フリーランスになるには?3つの手順【カウンセラーを例にして】

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・どのようにすればフリーランスになれるのか?
・フリーランスとして成功するには?

そんな悩みをお持ちのあなたへ。

この記事では、私の経験を振り返りながら、カウンセラーとしてどのように独立していったのか、3つの段階【守破離】に分けて紹介します。この3つの手順は、あらゆる職人さんに共通の話です。

・真似をする
・おきて破り
・自由に生きる

■真似をする

(動画はほぼこの話です。)ここに一番時間がかかり、また成功の鍵を握っているプロセスです。

この時期は、まだフリーランスとして機能しないかもしれません。それは人によりますが、この時期は余裕もありませんので、フリーランスとして活動をスタートするにはリスクが高いです。ただ、この時期の後半くらいになってくるとフリーランスを視野に入れる人も出てきます。具体的には、この時期は本職とフリーランス職の二足のわらじ状態の時期です。

真似をするには、ゆとりがないとできないものです。生活に必死すぎると真似をしていても、笑顔がひきつったりしています。ここはじっくりと技を盗む時期としておいたほうがいいでしょう。会社努めの方なら、将来の独立に向かって着々とスキルを盗んで蓄えている時期です。

さて、注意点が見えました。真似をする時期は長時間に渡るので、ゆとり、ゆとり、ゆとりです。そのように人生設計してみましょう。

カウンセラーとしての私が、身近な人々の真似をしながら技術を磨いていた具体的な話をしましょう。ピラミッドの三層構造をイメージしてみてください。上の頂点から下の底へ向かって1、2、3です。

それぞれには師匠がいます。

1は、ロン・クルツです。ハコミセラピーという心理療法です。認知行動療法でも精神分析でもない。ボディセラピーとして位置づけされています。マインドフルネスとは何か。そういうことをしっかりと体感できたと思います。私のカウンセラーとしての歴史に欠かせない人です。私が大学院へ入る前までをしっかりとけん引してくれた人です。

2は、精神科医の高橋和巳先生です。カウンセリングというものはどういうものかを学びました。本物のカウンセリングとは何であるのかをしっかりと教えてもらいました。大学院後、これまでの学びを統合するには必要な時期でした。10年足らずの年数になります。

そして3、一番底で支えているのが、臨床心理士の角山富雄先生です。ここはカウンセラーとして在り方(悩み)を学びました。大学院時代そして大学院を出てから数年、もっともカウンセラーとしての悩みが深った時期に私を導いてくれた先生です。

それぞれ、1は方法論、2は本質の方法論、3は本質。と命名できるかもしれません。これは非常に個人的な感覚ですので、他の人がどういう段階をもっているか、自分に照らし合わせて、【方法論→本質の方法論→本質】というものを考えてください。

この3つは独立しているわけではなく、それぞれ行き来しており、どれが欠けてもうまくいかないのでしょう。

私の場合は、方法論←→本質←→本質の方法論という流れでここまでやってきました。

またそれぞれが、3つに分かれています。

1:ロンクルツは、ラビングプレゼンス、マインドフルネス、その他、
2:高橋先生は、傾聴・受容、見立て、その他
3:角山先生は、カウンセラーとして生きる態度というふうにそれぞれが細分化できます。

こうやって【自分の三層構造】が見えてくるとカウンセリングも安定していきます。セッションを重ねての成長はあるのですが、ときどきこういう形で言語化するのもいいと思います。

余談ですが、3人の師匠は、私にとっては故郷の人々です。故郷は遠くにありて思うモノと言います。私の短い人生の中で、彼らは歴史上の偉人です。

◇一万時間の法則

マルコム・グラッドウェル氏の著書 Outliers で、成功へのマジックナンバーとして1万時間の学習の必要性が書かれています(*1)。この1万時間の法則は古くから言われてきたことです。とにかく1万時間、真似をし続けなさい。

最近の研究ではそんなに時間は必要ないとされています。しかし、自分の感覚として、自立してカウンセリングができるようになるまで、やはりそのくらいの時間がかかったと思います。1日1時間のセッションを5回やるとして、1年で1200時間です。一万時間に達するのにだいたい9年です。これは、古来から言われてきている、職人になるには「質を高めつつ集中的に学んでも10年かかる」という伝とほぼ一致する時間です。

◇フィードバックループ

自分の行ったやり方をチェックして、反省点を次の行動に取り入れるフィードバック回路を学習の中に取り入れると1万時間よりも少ない時間で達成できるという研究もあります(*2)。ここに、誰かに教える過程が入ってくると、さらに短時間での習得が可能になるといいます。

これは実際に仕事で体験されている方もいらっしゃると思います。ビジネスでは、PDCAサイクルが重要と言われます。Plan(計画)→Do(実行)→Check(解析してフィードバック)→Action(改善点の洗い出し)。

この最後のCとAが重要であることに気づけば、時間も短縮するというのです。これは最もな話です。私は、カウンセラーという仕事でPDCAを回していても1万時間くらいかかりました。

しかしそれは、CやAが真剣さの足りない分析とアクションだったからかもしれません。皆さんは、Dで終わらせず、最後のCやAをしっかりとなさってください。

■おきて破り

真似の段階が終わったら、ようやくそこから抜け出していく時期。師匠から受け継いだスキルの形を変えていくために、伝承を打ち破っていく時期です。だいたいの人は、ここで師匠から離れていきます。師匠と軋轢(あつれき)が発生します。

それが師匠と対立をもたらすとしても、その人が技術的に自立するには、このおきて破りが必要なのです。

◇技術習得と人生の成長はフラクタルな関係

フラクタルとは、数学の幾何学の用語で、図形の部分と全体が自己相似になっているということ。この真似て→破るという流れは、学童期→思春期→成人期の心理発達と同様と見られます。つまり、学童期→思春期です。

おきて破りとは、人間の成長段階で例えるなら思春期。親からもらった倫理規範に異議を唱えて、それを破っていく時期です。ユングもフロイトから離れて自分の心理学を打ち立てました。彼もおきて破りの時期を経験しているのです。その時期は精神的に非常に不安定だったといいます。

このおきて破りの時期はどのくらいか、研究されたものが見つかりません。しかし体感としては、崩壊はすごいスピードで行われていくようです。そんなに時間がかからず、3段階目へ移行していきます。

注意点は、その専門分野において不安定になる時期です。いろんなことが起きますが、それに対処できるだけの下準備をしておきましょう。具体的には、日常生活を無難に過ごしながら、不安定な専門職の分野を乗り切っていく感じです。

■自由に生きる

最後の段階。ここまで来たら自分が師匠としてやっていくときです。自分が体得してきた技術を若い人々へ伝える役目があります。そして老兵去るのみ。人生の引き際。スマートに、スッと居なくなりたいものです。

■まとめ

【守破離】(しゅはり)は、日本の伝統芸能における師弟関係のあり方を示す言葉です。三層構造を意識しながら、「守」で真似をして、覚えた技術を「破」って、師匠から「離」れて自分の技術を打ち立てる。私はどの辺にいるのか。道はまだ半ば、ここで終えるわけにはいきません。

私の5年後は、どういうことを話しているかは分かりません。それだけ私が成長するのか?という疑問はありますが、成長打ち止めも十分考えられますが、カウンセリングを始めた方も、自分の10年、20年先を見据えながら、こういう三層構造をときどき意識しながら、自分はいまどこにいるのか、これからどこへ向かおうとしているのかを、時々振り返ると良いでしょう。

そのために、

・職人としてのPDCAサイクルを回す。特にDで満足してしまいがち。CとAは成長のために特に必要。
・スーパービジョンを受ける

守破離はフラクタルでみると、学童期→成人期の過程と同等と分かりました。こうやって視点をフラクタルのように眺めていると、心理的に解決する方策が見えてくるかもしれません。

Reference
*1) Malcolm Gladwell, Outliers: Story of Success, 2008
*2) A Mousave et al, Continuous feedback loop for adaptive teaching and learning process using student surveys, SAGE journals, 2015

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