お悩み相談室

ソレア心理カウンセリングセンター

2018.07.12 |こころの発達

成人期における親密さ~I remember you

I Remember You

作曲:Victor Schertzinger
作詞:Johnny Mercer


I remember you
You're the one who made
My dreams come true
A few kisses ago

I remember you
You're the one who said
I love you too
I do, didn't you know

I remember too
A distant bell
And stars that fell
Like rain out of the blue

When my life is through
And the angels ask me to recall
The thrill of them all
And I shall tell them I remember you



あなたを覚えてる
少し前のささやくようなキスで
私の夢を叶えてくれたたったひとりの人

あなたを覚えてる
「僕も愛してるよ」って
言ってくれたたったひとりの人
私も愛してる
分かってるでしょ?

遠くの鐘の音も覚えてる
夜空から雨のように落ちる星も

私の人生が終わるとき
一番のものは何かって天使に聞かれたら
あなたを覚えていることって答えるの


----------------------------------------


この歌には、成熟した大人の親密さが歌われています。
I remember you という英語は
あなたを忘れない、
あなたを思い出すなどにも訳せますが、
ここではあえて「あなたを覚えている」と直訳っぽく訳しています。

あなたを覚えているというのは、あなたを忘れないというよりもクールです。
ホットでウェットな感情が伝わりにくいかもしれません。

しかし親密さにはこのクールが効くのです。
映画カサブランカはキザな愛のセリフの宝庫ですが、
そういうことよりもあの映画に漂うクールさが大人の魅力を増しています。

カサブランカに登場するハンフリーボガードの演技はストイックなハードボイルドな男性の代名詞として扱われることが多いですが、ここではあえてクールと言う。

私は、ストイックと違う意味で「クール」を使っています。
ストイックは、やせ我慢が根底にありますが、クールは親密さが根底にあるのです。

やせ我慢しているうちは、我慢ですので、やっぱりそれが欲しい。相手のことが欲しくてたまらない。こころも身体も欲しい。それをあえて隠すわけです。世の中ではそれをカッコイイと呼ぶ。相手も欲望されているわけなので気持ちがいい。ここは少し共依存の匂いもします。でもこういう依存はいいのです。我慢しながら寄りかかる、そこには葛藤があるので恋愛依存とは呼べない。微妙な線ですが、これは健康的な依存です。葛藤がある場合は問題はないのです。

クールはその上を行く。冷たい印象です。まず自分で生きている。自分の時間を生きている。その中で相手のことを大事に思う。ハグしても相手にべったりと寄りかかることはない。常に自分を中心に意識している。そしてときどき相手へ関心を示す。相手が自分を必要とするなら身を投げ出す。それは相手に気に入られたいとう承認欲求から来ている行為ではなく、純粋に相手を思う気持ちから来ている。依存になってしまうと、私を認めてという欲求に突き動かされますが、クールは違うわけです。そういう欲求がなく動けることができる。だからすごく自由です。自由な愛の表現です。少し飽きたから相手から離れる。そういう選択肢もあるのです。この関係はデタッチメント、ディファレンシエイト(自己分化)という関係と同等のものです。

そして、「あなたを覚えている」。

これはあくまでも自分の人生を中心に考えています。こういうふうに言われて、ちょっと冷たいと感じて、あなたを忘れない、と言われたほうが嬉しいと思う人は、少し依存傾向があるかもしれません。


わたしたちの人生はさまざまな出会いによって翻弄(ほんろう)されます。パートナーになったり、ならなかったり。パートナーになれたから幸せだということでもありません。ひとりだって、やせ我慢でなく、幸せを感じている人は居るのです。結婚はしていても、別の人とこのようなクールな親密さを結ぶ方もいらっしゃるでしょう。それはとても幸せなことのように思います。一生のうちで「あなたを覚えている」と言える人と出会えるチャンスはそれほど多くはないと思うからです。


結婚という形は取らなくても、死ぬとき「あなたを覚えている」と呼べる人がいた。そのような幸せの中で死んでゆくこと。親密さを分かち合える人とは、どういうわけか一緒になれないことも多い。結婚という形を取れないこともある。親密さとは、社会的なこととは相性が悪かったりもするんですね。
ソレア心理カウンセリングセンター