高橋和巳先生の新書が出ました。「母と子」という病、から3年ぶりです。精神科医が教える聴く技術(ちくま新書)、ここには聴くとはいったいどういう作業なのかということが書かれています。そういう意味では、カウンセラー用に書かれた本ですが、最後の章に「自分の心を聴く」というのがあって、ここは相談者の方にはぜひ読んでいただきたいところです。どのように自分が治っていくのかというのが分かるかと思います。
- 聴いてもらうと楽になるのはなぜか
- 黙って聴く
- 賛成して聴く
- 感情を聴く
- 葛藤を聴く
- 自分の心を聴く
このような章立てになっています。
ここでカウンセラーにとって最もハードルが高い(と思われる)のが、黙って聴くということでしょう。だいたいカウンセラーは黙っていませんから(笑)。相談者の方の見立てをするには、黙って聴くことが最も大切なのですが、そこまで言及した指導書にはなかなか出会えません。
ですからこの本の最初に、この「黙って聴く」があるのでしょう。カウンセラーの訓練として、黙って聴けるようになるまで数年はかかると思います。だいたい余計なことを言っています。ここをじっくり取り組んでいただきたいと思います。
それには、自分がどのようにカウンセリングを進めているのか、逐語で書いてみることです。ずいぶん自分は黙っていないなと分かるかと思います。その自覚から始めて、聴く技術を習得していっていただきたいと思います。
絶対傾聴という言葉があるようですが、そういう感じです。まずは何も口を差し挟まずに傾聴することです。沈黙は当然訪れます。そこをいかに耐えていけるか。相談者にジョイニングしていくことも大切ですが、それはまず傾聴できてからと割り切ってよいのではないでしょうか。
また、相談者の話を聴いているのですが、カウンセラーはその都度、自分の気持ちも同時に聴いているわけです。話される話に、自分がどう思っているのか。ジャッジしたいのか、どこに賛成しているのか、または賛成できないのか。相談者の感情の流れはどう流れているのか、そしてそこから生まれる葛藤は何か、その苦しみは何か。そういうことを聴いていくためには、口を差し挟んでいるヒマなどありません。
この本は、人の話を聴くのが職業の人ばかりではなく、一般の人も会話に活かせる技術が書かれていますので、友人との関係、夫婦関係、恋人関係に十分に応用していけるものでしょう。
私が長い間、高橋先生のカウンセリングの研修を受けていたからPRするのだろう、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、PRとかではなく、本当に優れた本ですのでここで紹介させていただきました。
安全な空間の中で傾聴され、自由に葛藤を話して整理したいときは、ソレア心理カウンセリングセンターへ。
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