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ソレア心理カウンセリングセンター

2020.09.25(更新日:2020/09/27)  |愛着とトラウマ(虐待)

子育て退職はあなたを後悔させない【大きな贈り物 Golden Slumbers】



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臨床心理士の高間です。
この記事は、毎日を健康に生きるエッセンスをお伝えします。





・子育てで退職(あるいは休職)しないといけない。職場復帰、再就職が不安で仕方ない。
・子育ての期間、仕事から離れることが、自分のキャリアにとってマイナスになりそうだ。





そんな不安を持っているあなたに、何かのヒントになればと思い、記事にしました。この記事のポイントは、





  • 幼児期の子育ては愛着形成という重要な役割がある(前半)
  • そして子どもと母親両者の、Golden Slumbers【大いなる眠り】がそれには重要である(後半)




Golden Slumbersとは、【黄金のまどろみ、大きな贈り物、大いなる眠り】です。子育ての神髄ともいえる体験です。





■子育て退職には意味がある





Baby looking at mother
あかちゃんとの新しい生活。




子育てのために退職したり休職する女性は多いかと思います。その時間はあなたの人生において素晴らしい体験をもたらすものになるでしょう。次のようなツイートをしています。










出産と育児で数年職場から離れることに不安がっている心理士に、精神科医の神田橋條治先生がかけた言葉は、「あなたは他の心理士がやれない経験を積むことになる。それは面接を続けるよりも、研究を続けることよりも、意味のあることだ」的なことだったような。
親にとって子育ては、いわゆる成人期 II 期に達成する発達課題です。貴重です。それを胸に、「子育てへ行ってらっしゃい!」






0~2歳までの間というのは、あなたが、あなたの子どもと【愛着関係】を結ぶ時期です。ボウルビィの愛着理論によると、そういう時期です。こういう体験ができるのは、子育て以外にはありません。友だちや配偶者との関係とも違う。だから、神田橋先生は、安心して「いってらっしゃい」と背中を押したのです。





では、具体的に子育てで得られる愛着関係ってどういうものなのでしょうか。一言でいうならば【母と子が呼応する関係】です。
①母と子が見つめ合っている⇒②へ
②母と子がお互い違うところをみている⇒③へ
③母と子がお互いを気にしだす。





母親と子どもの呼応は、この3つの段階で行われていきます。そしてこれは何度も何度も繰り返されます。これをスターンは情動調律ともいいました。お互いを気にするときとお互いを気にしないとき、この大きなサイクルが愛着関係を作っていきます。





この愛着関係は、人間が生きるための【基本的信頼感】の元になるものです。この信頼感も、2歳までの間で形成される生きるためのベースになるものです。このベースラインがない状態の人々もいます。それをバリントは基底欠損といいましたが、虐待関係にあった人々です。





この信頼感を子育ての中で再確認できるというのは、心理職にとっては、自分の、いや人間の、ふるさとに帰るようなものです。この体験が後々の臨床に生きてこないわけがありません。カウンセリングというものは、信頼感というものをベースにして成り立っているものだからです。





とはいえ、子育てというのはストレスにも満ちているわけです。ここで、情動調律を思い出してください。
【母と子が見つめ合っているとき⇒母と子がお互い違うところをみているとき⇒母と子がお互いを気にしだしたとき】このサイクルが続くのでした。





注意してほしいのは、【相手を気にしていない時期もある】ということです。この時期がないと、子どもにとっては、自由を感じることができません。ですから、べったり視線を合わせ続けるというのとは違うということです。





大切なことは、お互いを気にするときとお互いを気にしないとき、これがサイクルしているということ。息を抜いている時間があって、逆に濃密な時間がコントラストを得てくっきりと体験できるということ。だから、お母さんも、息を抜く時間が大切なのです。





また、こういう愛着や信頼感って、心理職なら日々のカウンセリングでも得られるんじゃ?と思う人もいるでしょう。たしかに、毎日の臨床の中で心理士は体験は、しています。





ただ、私の体験を振り返ってみると、その体験というものは、【認知的な理解をしていくという体験】なのです。それに比べて子育てで得ることのできる体験は、認知的なものをはるかに越えています。【ゆるぎない信頼感】なんですね。【何があっても揺らがない】。それは、イヤらしい言葉でいうなら、情報量が全く違うのです。





オンラインカウンセリングと対面カウンセリングでも、その情報量の差は大きいですが、それ以上の差がそこにはあるのです。だから、神田橋先生は、安心して「いってらっしゃい」と背中を押したのでしょう。





■Golden Slumbersが愛着を促進させる





Mother and baby
子どもとのまどろみ。生き方とのまどろみ。




子育ては愛着の再体験のようなものでした。それは、赤ちゃんが寝て、母親も寝るという、この呼応する体験の中でも体験されます。次のようなツイートをしています。






心理職は仕事を中断しても子育てに専念しようという話、これは他の職種にも当てはまります。人生は長いですが、愛着を形成できる時期はたった2年です。子どもと一緒に【大いなる眠り】Golden Slumberを体験しましょう。あなたのその眠りは、子どもという果実を実らせるのに必要な眠りです。






特に誕生から2年間、子どもは眠り、母親であるあなたも眠る。Golden Slumbers(*1)とは大いなる眠り(まどろみ)。マザーグースの詩でも、ビートルズの歌でも有名ですね。





基本的信頼感は、人間関係のベースになるものでした。ですから、影響を受けるのは心理職だけではありません。






大いなるまどろみが、あなたの瞳にあふれ

そして笑顔とともに目覚めるでしょう

おやすみ、愛しい人、泣かないで

子守歌を歌ってあげる

Golden Slumbers - Beatles, Abbey Road






寝る子は育つといいます。しかし、この【大いなる眠り Golden Slumbers 】は、子どもだけの眠りではありません。先に説明した情動調律は、子どもと母親との交流でした。





それと同じように、この大いなる眠りも、子どもの眠りと母親の眠りと、この二つが混然一体になったところに【Golden 大いなるもの】が発生するのです。子どもだけなら、それは単なる【Slumber まどろみ】だけでしょう。





このビートルズの歌詞は Paul McCartney によって書かれました。この歌の中では何がGoldenかは説明されていません。多くは、まどろみがGoldenだという解釈のようです。しかし、この歌のまどろみは、Slumbers と複数形になっています。ということは、まどろみは複数の人を指します。





そういうふうに見ていくと、これは、母と子のまどろみであって、その二人の間に芽生える大いなるもの、とも読み取れます。





子どもがいない人もいますね。そういう人は、この Golden Slumbers 体験をしていないことになります。そのことは、その人の人生にとってどう作用してくるのでしょうか。





◇トーベ・ヤンソン





ご存じ、ムーミンの作者です。フィンランド生まれの彼女は、生涯独身を貫きます。伝記(*2)によると、若いときは、複数の異性とつきあっていたようです。ある時、1人の女性と出会い、恋に落ち、彼女との交流を深めつつ、人間としての成長をしていきました。彼女はバイセクシュアルなのでしょうか?そうとも言えますが、そういう区分は意味をなさないようにも思います。





性的指向なんてのは単なる区分にすぎないのです。それよりも大事なものは、【どのように生きるか?】です。その彼女の問いに対して、彼女はスナフキンに答えさせていた。





トーベは子どもがいないので、Golden Slumbers 体験はなかったことになります。ただ、彼女は、世界中の子どもからくる手紙に、一通一通自筆の返事を書いていたといいます。それを休むことは生涯なかった、と。これは、ファンレターを通したGolden Slumbers 体験と言ってもいいかもしれません。これはリアルな交流です。





ムーミンの登場人物全員がトーベの子どもたちだという視点もあるでしょう。つまり作品を通してGolden Slumbers 体験をしていた。





これらは事実ですが、この裏側にトーベが常に直面していた葛藤がありました。それは【どのように生きるか?】。この問いが、彼女にとっての唯一の子どもだったのかもしれません。彼女は、ここから一生離れることはありませんでした。それほど親密な関係にあったのです。この問いに近づいたり、敵対したり、まさに子どもと親の思春期のような関係を継続しつつ、この問いとともに生き抜いたといえます。





当然、トーベのそばにいた一人の女性の存在は大きかったでしょう。彼女を成長させてくれた人なのですから。彼女がいなければ、トーベは【どのように生きるか?】という問題と向き合い続けることはできなかったかもしれません。それは同性でも、異性でもいいのです。双子なら、それでいいのです。双子については、関連記事をどうぞ。





▼関連記事
【愛着を癒す】じぶんだけのいろ~カメレオンが見つけた深イイ話





実際、子どもがいない人もGolden Slumbers 体験をする。そしてそれは、自分の生き方そのものとの交流を通して体験するものと言えそうです。





Dreaming twins baby chameleon
もうひとりの存在もGolden Slumbers




■ワークライフバランスでは子育てはできない





子育ては、母親側の愛着を促進させることは理解していただけたかと思います。しかしそれに熱中しすぎると、結果を求めてしまうという、悪しき行動を取ってしまうときがあります。下記のようなツイートをしています。






仕事はとかく【結果】が要求されるものです。この結果、「数字」ともいいますね。しかしフロー的に考えると、結果にフォーカスすると結果が出にくいというジレンマも事実でした。子育ては【結果】ではないという当たり前のことは、みなさん承知はしていますが、実際子育てに巻き込まれてしまうと結果優先になりがちです。






なぜなら、親は子どものことが心配なので、子どもに楽をさせようと過剰な取り組みをしてしまうことがあるからです。このことは、ついつい結果を求める行動につながってしまいます。お受験、中学受験などは、その最たるものでしょうか。別名、過保護ともいいますね。





ワークライフバランス、これは現代では常識ですが、特に子育て最初の2年間に関しては、仕事Workと生活Life(子育て)はバランスの取れたものではなく、圧倒的に【生活Life(子育て)】に重みがかかっているということです。





では結果優先にしないためには、どうすればいいか?





  • まず2年、子どもは眠り、あなたも眠る。




この体験を積み上げることです。子どもを眠らせるだけでなく、あなたもしっかりと眠ってください。育児休暇とは、そういう意味もあり、そういう使い方をするのがいいでしょう。育児のために休む=眠る。あなたが眠れば、子どもも安心して眠れます。





このように考えてくると、Golden Slumbers 体験の重要性が見えてきます。





よく、退職後に何をすればいいか?という話があります。子どもと色んな場所へ出かける、自分の趣味をしたり資格をとったりして自分磨きをする、子育てための情報を集める、小遣いを稼ぐ、などをする人もいますが、これらは【何もしなくてOK】です。子どもと一緒に、まどろんでください。





◇それでも働かないといけない人もいますね





そんな人は、ムリをしながら休まずに働いてください。保育所を使ってください。ただ、子どもを保育所から引き取ってから、10分でいいので、親密な時間を持ってください。【10分】でいいので。そこで愛着は形成されるでしょう。





そして、自身も、子どもと一緒にまどろむ時間を作ってください。少しでいいので。子どもと一緒、というところが大切です。うまく行くように祈っていますよ。





最後に有名な三好達治の詩(*3)を紹介して終わりにします。この詩、母と子の Golden Slumbers を描いたものとして鑑賞すると、また違った味が出てきますね。






太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

次郎をねむらせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。






■まとめ





子育て退職(あるいは休職)は、あなたが子どもとの間に愛着関係を作るためのものです。母と子が一体になって呼応することで、基本的信頼感が形成できます。





2歳までの愛着形成の時期は、大いなる眠り【Golden Slumbers】の時間でした。寝る子は育つ。母子ともに、しっかりとまどろみを体験してください。子どもだけじゃありません。母親もまどろまないと、それは Golden になりません。





また、子どものいない人は、【どのように生きるか】という問いが、子どもの代わりになるということを、トーベ・ヤンソンを例に解説しました。【どのように生きるか】この問いとともに大いなる眠りの中でまどろんでください。





最後に、子育ては結果ではないということを、ワークライフバランスの視点から眺めてみました。





子育てで退職すると、あなたにとっても子どもにとっても、【輝かしいまどろみ】の時間が待っているのです。





Starry sky and red trees
ようこそ、まどろみの世界へ。




Reference:





(*1) Lennon-McCartney: Golden Slumbers, 1969
(*2)トーベ・ヤンソン: ムーミンの生みの親, 河出書房新社, 2014
(*3)三好達治: 雪, 測量船, 1930





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