ソレア心理カウンセリングセンターの玄関には、小さな蔵書コーナーがあります。見渡すと、心理系の本、絵本、子どもの読み物などがあります。養育事典(明石書店)は、その蔵書の一つですが、それを見て購入された方が居ました。その人の感想です。
養育事典を好きな項目から読んでます。私の両親や亡くなった妹の娘のことなどが、分かりやすく載っていてびっくりです。私がカウンセリングで辿った道の補足や解説を、この本がしてくれてる感じで、ヒタヒタと満たされ納得できます。
この本は一般の方にも十分に読める本ですが、愛着や虐待を扱う心理職の人々にはぜひ読んでもらいたい本です。色んなためになる役にたつことが書いてあります。心理職は、愛着のことを扱うことが多いので、この本は外せないくらいのものです。値段は張りますが、十分モトが取れます。
事典ですから、あいうえお順になっていますが、どこからでも読めるようになっていて、一つのエッセイを読んでいる気分になれます。厚いですが、知らずに読み進めていけます。
例えば「母親」を読むと、母親という用語は単独では成立しない、とあります。母親とは、かたわらに子どもという存在がいるということ、すなわち子どもと一緒であることによって初めて成立する言葉であるという。こういうところからスタートします。
愛着ということを考えると、これはしごく当然のことですが、このへんをすっかりと忘れてカウンセリングをしているカウンセラーもいるでしょう。
これは母親というよりも、母性ということかもしれませんね。母性は単独では存在しない。これはまあ、かなり当たり前です。母親と言ったほうがインパクトは強い。また父性というもの単独では存在しないですね。父性も子どものためにあるわけですから。
そんなことを考えながら、色々と読み進めることができます。この本を読みながら、何度、自分の臨床を振り返ったか、何かスーパービジョンを受けているような気分になる本です。心理職の方々には是非、また冒頭の感想をいただいた方のように、カウンセリングがある程度山を越えた方が読んでも理解が深まると思います。
秋が深まる夜に、どうぞ。