躁的な人の絶好調と、普通の人の絶好調は何が違うのでしょうか。相談者の語りを注意深く聴いていれば、それは見えてきます。双極性障害かどうかの見極めにも影響することです。
雨上がりの夜空に、キヨシロー
雨上がりの夜空に、はRCサクセションの1980年のヒットソングです。作詞はボーカルのキヨシローです。
バッテリーは絶好調なのに、エンジンが動いてくれない。機嫌を直してぶっ飛ばそう、とキヨシローが歌います。
なかなかストレートにキワドイ歌詞ですが、ロックだから仕方ありません(笑)。このキヨシローの歌には躁的な感じはありません。いかにも若者という感じがあるだけです。
それは歌詞の内容が一つの整合性をもって流れているからです。どうもこの歌はこれから男女の営みをしたいけれど、理由は分かりませんが、それができないということを切々と訴えている。そういう整合性が流れています。
このような整合性は、双極性障害かどうかを見ていくための指針になるものです。
絶好調はなぜ続かないのか
30年生きてきて、こないだの10月は絶好調でした。産まれて初めての経験でした。バイクでかっ飛ぶような感じ。でも11月になってダウンしました。いつものように。体の調子もおかしくなって、熱も出始めました。39度とか平気でいってしまうのです。精密検査を受けたのですが、どこも悪くない。ウイルス性のものか自己免疫疾患のようなことなのかもしれないと言われました。12月になって落ち着いては来ています。
自己免疫疾患はストレス性のものですので(*1)、そうなのかもしれません。自律神経失調症と同じくくりで、心理的なものなのかもしれません。
しかし、この方の「絶好調」は躁ではないのです。なぜなら、そのときは、自分が頑張っていることが分かっていて、落ち着いて頑張れている、と言われます。そういう頑張りができるのは初めて、と言われます。
バイクのアクセルをふかしてレッドゾーンに入れているような、暴走族のような感じではなかったのです。ワォーン、ワォーン、ワォーンとふかすのではない。
この落ち着きは、双極性障害ではありません。双極性障害は浮足立っている、地に足がついていない感じで、ハイテンションになっている状態です。この人の感じは、しっかりと足をつけながら頑張れている感じです。落ち着いていると表現されていたことからも、そう読み取れます。
これは躁状態ではないのです。躁状態は、頑張れているという実感は伴いません。ただぶっ飛んでいるだけです。今回、この人は頑張りが人生に結びついている。それは双極性障害から由来する躁状態ではありません。
しかし、どうして11月に落ちたのか。それは、10月調子良かったので、頑張りが結果に結びついている感覚を味わったから、この行動をやめてはいけないと思って、アクセルをふかし過ぎてしまったのでしょう。慣れてないのでふかしてしまった。
心理的にレッドゾーンに入れてしまったので、それが熱として出てしまったのではないでしょうか。絶好調が怖くなって、恐怖が出てきてそれでアクセルをふかしてしまったのでしょう。ふかさなくていいのに、ふかしてしまい、緊張して熱が出てしまったのでしょう。
似たようなことは繰り返すでしょうが、その繰り返しの中で、頑張りが結果に結びついていることを継続して経験していくでしょう。そして恐怖が下がって、ふかさなくてもやっていけるようになるでしょう。
Reference:
*1) Association of Stress-Related Disorders With Subsequent Autoimmune Disease(ストレス関連疾患と後の自己免疫疾患発症の関連) American Medical Association,June 19, 2018
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