・マインドフルネスが長続きしない
・マインドフルネスの効果がわからない
こんな悩み、よく聞く話です。
この記事では、マインドフルネスはどのように治療に役に立つのかを明らかにしたうえで、マインドフルネスを超えて行くメタナウとは何なのか、どう治療に役に立ち、どう危険なのかを明らかにしながら、生きるヒントを紹介します。
・マインドフルネスとは?
・メタナウとは?
・シャーマン化についてーメタナウの影
■マインドフルネスとは?
マインドフルネスは今にフォーカスする技法です。自分はどんな感情なのか。怒っているな、悲しいな、嫉妬しているな。そのように気づくことです。感情をキャッチしてその感情とともにいることです。感情を鎮めることではありません。ともにいるわけですから、In-Emotionな状態です。
治療にとってこの態度は非常に役に立つものです。書籍も無数に出ています。その中でも一番のおススメは「タオイズムと心理療法」です。(*1)
マインドフルネスは治療の初期段階では必要なものです。しかし中期段階、後期段階にそれはどう変化するのか?マインドフルネスから出発して、どのように治癒していくのか。そこがブラックボックスでした。
それを私はメタナウという概念を使って説明します。造語ですので、ネット検索しても出てこないでしょう。
■メタナウとは? meta-now
さて、メタナウー日本語にすると「超今」です。今を上から眺めている、俯瞰している感じをメタmeta-といいます。今を上から俯瞰しているのでメタナウ(超今)meta-nowなのです。メタ認知、「認知の認知」という言葉を聞いたことのある人もいらっしゃるかもしれません。認知を俯瞰しているもう一つの認知という意味です。
このmeta-は、感覚が鋭くなっている感じです。例えば、道路が向こうまですっきり見えて、ビルのコンクリート肌のつぶつぶまで感じられる、太陽が照っている街路樹の葉の裏の葉脈までくっきり見えて、緑の世界をビビッドに感じて世界の成り立ちを理解するなどと表現されたりします。
風が吹き抜けていくと、生きている感じが風に吸い寄せられるように湧き上がってくる、そう話す人もいました。
こういう感覚がメタナウです。現実離れしているわけではありません。現実がくっきりと浮き上がってくる感じです。そこには統合失調症のような病的な妄想的な感じはありません。
マインドフルネスIn-Emotionの状態から少し上がった状態をメタナウというので、Beyond-Emotionと言えるでしょう。感情を越えたところにある感覚です。超今です。
アウェアネス(気づき)という概念がありますが、これはマインドフルネスとメタナウの中間にある状態といえそうです。マインドフルネスに近い言葉でしょうか。
メタナウ>アウェアネス>マインドルネス、このような関係です。
◇治癒へ進むという概念
治療が進むというのはどういうことか。これについてはなかなか参考文献を見つけることが難しいですが、治療していくと必ず同じ道を通っていくな、という感触があります。
それは何かというと、
・受動→能動、という道です。
PTSDの治療について書かれているものに「心的外傷と回復」(*2)があります。そこにはPTSDの回復で一番大切なのは、自分でそれに立ち向かうという行動力が出てくること、と書かれています。
これこそ、受動→能動へ移っていくプロセスといえるでしょう。
■シャーマン化(カミダーリ)について~メタナウの影
光があれば影がある。これを影と呼んでいいのかわかりませんが、普通とは違うシステムに生きることになるので、便宜上、影と呼んでみました。
メタナウは覚醒が超覚醒になっている状態です。この明晰感は治癒していくうえで必要とされるものですが、通常の覚醒ではないので危険なのです。脳波としてはガンマ波(25Hz以上)が出ているのでしょう。悟りの脳波です。
私の著書「孤独と愛着」の「後ろに広がる空間」の片平さんもカウンセリング中に、メタナウを何度も繰り返し経験してシャーマン化していきました。あれよ、あれよという間にシャーマンになってしまったのです。
シャーマン化。それは日常で生活するには支障も出てきます。仙人のようになるわけですので、仙人は市井(しせい)の暮らしはできません。ですからシャーマンとして生きるしかない。そして、彼女はそれにコミットしたわけです。彼女は今、そういう職業についています。
このシャーマン化を気をつけようといっても、気をつけようがないのです。普通の人はメタナウを体験してもシャーマン化せずに、こちらへ戻ってきます。そういう人が多いです。継続的にメタナウを体験してはいません。だからシャーマンにはなりません。安心していいのです。
マインドフルネスの上には、メタナウがあります。それをたまに体験していくこと。メタナウが続いていると思ったら、一緒にどうすればいいか考えましょう。連絡ください。オキナワでは、これと似た現象をカミダーリ(*3)と呼んでいます。
■まとめ
マインドフルネスの効果を最大限に引き出すには、メタナウという状態が必要だったのです。それはマインドフルネスが静的なものだとすると、メタナウは動的なものと言えるでしょう。
このときメタナウの影に気をつけて、必要なら私にご相談ください。
Rererence:
*1) Greg Johanson and Ron Kurtz: GRACE UNFOLDING – Psychotherapy in the spirit of the Tao-teaching, 1991
*2) ジュディス・L. ハーマン:心的外傷と回復, みすず書房, 1999
*3) 「肯定的狂気」としてのカミダーリ症候群:心理臨床家を訪れたクライアントのケース分析、塩月亮子、名嘉幸一、2002
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