お悩み相談室

ソレア心理カウンセリングセンター

2020.09.21(更新日:2020/09/22)  |こころカフェ(最新の心理学)

【多重人格は怖い】解離症という不思議な体験は人狼と見なされる?



ソレア心理学ゼミナールのYouTubeチャンネル登録はこちらをタップしてください。
(タップするとゼミナールの紹介動画が自動再生される場合がありますので、音量にご注意ください。)




今回は解離という症状からの回復について。





【解離は怖いものだ】という印象もあります。鏡の中に別人がいるとか、自分の姿が鏡に映っていないとか、ホラー話が満載ですから。そんな印象を払拭するヒントになればと思い、記事にしました。ポイントは、





  • 解離性同一症(多重人格)のカウンセリングについて、古い情報が錯綜しているので、最新の知見がわかります。ゲーム人狼にからめて解説します。結論、人狼のキャラ設定は間違いです。多重人格は人狼族ではありません。
  • 解離についてのベーシックな考え方を理解できます。




■多重人格のカウンセリング





解離性同一症(多重人格)については、簡単に語れる話ではありませんが、小説にもなったり、ゲームにもなったり、間違った対応や反応が一般化しています。





人狼という世界的にはやっているゲームがあります。市民と狼男に分かれて勝敗を競います。その中に多重人格者が出てきます。彼は、狂人、憑依者などとも言われ、精神医学的には市民陣営でありながら、ゲームの世界では人狼陣営の扱いです。





ゲームでも多重人格は「人間とは違うもの」という扱いなのです。そのくらい、一般的には、解離する人は【お化けに近い】存在なんですね。それくらい、解離しない人間にとっては、解離という現象は怖いものなのでしょう。





多重人格者は菩薩である。




さて多重人格の治療は、20年前くらいまでは人格統合路線でした。しかし、今は違います。それを喚起する意味でも、ときどき解離性同一症についてツイートしています。(DSM-5から解離性同一障害は、解離性同一症という呼び方に代わりましたが、同じ定義です。)






【解離性同一性障害の治療】目的は、人格交代させなくすることでも、人格を統合することでもありません。それが目的なら難しくはありません。人格交代しなくなった後の道のりが長いのです。交代できないのでこれまでになかった苦しさを体験します。希死念慮はんぱじゃない。そこを支えていくのが山場。






なぜなら理由は簡単で、相談者にとっては、人格は交代していたほうが楽だからです。辛い出来事に直面したとき、主人格にはひっこんでもらって、副人格にそれを担ってもらっていたほうが楽だからです。人格が交代しなくなるのは辛いことですが、解離性同一症は、「人格が交代しなくなった」という辛い長い道を通っていかないと回復していきません。





つまり【人格が交代しなくなる】のは、長い辛い道が待っているということです。ですから相談者は、必死に抵抗し、人格を交代させようとします。その気持ちも、心理士はしっかりと受け止めて、「人格交代OK」と賛同していくことです。





これまで多くは、催眠などで主人格に統合していくとう手法が取られていました。しかし必要なのは、1つにしていくのではなく、①いくつもの人格はあってもいいので、それらが主人格よりも前に出てこないようにすることです。





それには受容的で、傾聴的なカウンセリングが必要とされます。なにか魔法があるわけではありません。そして、この主人格より前に出てこないようにするというのは、そんなに難しくはありません。【数年】くらい関係性をつなげていけば、達成できるものです。





しかし、人格が交代しなくなってからが苦しい。相談者に死にたくなる願望が頻繁に訪れます。ここを心理士が持ちこたえつつ乗り越えていく時間が【数年】続きます。これは、ある意味、普通のカウンセリングですが、違うところがあるとすれば、希死念慮を抱いている時間が長いのです。ですから、ここからは心理士の経験値も関わってくるでしょう。自分で難しいと思ったら、解離性同一症治療の経験のある心理士や精神科医にSVを受けるのもいいでしょう。





そうはいってもカウンセリングしかないのか?薬の処方はないのか?と思われる人もいるでしょう。多重人格は一般の人には、あるいは心理士にとっても、衝撃的な症状ですので、薬物でしっかりと対応したいと思われるかもしれませんが、そうではありません。カウンセリングが重要な役割を果たすのです。松崎先生の書籍(*1)にも、「解離は薬物治療の対象とせず、むやみに抗不安薬などの向精神病薬を処方せずに対応すべき」とあります。





たしかに一時しのぎ=レスキューとしての処方はあるでしょう。数年に渡るカウンセリングを乗り切るために、薬の援助も必要なときがあります。しかし、私の経験では、統合失調症と診断されて薬づけになっていた相談者の方もいらっしゃいました。解離という病態は、幻覚や幻聴にも悩まされることがあります。それを誤診されていたわけですね。





▼関連記事:解離性同一性障害の回復【ミスチルの掌】ひとつにならなくていい





■2パターンから解離へアプローチする





次のようなツイートをしています。新しい解離の捉え方か?と目に映った人は、柴山先生の著作で勉強してください(*2)。新しい考え方でもありません。解離は、勉強しだすと結構深いものです。創造的な解離から病的な解離まで、広範囲にわたります。






解離のタイプは2つあって、自分の内側へ解離する①着ぐるみ解離と、自分の外側へ解離する②幽体離脱。②は、離脱している自分への距離感も重要だったりします。本体から、人工衛星、月や銀河系、あの世まで距離感は様々です。解離から回復してくると、この距離感も縮まってきます。ここは要チェック。






解離にはこの2パターンがあります。解離性同一症は②幽体離脱タイプが重くなったものとも考えられます。ほのかに解離を感じている①に対して、②は明らかに解離を感じているのです。そして②の解離の程度が大きくなると、だんだんと自分という主体から遠ざかっていきます。そのことについて、地球から遠ざかるイメージとして説明しました。うつの人は①を感じることがあるでしょう。





①は比較的、軽い解離、②は重い解離、と見られる傾向があります。そのように考えていて間違いはないですが、両方とも解離には違いないということ。気を抜かずにいきましょう。





これは私の経験値の話でしかありませんが、①の解離→正常、②の解離→正常 のように回復していくようです。②の解離→①の解離→正常 というルートは辿らないように思います。





たしかに②の解離の中で、距離が縮まっていく傾向は見られます。自分という身体的本体と精神的な自分との距離感は回復の中で縮まります。しかし理由はよく分かりませんが①の解離へは移行しない。①の解離と②の解離は連続体ではなく、そこには断層がある、つまり分断されているようです。この件については、これからの研究が待たれるところです。





▼関連記事:【オセロの駒のように幸せを否認する人】解離の5タイプ





■解離の直前としての【未解離】という状態





解離の直前の状態に対しては、下記のようなツイートをしています。






【USPT内在性解離】という概念があります。つらいことがあって、潜在意識の中に別人格を作り出してしまった状態と説明されますが、解離についての一般的な捉え方とは少し違います。早稲田の小栗康平先生が提唱。しかし特別な解離で説明しなくても、普通の解離の概念で説明できるのでは?






USPT内在性解離は、①の着ぐるみ解離として捉えることが可能でしょうか。そうすると、別に【別人格】まで行かなくてもよいわけで、普通の(解離の)カウンセリングで良くなっていくでしょう。次のツイートです。






【自分が体の内側に小さくしぼんだように感じる】これは着ぐるみを着ているような【着ぐるみ解離】に見えます。このとき体の重さを感じないなら解離ですが、体が重く感じる場合は解離ではなく、精神的な退行(子ども返り)かも。解離なら水を飲めば戻ります。退行は甘え不足なので何かに甘えてみる。






さらに、①の着ぐるみよりももっと軽い、退行としてみることもできる場合です。小学生の場合、退行であることも考えられます。母子関係にフォーカスしてカウンセリングを進めてみてください。お子さんばかりでなく、意外と、母親自身も甘えたりなかったりするかもしれません。





そうなると、母子分離した形でのカウンセリングになっていくでしょう。





■解離のカウンセリング、感情の取り扱い





解離から回復とは、覚醒するということです。自分の感情が覚醒することです。そのことを心理士は、しっかりと捉えていることです。下記のツイートです。






解離していた人が回復して現実へ戻ってくると、怒りが少し出るようになります。他人事だったものが【自分事】になるからです。これは自己主張が出始めたということで、良い徴候です。決してアンガーマネジメントなどはしないように笑。せっかく出た芽をつぶすことになります。まず解離を治療する。






アンガーマネージメント、本もたくさん売っていますし、その件についてのカウンセリング手法も多くあります。多くはマインドフルネスですかね。しかし、解離の場合は、自分から離れていた感情がようやく自分にくっついてきたわけなので、その感情をコントロールしようとしないでくださいね。せっかく覚醒したところに冷や水をかけることになります。





心理士は、あぁ、このことね、と思い出しながら、相談者の怒りを歓迎してあげてください。そのうち治まっていくでしょう。





■まとめ





多重人格の治療は、人格交代しなくなってからが本番です。数年にわたる強い希死念慮を支えることです。





解離には①着ぐるみ解離と②幽体離脱があって、②のほうが重く、①と②は連続していないようだという話をしました。今後の研究が待たれます。





解離直前として未解離という状態もあり、そのへんを理解しながらカウンセリングを進めましょう。そして、回復してくると怒りが出やすくなりますが、そこはコントロールせずにいきましょう。





あなたの解離が創造的なものへ変化していきますように、祈っています。





Meditative statue with flowers
多重のあなたを手のひらに載せて行こう。




Reference:





(1)松崎朝樹:精神診療プラチナマニュアル, メディカルサイエンスインターナショナル, 2018
(2)柴山雅俊:解離の構造~私の変容と<むすび>の治療論, 岩崎学術出版社, 2010





解離について相談してみたい場合は、ソレア心理カウンセリングセンターへ







この記事が気に入ったらフォローお願いします


ソレア心理カウンセリングセンター