【機能不全家族】社会の中で怒りが透明化すると、やる気が出る

この記事は約3分で読めます。

人間関係で色々なことがあって、怒りでこころの中がいっぱいになっている方がいます。苦しくて苦しくて仕方ありません。死ぬことさえ考えたりします。毎朝起きると憔悴しきっています。寝たにもかかわらず、すっかり疲れて目が醒めます。

つい最近までそんな状態でした。カウンセラーとして私は、その方の話すことを遮らずに聴いていくことしかできませんでした。しかし今はやる気に満ち溢れていると言います。何があったのかを聴くと、日常の中で、分かってくれる人ができたと言います。自分の気持ちとぴったりのことを話してくれる人ができたと言います。それで憑き物が取れたように怒りがなくなったと言います。

その方にとっての怒りは、社会の人間関係を通して増大したものでした。根底には母親との人間関係が大きく横たわっているのですが、それ以外に、他人との関係も大きな影響を与えます。なぜなら人間は社会的な生き物だからです。

怒りはエネルギーを伴って増大するため、こころは苦しくて仕方ありません。こころの中は、怒りの属性といえるものから派生したエネルギーで充満します。これは苦しいです。

こういう状態がずっと続いていたのですが、社会の中で共感してくれる人の登場で、この方の留飲(りゅういん)が下がりました。怒りがシュンとしぼんだのです。消失した、透明化した。すると、こころの中から怒りの属性が消えるわけですが、怒りによるエネルギーはまだ残っているので、その純粋なエネルギーを他へ使えるようになるわけです。アクティブなことに使えるようになる。これがその人の感じている「やる気」なのです。

ここで注意いただきたいのは、怒りそのものが消えるわけではありません。分かりづらい表現ですが、私は便宜的に「怒りの属性」が消えると表現しています。怒りというのは人間の基本感情の一つですから、そのものが消えるわけではありません。回復しても、怒るときは怒る。レモンスカッシュのように怒る。(レモンスカッシュについては、別の動画を参照ください。)透明化しますが、怒りの感情という本体は残り続けます。それでないと、生存していけません。

こうやって怒りが透明化するには、社会の中での体験を通して、それは行われます。社会の関係性の中で増大した怒りは、社会の関係性の中で透明化するのです。透明化のキーワードは、深い共感ですが、それを得るためには、社会と切れるわけにはいかないのです。

カウンセラーが社会の代わりにはなれません。カウンセラーは共感しながら相談者がどのように社会の中で生きて、感じて、体験していくかを目撃しているだけなのです。目撃されているから相談者は社会の関わりを辞めようとはしない、ということはあります。生きることを辞めようとしない。そのためにカウンセラーは存在するのでしょう。

回復はカウンセラーの力によって成されていくわけではないのです。そんな力をカウンセラーが持っているわけではありません。いろんな選択肢を相談者の方が取れるようになるために、カウンセラーは目撃し続けるのでしょう。

タイトルとURLをコピーしました