑想しながら他人へ手当てを施す。これが極意でしょう。

マインドフルネスについてネットや書籍で調べると、だいたいが「自分を客観視する方法」であるという記述に行きつきます。これは真実ですが、客観視するというのはかなり難しい、ハードルが高いものなのです。それを読者をなだめつつ(笑)、ぼやかしつつ書いてあるのが書籍です。ここはハードルの高いものを目的にするのではなく、

  • 別の視点からマインドフルネスにアプローチして、結果的に客観視モードを手にいれたらどうでしょう?
  • 別の視点とは、【誰かを、手当てする】こと

というのが、私からの提案です。これが【マインドフルネスの極意】です。

自分を客観視している状態を作るには、まず自分から離れないといけません。それには自分とは違う、他の人に集中することです。恋愛のような状態は、相手に集中してますよね。しかしあの状態は、自分がすっかり相手に持っていかれている状態です。

それとは違って「誰かを、手当てする」とは、誰かをケアしている状態です。自分は相手に持っていかれていません。浮ついた状態ではないのです。これを仏教では、利他心といいますね。相手にGIVEしている状態です。これは、マインドフルネスの準備段階。こうやって、まず自分から離れます。

次に、誰かを、手当てします。その1つが時々紹介している「アクティブ瞑想」気のボールです。ボール自体が「手当て」になります。例えば、5分でもこのボールを作っていると、頭全体がリラックスしてくることに気がつくでしょう。かなり気持ちよくなります。

  • 誰かを手当てする⇒気持ちがいい(リラックスする)⇒もっとやろう

この好循環が回り始めます。「相手のために、もっとやろう」という思考ですが、これは自分が気持ちがいいので、自分のためでもあります。だから続くのですね。

自分を客観視するために呼吸に集中するマインドフルネスですと、この「気持ちよさ」が薄いので、なかなかマインドフルになった実感が得にくいと思いますが、いかがでしょうか。アクティブ瞑想では、気持ちよさが前面に押し出されてくるので、モチベーションも下がることはありません。持続し習慣化します。

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◇瞑想の体験談

そうはいっても、私の提案の信ぴょう性はどれほどのものか?疑わしいですよね。論文を紹介できればいいのですが、この手の論文が見つからないので、体験談をお話しておきます。

瞑想はいろいろやってきましたが、一番有名なものはTM瞑想でしょう。有名なところではビートルズもやっていました。(隠されてもいますが)オウム真理教の麻原もやっていました。静的な瞑想では実績もある瞑想です。

私は1992年前後から始めました。だいたい10年弱、続きました。ずっと毎日やっていたわけではなく、なんとなく続いていたのです。そこでどれだけ自分を客観的に見られるようになったか…。よく分からないのが実感です。正直なところ、よく分からないので、他人に積極的に勧めることができません。

その後、動的な瞑想としてアクティブ瞑想を始めました。2003年くらいだったかと思います。これは完全な自己流です。こちらはまだ今でも続いていて、毎日の疲れを取るのに役立っています。というか、疲れる前にこの瞑想をやるので疲れないのですね。心理という感情労働がメインのお仕事をする人にはもってこいのリラクゼーションと思っています。ということは、【感情の浮き沈み】を経験している人にはもってこいの瞑想(手当て)であるのです。

■身体のアプローチと言葉のアプローチ

手当てというと身体的なアプローチですが、手当ての意味を拡張すると、もっと可能性が広がります。次のようなツイートをしています。

【手当てのマインドフルネス】は、本当に手を当てるだけで楽になります。
言葉の手当てを考えると心理療法にもなります。
手当ての重要性は、實川幹朗先生もかねてから主張されていること。
そして手当ての良さは、慣れてきたら自分のスタイルを作っていいのです。自分のスタイルで瞑想し、手当てをする。

医療における手当ても同じですね。診断と技術はベースにありますが、それを実践する自分は、自分のスタイルで患者さんに手当てを施しているわけです。これはアクティブ瞑想でも同じです。瞑想を通して誰かを手当てしていると、最終的にそれは自分のスタイルで実践していくことになります。そこまでくれば、別に何かのフォーマットがあるわけではないので、自分でご自由に継続していけばいいだけです。

医療やアクティブ瞑想は、実際に「手」を使って相手に触れるわけですが、心理療法家は、言葉を使って相手に触れます。ここもアクティブ瞑想と同じです。「手」が「言葉」に拡張されたに過ぎません。相手に対するスタンスは変わらないのです。【目の前の相手のために、手当てする】。それが手によるものか、言葉によるものかの違いだけです。

心理療法でボディアプローチというものがあります。これはざっくり言うと、身体的なものにフォーカスしてセラピーをする型です。しかし、手と言葉が同じ意味のものであることが分かると、ボディアプローチでも言語によるアプローチでも同じであるということに気がつくでしょう。まぁ、両方やればいいのではないでしょうか。

■ポジティブ、ネガティブ、マインドフル

21世紀になっても、昔と変わることなく、「ポジティブに、前向きに」という精神論が言われ続けてきましたが、マインドフルネスはそういうところから遠いところにあるものです。下記のようなツイートをしています。健康心理学からの提案です。

【ポジティブではなくマインドフルに】なりましょう。
ネガティブな考えを否定していると苦しくなります。そのストレスで過食にも傾きます。
つまりポジティブな心理学は、実は、ダイエットの敵かもしれません(笑)。
自分のネガティブを認めると、落ち着いてストレスがダウンします。これがマインドフルネスのもう1つの極意。

マインドフルになるとは、ポジティブになれということではありません。そこをもっと飛び越えたものです。マインドフルになると、ポジティブもネガティブも同じに見えてきます。これはなぜかというと【自分】が見えてくるからです。ポジティブを感じているのも、ネガティブを感じているのも、今の自分です。そういう自分が見えてくること。これがマインドフルネスの目指すところです。

精神論、根性論に身をゆだねてしまうと、うつ病が忍び寄ってきます。前向きに!と考えるヒマがあったら、

  • 【いま、ここで体験している自分】を感じましょう
  • そして、それを一生懸命に体験していることを楽しみましょう。

でも、「いま、ここの自分」を肯定することが難しいときだってありますよね。一生懸命できないことだってありますね。それが「いま、ここの自分」だから、それでいいんですよ。肯定できないということが分かっていれば、それでいい。そこはマインドフルな道につながっています。

だから、ちょっとだけ視線をあげてみましょう。お先真っ暗で肩が張っていたとしても、少し視線をあげると首のうしろあたりが気持ちよくないですか?1ミリくらい余裕が生まれませんか?それだけでいいのです。ちょっとだけ視線を上げて遠くを見渡してみましょう。

瞑想が続かず悩んでいる人は、もう1つのマインドフルネス~アクティブ瞑想を試してみませんか?

瞑想がなかなかできない場合は、ソレア心理カウンセリングセンター(埼玉県)へ

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