【もう一つの千と千尋の神隠し】顔なしが顔を取り戻す物語

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顔がないというのは、感情がないというのと同意でしょう。これは名前がないというのともつながっているでしょう。今回は千と千尋の神隠しに出てきた顔なしのストーリーです。顔なしに顔を与える作業がカウンセリングになります。

千と千尋の神隠し

ジブリのアニメ「千と千尋の神隠し」に顔なしという妖怪が登場します。古くからの妖怪をひも解くと、のっぺらぼうですね。のっぺらぼうも顔なしと同じです。

そして顔なしは、千と千尋の神隠しのもう一つのストーリーであるのではないかと思います。顔なしは、その言葉の通り顔がない。それをこういうキャラクター、つまり目と口が真っ黒なキャラクターとして表現したのです。このアニメの続編があるとしたら、顔なしが顔を取り戻していくストーリーになるのではないかと思います。

ここには個性豊かな妖怪がたくさん出て来ますね。それぞれに続編があるのでしょう。

ストーリーの最後のほうで、千尋と顔なしが、魔女の姉の住む場所へ電車で会いに行く。銀河鉄道の夜に出てくるような電車です。その場所へ近づいていくと、だんだんと顔なしの姿が薄くなっていくのです。魔女と会って千尋は帰りますが、顔なしはその魔女と一緒にその土地で生活していく。安全な場所で自分の顔を取り戻していくのでしょう。そのような展開が期待されて、物語は大団円を迎えます。

さて、顔を取り戻すというと、ジブリの作品では「紅の豚」があります。最後の最後に顔を取り戻すばくち打ちのパイロットの物語。どういう顔かは明かされませんが、しっかり顔を取り戻してハッピーエンドとなっています。

顔なし、目の無い私。

ある人が話します。

「私は怒っているんです。頭から大きな角(つの)が2本出ているんです。でも私の顔には目はないのです。角の先端に目はあって、かたつむりみたい。だから話をするときは角の上の目をぐーっと顔まで持ってきて話をしないといけないので、とっても疲れるんです。」

顔なしもよく見ると、目も口も真っ暗なんですね。何も表現できないから真っ黒なんです。目とか口とか暗いとなんだか怖そうですね。ホラー映画でも怖そうに見せるときは真っ黒になったり、真っ赤になったりします。シンゴジラの胸や背びれが真っ赤になるのと同じですね。怖かったり怒っていたりするから、真っ黒なんです。

つまり、目が普通にある人よりも、目の真っ黒な人ほど恐怖におののいているのです。顔なしが感じている恐怖を表現するために、あえて黒い目と黒い口にしたのではないでしょうか。真相は分かりませんが、心理学的にみると興味深いキャラクターデザインです。

目でも話せない、口でも話せない顔なし。人は目でものをいうのです。目力(めぢから)です。目がないと怒れない、悲しくなれない、怖くなれない。目を取り戻すというのは、感情を取り戻すことであり、顔なしが顔を取り戻すことなのでしょう。

目が自分の外側にあるというのは、解離している状態でしょう。外側へ解離している感じです。人によっては内側に解離する人もいて、着ぐるみ解離といいますが、それも解離です。外へ解離、内側へ解離、両方ある。

目が角のあたりにあるのは、外側へ解離することをギリギリ持ちこたえている感じとも取れますが、目が定位置にないということは、やはり解離してしまっているとも言えるのでしょう。

顔を見つけたい相談は、ソレア心理カウンセリングセンターへ。

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