・何をするにも自信がなく、決められず困っている
・自信を高める方法があったら教えてほしい。
そんな悩みをもつあなたに、対処法を解説します。臨床心理士がお伝えするこの知恵は、のべ2万人の悩みを聴くなかで学んできたもの、および私自身が生活のなかで身につけてきたものです。
先日こんなツイートをしました。
自己効力感とは【自分にはそれができる】という感覚です。似たような感覚で自己肯定感がありますね。これは【自分に満足している】感覚です。感じとしては、自己肯定感の上に自己効力感が乗っている。回復してくると、この【できる】という言葉が無意識的に多用されます。そこをフィードバックします。
— しのぶ@ソレア心理 (@soleapsy) June 8, 2020
自己効力感とは、【自分にはそれができる】という感覚です。似たような感覚で自己肯定感がありますね。これは【自分に満足している】感覚です。感じとしては、自己肯定感の上に自己効力感が乗っている。回復してくると、この【できる】という言葉が無意識的に多用されます。そこをフィードバックします。
自信のない人でも自己効力感が出てくれば、自分で「できる」という言葉を無意識に使いだします。そこをちゃんと聞き逃さずに、フィードバックしてあげると、はっと気づきます
自己効力感とは聞きなれない言葉ですね。自己肯定感と似ている言葉です。比較してみると、
- 自己肯定感:いまの自分に【満足している】感覚
- 自己効力感:自分は【それをできる】という感覚
自己肯定感よりも、もっと前向きな感じです。自己肯定感については関連記事をご覧ください。
▼【自己肯定感】を育てる最強の習慣はコレ!~自分編【保存版】
▼【保存版】親がのばす子どもの【自己肯定感】
今回の記事の前半は、「自己効力感を高める3つのポイント~自分で高める編」
後半は、「自己効力感を高める~他人に高めてもらう編」です。
さっそく前半の3つのポイントを解説します。
- できた体験(成功体験)をする
- 一本でなく複数走らす
- 検討する視点を変える
■できた体験(成功体験)する
これは、文字通り。コツは、【小さな】できた体験を何度も経験していくということです。
ですから、1つの行動をしようとしたら、それを5つくらいに細分化することです。
具体的にいうと、この記事を書こうとする場合、最後まで完成するのを目標にするのでなく、「まず午前中は前半部を仕上げよう、後半は夜でいいや、途中で理論的な説明を入れたいがそれは明日」というふうに、細分化するのです。
■一本でなく複数走らす
何本もつまみ喰いする。最初から60%を狙って、そこへ行ったらやめる。
これは投資でいうところのリスク分散ですね。例えば、今日やろうとしていることに、
・この記事を書く
・新しい記事の検討をする
・Twitterのネタを考える
・YouTubeを撮影する
・YouTubeを編集する
などがあったら、全部を完成させずに、できるところまでやるということです。そうすれば、「全部できなかったが、色々と手はつけられたな」→「できたな」、というふうな思考になれます。
◇やり方のコツ
広く浅くやるコツとしては、それを【全体性を感じつつやる】と効果的です。なぜなら、自分の行動にコントロール感を感じることができるからです。これはまさに【できたな】感覚です。
■検討する視点を変える
これはちょっと難しいです。動画では視聴回数というものが目に付くでしょう。
これを例にすると、視聴回数が減っているとガッカリすると思います。視聴回数が下がる→できなかったな、という回路です。
しかし、視聴維持率が60%以上を維持していることが分かったらどうでしょう。
動画で視聴回数が減っていても、視聴維持率が下がらないなら「できた」感覚は増大します。なぜなら視聴維持率は40%あればいいとされているからです。
つまり【どこを見るのか自己評価するポイントを変化させる】ということ。
もう一つ例を出します。
学会の発表で失敗したとします。パワポの操作もスムーズでなく、話し方も自信が持てず落ち込んでいます。
その状態で会場から質問を受けました。その質問に答えているうちに発表の核心に触れるような話になっていった、質問に思うような答えが【できた】と感じると、自己効力感がアップします。
これ以外におまけに、3つの対処法を紹介しておきます。自分はこっちのがよさそうと思ったらやってみてください。そうでなければ、上の3つさえ押さえていれば十分です。
◇おまけの対処3つ
- 成功したときのイメージをリアルに想像(想像的体験)→自分が成功したことをありありと想像する。
- 自分と似た人の成功体験を聞く(代理経験)→どもりの人が、どもりの偉人(田中角栄など)の伝記を読んだりすること。ADHDの人がエジソンの伝記を読んだりすることです。
- 自己肯定感を高める→自己肯定の上に自己効力がある。自己効力感を高めようとせず、まずは自己肯定感を高めましょう。
ここから後半は、自己効力感を高める~他人に高めてもらう編 です。自己効力感の低い人に対して他人がどのような行動をしてあげられるか、ということです。親とか、友人はこちらですね。
後半の2つのポイントを解説します。「適切な質問をする」はおススメです。とても難しいですが。
- 適切な質問をする
- ほめる
■適切な質問をする
これは高度ですが、これができれば、鬼に金棒です。前半で【検討する視点を変える】で発表で失敗したときのことを例にお話ししました。
このような質問を、自己効力感をアップさせたい本人に対して、他人がするのです。自己効力感の低い相手が、質問に答えることで自己効力感を高められそうな質問をする、ということ。これはとても高度なことですが、友人や親だったら、このくらいの骨を折ってあげてもいいでしょう。
■ほめる
これは、文字通り。でも、行動としてはいまいち。小学生にはこちらでいきましょう。思春期以降は微妙。
前半3つ、後半2つの自己効力感を上げるための対処法を見てきましたが、最後にどのような研究が行われているのかを簡単に紹介しておきます(*1)。
■トランス・セオレティカル・モデル (TTM)
自己効力感は心理学者のプロチャスカによって理論化されています。このTTMによると、行動は次の4つの歯車が絡み合って変化していくといいます。
- 行動変容ステージ→準備期、関心期
- 自己効力感→成功体験、ほめる
- 変容プロセス→認知的、行動的
- 意思決定バランス→メリットを最大化する
これらを親や先生が理解することによって、子どもの学校での学習や部活動、家庭学習などを促進させることができます。
例えば子どもに運動習慣をつけさせる場合、親や教師が
- 子どもがその運動にどの程度関心があるのかを見極め、
- どのような課題なら【できる】のかを判断し、
- そして運動することのメリットを強く意識させる工夫をする、ことです。
この注意点としては、従来の「他人との競争原理を利用する方法」を極力排除していくことです。なぜなら他人と比較をしてしまうと、自己肯定感や自己効力感がダウンしてしまい、行動の変容がストップするからです。
指導者としては【比較】して競争させるのは分かりやすいやり方ですが、比較された子どもとしては、それが失望や無力感を増長させる原因の一つになるのです。
■まとめ
自己効力感と自己肯定感の違いは、
- 自己肯定感:いまの自分に【満足している】感覚
- 自己効力感:自分は【それをできる】という感覚
自己効力感を自分で高めるには、3つのポイントがあって、
- できた体験(成功体験)をする
- 一本でなく複数走らす
- 検討する視点を変える
おまけが、3つあって、
- 成功したときのイメージをリアルに想像
- 自分と似た人の成功体験を聞く
- 自己肯定感を高める
自己効力感を回りの人が高めるには、
- 適切な質問をする
- ほめる
最後にトランス・セオレティカル・モデルを紹介しました。
【できる】感覚があれば、長い道のりも乗り切っていけるでしょう。幸運を祈っています。
関連記事もご覧ください。
▼【自己肯定感】を育てる最強の習慣はコレ!~自分編【保存版】
▼【保存版】親がのばす子どもの【自己肯定感】
Reference:
(*1)清水安夫:自己肯定感とセルフエフィカシーを高める, 職業研究, 2017
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