どういう人がカルチャーショックを受けやすいかという話をしています。また愛着障害の人々は、カルチャーショックについては特別な感覚があるという話もしています。
自分のアイデンティが揺らされる感覚
カルチャーショックは留学生や駐在員の妻などに多いとされています。だいたい成人、二十歳すぎの人がなるものです。どうして子どもはならないのかというと、カルチャーショックは自分の中のアイデンティティが揺らされる体験であり、10代以前の子どもたちはまだアイデンティティが形成途中であり完成されていませんので、揺らされるものが出来ていないからです。不安は感じますが、自分の存在が崩壊するような感覚にはなりにくいからです。
つまりそういう事情で、一般的に子どもというのは、どこへ行っても適応することができるわけです。
しかし成人の人全てがカルチャーショックを受けるかというと、そういうわけではありません。平気な人もいます。それは次の2パターンに分けられます。
- 適応しやすい人、
- 何も感じない人。
後者の人は、常に空虚さを感じているので、海外に行っても日本にいても、何か異邦人の感じがあって、何も感じないのです。つまり適応しているわけではないのです。「ここもいつもの場所」だと感じているのです。日本に居ても、イギリスに居ても、アメリカやアフリカに居ても、南極に居ても、同じ空虚さを感じているので、異国の場所から受けるショックはありません。
カルチャーショック曲線(2つの落ち込み)
海外へまず行くと、見るもの全てが新しく、気分が上昇するハネムーン期があります。それは2か月ほど続きますが、そのうち落ち込みがやって来ます。
価値観の違いに気がつき始める頃です。ここでは自分のアイデンティティが形成されている人は、落ち込みやすいのです。形成されてない人や空虚な人は落ち込みません。大人の人ほど落ち込みます。精神年齢が若い人は不安は感じるでしょうが、落ち込みません。
そしてしばらく異国での生活が続くと適応が始まります。生活が安定していきます。そして日本に帰ってくるとリエントリーショックが起きます。これまでとは違う(なじみではあるが)環境に戻るときです。
カルチャーショック時のこころの状態
カルチャーショックは、次の2つのこころの状態を感じているときです。
・どこにも属していない感覚、これはDryな感じ。
・親密になりたい感じ、これはWetな感じ。
この2つのこころの状態が拮抗しているときがカルチャーショックです。親密になりたいWetな関係と、どこにも属していないDryな感覚が拮抗するときにショックを感じるのです。
先に説明した何も感じない人は、どこにも属していない感覚があるため、日本にいても、海外にいても同じなので、ショックは受けません。しかし、生きづらさはずっと感じているのです。日本にいても海外にいても生きづらい。愛着障害の人はそういう感覚があります。カルチャーショックはあまり受けないでしょう。
コスモポリタンへ
どこにも属していない感覚というのは世界市民的感覚、つまりコスモポリタンにつながっています。ふるさとは私にはないけれど、ここ=世界が私の生きる領域であるという感覚と言っていいのでしょうか。どこへいっても空虚はあるけれど、私の生きる場所としての馴染みができてくると、スナフキンのように生きられるのでしょう。
カルチャーショックの相談は、ソレア心理カウンセリングセンターへ。
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