自閉症と愛着障害のPTSD的な記憶【ATARUに見るサバン症候群の記憶】

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記憶というものは過去になるから付き合っていけるのであって、記憶が過去にならない場合はとても苦しいものです。ずっとトラウマとして残ることになるのです。ASDの人、ADの人、PTSDの人の記憶について書いています。それらがどうなれば、苦しみから抜け出せるのか、そのヒントも書いています。

PTSD的なASDとADの記憶

ASDは自閉症スペクトラム障害、ADは愛着障害です。それらの人々の記憶の持ち方はPTSDに似ています。PTSDは心的外傷後ストレス障害です。

動画で紹介している図を見てください。横軸が時間軸で右へ行くほど現在に近づきます。縦軸は記憶の強度のようなもので、どのくらい鮮明に記憶しているかという数値です。

一般の人は黒い線で書きました。昔へいくほどに記憶はぼやけて強度が下がっています。今日体験したことのほうがはっきりと覚えています。これはご自身でも体験していることなのでよく分かることでしょう。

これがASDやADの人になると、昔の記憶と今の記憶が同じ強度になります。これはPTSDも同じです。

ASDの人は脳機能の問題なので、一般人のように黒いラインになることはありませんが、それでは生きづらいので、記憶の強度が下がるように生活していくようにします。要は、環境の刺激が少ないところで生活していくことが望まれます。それによってパニックにならずに済みます。

3.11の震災で、宮城県の東松島へ発達障害児への支援で入った知人が話していました。

東松島のようなのんびりとした時間の中で生活していれば発達障害児への負担も軽くなるでしょう。東京がいかにストレスに満ちているか。東京のが支援は行き届いているかもしれないけれど、生活の基盤のストレスが半端ないです。

ASDの人は、過去の記憶がついさっき起こったようによみがえってきます。それが一気に押し寄せてパニックになるのです。

ADの人も記憶の持ち方がPTSD的ですので、この間起きたように記憶が襲ってきます。C-PTSDの人の記憶と同じです。これは自閉圏の人と似たような記憶システムになっていると言えるでしょう。昔の記憶が一向に昔の記憶にならないのです。だから苦しい時間を生きることになります。

単なる(単一性の)PTSDの人は、その事象のみ鮮明に思い出して、他は遠のくという記憶です。それに比較してC-PTSDの人は、無数の記憶が波状的に襲ってくるのです。ついこの間起きたように思い出します。

しかしADやC-PTSDの人が普通の人の記憶システムを取り戻すことは可能なのです。安全感が育ってくることで、基本的な信頼感が生まれてくれば、普通の記憶システムへ戻ります。ときどき解離して昔の記憶がフラッシュバックすることはあっても、それらによって波状的に記憶が襲ってくる頻度は確実に下がっていきます。

過去が昔になる力、昔へ戻る力を回復したということですね。

ATARUサバン症候群役の中井正広

以前、ATARUというサバン症候群を描いたドラマがありました。SMAPの中井正広が主演でした。写真のように記憶を覚えていて、あとからそれを細部に渡ってスキャンできるという能力の話です。その能力を使って事件を解決していきます。このサバンの話も、昔の記憶が現在も同じ強度で残っているからできるワザなのです。

これは一つの才能ですが、当人は記憶が過去にならないので大変です。ストレスがそのまま残るので大変です。

記憶の話とは違いますが、絶対音感の人も同じですね。雑音がすべて音程として意味あるように聞こえてくるわけです。音楽の場面ではそれは活きるのですが、生活場面ではストレス以外の何物でもない。サバンも才能として使えば素晴らしいですが、生活のことを考えるととても苦しいのでしょう。

自閉症、愛着障害、AC、PTSDの相談は、ソレア心理カウンセリングセンターへ。

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