・ダイエットで健康になりたい
・ダイエットが長続きしない
・ダイエットでガマンするのは嫌だ
・マインドフルネスと関係しているダイエットに興味がある
こんな悩みをお持ちのあなたへ。
この記事では、マインドフルネス・ダイエットの、一般的なものから、極意ともいえる本格的なものまでを解説します。臨床心理士がお伝えするこの知恵は、私自身のマインドフルネス生活のなかで身につけてきたもの、のべ2万人の悩みを聴くなかで学んできたものです。
前半では、「一般的なマインドフルネス・ダイエット」について、
後半では、「本格的なマインドフルネス・ダイエット」について、解説しています。
最初に結論をいうと、バランスを保ってシンプルな生活ができていればそれで十分ダイエットになるということ。つまり生活のバランスが崩れているなと思う人はぜひこの記事を実践してください。
何かしらの疾患にかかっている場合は、そちらの治療と併用しながら実践してください。この健康法の記載が、その疾患の治療とぶつかるようなところは、主治医の指示にしたがってください。私も糖尿病という疾患があるので、糖質に関するところは注意しないといけません。自分で自分のドクターになろうとしないことです。
なお、マインドフルネスについては関連記事をご覧ください。
一般的なマインドフルネス・ダイエットの解説にいく前に、ダイエットとは何かということを整理しておきます。ダイエットとは体重を減らすばかりではないのです。
■ダイエットの4つの意味
ダイエットを Merriam Webster で調べると、4つの意味があります。
a : food and drink regularly provided or consumed
b : habitual nourishment
c : the kind and amount of food prescribed for a person or animal for a special reason
d : a regimen of eating and drinking sparingly so as to reduce one’s weight
a : 規則的に毎日食べるもの
b : 習慣的な栄養摂取
c : 特別な理由により食事の種類や量を制限すること
d : 体重を減らすための食事療法
普段わたしたちが意識しているダイエットは【d : 体重を減らすための食事療法】になるかと思いますが、マインドフルネス的なダイエットは【a : 規則的に毎日食べるもの】といえます。
ただ【c : 特別な理由により食事の種類や量を制限すること】ともとれます。ここでいう「特別な理由」というのは、「生活習慣病とか他の疾病を改善するため」と思われますが、マインドフルネス的に考えると、そうではなく「自分の体質に合わせるため」というのが特別な理由になります。
そう考えると、マインドフルネス・ダイエットは、【自分の体質に合わせるために、食事の種類や量を選択すること】という定義になります。注意してほしいのは、「制限」ではなく「選択」です。
■一般的なマインドフルネス・ダイエット
マインドフルネス・ダイエットとは、瞑想を取り入れたダイエットのことを指します。この良さは、瞑想が習慣化することでリバウンドからも解放されることです。
食事制限によるダイエットは、なかなか副交感神経優位になりません。そのために過食衝動に悩まされます。強い意志の力が必要で、リバウンドのリスクと隣り合わせです。瞑想を利用したダイエットは、この神経系の働きに直接作用しますので、【リバウンド】知らずなのです。
◇5秒間瞑想法
- 食卓に座って
- 目は半分閉じて(食卓に用意された食事を見る)
- 鼻から息を吸って、鼻から息を出す
5秒だけこの呼吸をやるとやせるといいます。これでどうしてやせるのか?と思われるかもしれませんね。この呼吸の目的を考えれば分かります。
それは【気持ちをおちつかせる】ということです。呼吸によって自律神経を安定させるということです。ゆっくりとした呼吸によって交感神経がダウンして副交感神経が優位になります。そして満腹中枢が正常に機能するようになり食事の量も安定します。
気持ちが焦っていると、ストレスがかかって大食になります。何せ、怒りやさみしさなどのストレスを解消するには、やけ食いが一番手っ取り早い方法ですから。
一日のいろんな瞬間にこの短時間の呼吸を意識した瞑想法を取り入れるといいです。繰り返しになりますが、焦る気持ちを落ち着かせれば、食べる量を減らすことができるというシンプルな原理です。
◇食べる瞑想
用意するものは、なんでもかまいません。少量の食べ物を用意します。
- 一粒のレーズンあるいはチョコを用意
- 手に取り、形をみたり、においをかいだり、手触りを感じる
- 舌の上に乗せて、味を確認。口の中に広がる感じを確認
- 喉を通って胃に落ちてく感じを確認
これはマインドフルネスの食べる瞑想といいます。やり方が重要なのではなく、食べ物がどうやって体の中に入っていくかを【追跡している】感じです。その一瞬一瞬を感じ取っている。これができていれば自己流でかまいません。疑問があれば、カバットジンのマインドフルネスストレス低減法に詳しい方法が載っています。(*1)
関連記事も参考になさってください。
▼超瞑想~身体を燃やす瞑想、マインドフルネス身体を燃やし尽くす瞑想 > 他のマインドフルネスのスキル: 7.食べる瞑想
◇マインドフルネスダイエットの効果
このダイエットの食生活への効果は次の3つあります。
- 暴飲暴食がなくなる
- ジャンクフードなど、粗末な食べ物が食べられなくなる
- リバウンドしない
少量の食べ物、それも自然の味がするものを好むようになりますので、ジャンクフードからは縁が切れ、満足感がないことから発生するリバウンドも起こさないですむようになります。
◇食べる順序がある
一般的なマインドフルネス・ダイエットではここまで触れられていないようです。下記のアーユルヴェーダによるダイエットを参照ください。結論はシンプルで、【重いもの(甘いもの)から食べる】です。重いものを食べると、満腹中枢が働きますので、食事の量が必然的に抑制されます。
ここから後半になりますが、かなりの膨大な量になりますので、参考図書を貼っておきました。ぜひそちらのほうもご覧ください。この本は、私が折にふれ、30年間愛用してきたものです。時代に左右されない健康大全と言えるものです(*2)。
(余談ですが、この本、監訳が精神科医の高橋和巳先生なんです!30年間、知らなかったです。私のカウンセリング理論の中核を作ってくれた先生と、30年前に出会っていたとはびっくりです。)
■マインドフルネス・ダイエットと瞑想
マインドフルネス・ダイエットというと瞑想と切り離せません。なぜならマインドフルネスのスキルは瞑想の技術そのものですから。マインドフルネスはもともと、インド発祥の瞑想が起源です。そして、インドには古くから一つの大きな学問体系がありました。
建築に関するもの、音楽に関するもの、健康に関するもの、占いに関するもの等があり、それらがすべて瞑想を中心に構成されているのです。これをヴェーダといいます。この中で、健康に関するものをサンスクリット語で【アーユルヴェーダ】と呼びます。日本語に訳すと【生命の科学】です。これが今回のマインドフルネス・ダイエットの基本にあります。
つまりマインドフルネス・ダイエット=アーユルヴェーダです。
■アーユルヴェーダとダイエット
◇3つの体質
インドのアーユルヴェーダでは、その人本来の体質に合わせることが健康につながるとされています(*2)。つまり健康的な本来の身体になるということで、やせることではありません。ここで【本来の体質】とは何でしょうか。3つの体質があります。
- ヴァータ
- ピッタ
- カパ
これらはドーシャと呼ばれ、どの体質が支配的かでその人の型が決まってくるのです。
- ヴァータ:細い体型。すばやく、変化する質。予測が不可能な印象があり、ストレスをうけると不安定になる。
- ピッタ:中肉中背の体型。秩序的で力強い質。強烈な印象があり、ストレスをうけると怒りが出現する。
- カパ:ふっくらした体型。おだやかで安定している質。くつろいだ印象があり、ストレスをうけると動かなくなる。
これらを単独でもっている人はまれで、だいたいは2つのドーシャを合わせてもっているとされています。例えば、ヴァータ・ピッタ体質のように。この体質は、ヴァータ体質のみの人と比べると、興奮しやすくないし、体もきゃしゃではありません。こころが不安定でもありません。また、寒さや騒音にも敏感で耐えられないということもありません。
それぞれのドーシャの性質を次に示しておきます。
- ヴァータ:乾性、移動性、冷性、軽性、変化、微細、粗性、敏感性
- ピッタ・熱性、鋭性、軽性、湿製、微油性、流動性、酸臭性
- カパ:重性、冷性、油性、甘味性、安定性、緩慢性、柔性、粘着性、鈍性、滑性
乾いている、熱い、重たいは、各ドーシャを見分ける際の目印になるでしょう。
◇大切なのは自分のドーシャを尊重すること
各ドーシャがアンバランスになると、次の病気にかかりやすいと言われています。
- ヴァータ:不眠、便秘、胃腸障害、不安、うつ、けいれん、PMS、下痢、痛み、高血圧、関節炎
- ピッタ:発疹、胸やけ、胃潰瘍、若はげ、若しらが、視力低下、敵意、自己肯定感低下、心臓発作(タイプA)
- カパ:肥満、鼻づまり、せき、関節痛、ぜんそく、アレルギー、うつ、糖尿、高コレステロール血症、疲労感
これらの症状からの回復は、アンバランスになった原因をつきとめ、修正する行動をとることです。つまりドーシャの乱れを納めるために、新しい生活方法を選択していくことです。
■バランスをとる4つの方法
自然と調和して生きるためには次の4つの方法を意識するのが良いとされています。これらはアーユルヴェーダの基本です。マインドフルネス・ダイエットの中心はこの4つの方法を意識化することです。
- 日々の過ごし方
- 食事
- 運動
- 季節の過ごし方
簡単に一つづつ見ていきましょう。
◇日々の過ごし方
どうやって一日をすごすか。この答えはシンプルです。自然の波に乗るのです。この波乗りには重要なサイクルがあるのでそれをキャッチすることです。4つの波がやってきます。
- 6~8時:この時間に起床します。
この時間帯にやることは、白湯を飲む、ごま油で全身マッサージ、入浴、ヨガ、瞑想、朝食等です。
白湯は飲み続けると甘く感じるのでおススメです。ただ、真夏に食堂で白湯を注文すると変な顔をされるかもしれませんので(笑)、自分のポット持参にしたほうがいいかもしれません。朝食は軽いシリアルなどでかまいません。
- 12~13時:この時間にお昼ご飯を食べます。
20分ほどかけて昼食をとり、食後5分間静かに座っています。白湯を飲みます。
昼食は三食で一番比重の高いものです。しっかりと取りましょう。食べるコツは、甘いものから食べる。甘いものは満腹感を増します。ですから、甘いものから食べると、食べる量が少なくなります。糖質が気になる人はここは難しいですね。だいたい甘いものは糖質吸収を抑えるために最後になりますから。
- 18~19時:この時間に夕飯を食べます。
軽い夕食をとって、食後5分間静かに座っています。白湯を飲みます。
- 22時:この時間に寝ます。
夕食後少なくとも3時間以上たってから就寝します。ベッドで本を読んだりスマホやパソコンを見たりはしません。TVも最小限で。
スマホやパソコンはブルーライトを避けるためもありますが、目からの刺激がありますので、ブルーライトカットでも悪影響はあります。余計な情報を遮断して脳を休めるという意味もあります。
◇食事
バランスの良い食事をとることですが、ヴェーダでは西洋の知識である栄養素を考えているのではありません。ここで大事なのは、ドーシャのバランスをとるような食事をすることです。ドーシャとは、ヴァータ、ピッタ、カパでした。ドーシャというのは気をつけていないと増悪するのです。
ドーシャが増悪するとは何でしょうか。それは自分の体と反することをしようとすることです。わたしたちの体がすでに知っているのです。例えば、ドーシャのバランスがよい状態だと、寒いときには温かいものを食べたくなり、体が重い感じのときは軽いものを食べたくなるか、もしくは食べることをやめます。
これは味についても同じですね。バランスがとれていれば、適度な苦みや渋みや甘みを取ろうとするでしょう。体が食べたいと思うものと、飢餓感による欲求で食べようとすることは違うのはお分かりいただけるでしょうか。摂食障害やストレスによる飢餓感は、体が食べたいと思うものとは違うものです。
そんな人がバランスを取るには、6つの味【甘い、酸っぱい、塩からい、苦い、辛い、渋い】、これらをすべて取るようにすることです。それによって失ったバランスが回復してきます。アイスクリームを完全にやめることができなくても、嫌いなサラダに満足できるようになってきます。
それぞれのドーシャのバランスを回復させるために、おもにどういう食事をとればいいのか、基本的な考え方を軽く紹介しておきます。
- ヴァータ:温かいもの、塩・酸・甘味を取る。まろやかなもの。ヴァータは冷たいドーシャなので、温かいスープやホットミルクなどは最適です。インドのラッシーなんかも良いそうです。
- ピッタ:冷たいもの、苦・甘・渋味を取る。バターは少なめに。ピッタは強力な消化力を持っているので食べすぎには要注意です。増悪したときはホットミルクが良いそうです。
- カパ:温かいもの、バターや油は最小限に。揚げ物は避ける。辛・苦・渋味を取る。外食のときは要注意です。重くなりすぎず、温かい白湯などを飲み、パン・バターは避けて、デザートは少なめに。
◇食事のバランスを回復させる週末の過ごし方
【消化力】はアグニと言われますが、これを立て直すには、週末の土日を使います。
- 土曜日:消化力を弱めるために、食事をせず、白湯だけを飲んで生活をする。散歩などの軽い活動をする。空腹でふらつくときは、はちみつを白湯に溶かして飲む。
- 日曜日:消化力を戻すために、軽い朝食、温かいシリアル、ハーブティーを飲む。昼食は重くなく、多すぎない量を取る。アルコールはNGだが、ジンジャーティーはOK。食欲のない人は、食事の前にジンジャーティーを飲む。
◇食事のとり方もいろいろあります
食事の秘訣として、
- 落ち着いたところで食べる
- 気持ちが焦っているときは食べない
- 空腹のときだけ食べる
- 冷たい飲みものはとらない
- 食べながら話さない
- 遅すぎず、早すぎず、適度な速さで食べる
- 日本では腹八分といいますが、【腹七分】くらいの【適量】を食べる
など、いろいろあります。そして【やせるダイエット】の秘訣は、実は、この食事の秘訣の実行です。これによって体のバランスを取り戻すことができるのです。
アーユルヴェーダでは食事についての膨大な知識があります。詳しくは参考文献をご覧ください。
◇運動
運動を考える前に、新しい運動の思考を身に着けることです。それは、
- 簡単なヨガ(呼吸を意識しながらの簡単なストレッチでも可)
- 呼吸
この2つです。運動は、スポーツではありません。運動なのです。自分の下手なショットにイライラしたり、テニスコートで相手を痛めつけてやろうという考えは、バランスのとれた運動とは言えません。そういうことを思っているなら、スポーツなど止めたほうがいいでしょう。
このアーユルヴェーダのスポーツに関しての考え方は、フローの考え方に近いです。アーユルヴェーダのが歴史はずっと古いですが。
運動するときの注意点を少し。
- 食事の直前、直後には運動しない
- 寒いところでは運動しない
- 強い日光のところでは運動しない
どれもバランスを崩す原因となります。
◇季節の過ごし方
ドーシャの増悪をさせない過ごし方をするということです。
- 春~初夏:カパが増悪します。軽い、油の少ない食事をします。チーズ、ヨーグルト、アイスなどの重い乳製品は減らします。温かい食べ物を取ります。
- 真夏~秋:ピッタが増悪します。食欲が減退するので食べ過ぎないようにします。冷たい飲み物はいいが、冷たすぎると消化の火を消すので要注意です。
- 晩秋~冬:ヴァータが増悪します。温かく、油の多い食事をします。白湯などをたくさん飲み、甘い、酸っぱい、塩辛いものを多くとります。生ものは避けてください。冬は食欲が強くなるのは当たり前のことですが、食べ過ぎに注意。
■バランスに神経質にならない
これまでアーユルヴェーダのマインドフルネス・ダイエットについてみてきましたが、あまりに神経質になると、人生が複雑になりすぎてしまいます。この【複雑さ】というのは健康(ダイエット)に大敵です。あなたのペースで、できるところから取り入れていくといいでしょう。
■まとめ
マインドフルネス・ダイエットは、
- バランスを保ってシンプルな生活をする
- 自分の体質に合わせるために、食事の種類や量を選択する ことでした。
一般的なマインドフルネス・ダイエットとして、
- 5秒間瞑想法
- 食べる瞑想
を紹介しました。これらの効果は、
- 暴飲暴食がなくなる
- ジャンクフードが食べられなくなる
- リバウンドしない
本格的なマインドフルネス・ダイエットとして、アーユルヴェーダを紹介しました。3つの体質、ヴァータ、ピッタ、カパに合わせて、バランスを取っていく方法です。ポイントは4つあって、
- 日々の過ごし方
- 食事
- 運動
- 季節の過ごし方 など。
細かな制限はありますが、あまり神経質にならないことです。ポイントは【人生をあまりに複雑にしない】ことです。
今日からあなたのペースでマインドフルネスな生活をはじめてみませんか?
■Reference:
(1)ジョン・カバットジン:マインドフルネスストレス低減法, 北大路書房, 2007 (2)ディーパック・チョプラ: クォンタム・ヘルス, 春秋社, 1991