この記事は公認心理師資格試験の勉強も兼ねています。
夜~朝にかけての睡眠というのは、ノンレム睡眠とレム睡眠が1つのセットになっており、これが4セットくらい続いています。1セット90分くらいですので、だいたい睡眠は6~7時間ということになります。中年期くらいまでが7時間、高齢者は6時間になります。高齢になってくると1セットの時間が短縮されるのですね。
レム睡眠とは風変りな名前ですが、REM睡眠と書きます。Rapid Eye Movementの略です。レム睡眠時は目が急速運動をしているわけです。このレム睡眠時が夢見の時間です。このとき夢を見ている。
レム睡眠は眠りが浅くなった時ですので、起きる直前に夢を見ていることになります。これが1日の睡眠で4回ほど繰り返されます。
ところで、レム睡眠では夢を見ているだけあって、頭は起きています。その代わり身体は寝ています。夢を見ているときに身体が動いては大変です。事故につながります。ですから事故らないように人間の身体はうまくできているのですね。
それとは逆にノンレム睡眠では、頭は寝ていますが、身体は緊張しています。動く可能性があるわけです。電車でつり革につかまりながら寝ることができるのは、このノンレム睡眠の成せる技です。身体を緊張させながら立つ状態をキープし、深い眠りに入るわけです。
この二種類の睡眠時に起こる症状として3つ大きなものがあります。
ノンレム睡眠時に起こるものとして、睡眠時遊行症いわゆる夢遊病があります。これは子ども~青年期に好発します。頭は寝ているので、自分が動いていることは記憶にありません。過食症の人で、起きたら冷蔵庫の周辺に食べかすがあった、記憶にない、というのはノンレム睡眠時の夢遊病です。
レム睡眠時に起きるものとしては、睡眠マヒ(金縛り)とレム睡眠行動障害があります。身体は動ないが頭はしっかりしている。これが金縛りで浅い眠りのときに起きます。金縛りは頭と身体の関係が正常です。しかし、レム睡眠行動障害は、この頭と身体の関係が異常になります。頭が起きていて身体も動くのです。夢を見ながら行動に移すわけですので非常に危険です。ベッドから飛び出したり、げんこつを振り回したりします。刃物があればつかんで振り回します。レム睡眠行動障害は、中年~壮年にかけて発症します。
金縛りや夢遊病は治癒することが多いですが、レム睡眠行動障害はパーキンソン病やレビー小体型認知症に移行する可能性が高いので、注意深く経過を観察していないといけません。年を取ってきて「夢を見ながら暴れてしまう(行動してしまう)」というエピソードを聞いたら、認知症外来を勧めてあげてください。早期発見は認知症の進行を遅くすることができます。
睡眠異常については、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群などもありますが、それについてはまたビデオを改めます。
(参考文献)精神診療プラチナマニュアル(松崎朝樹)