自分が自分でないような気がする。(愛着障害)

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自分が変わってしまったようで、嬉しいとか哀しいという感情がなく、自分の体から魂が抜けたように感じる。

自分を他人と思ってしまい、ゼリーの中から外の世界を見ているようでもあり、周囲の感じがピンとこない。
映画を見ても面白くなく、本を読んでも興味がわかず、ご飯をたべても満腹感も味もなく、決断力もなく気力もない。

このように訴えがあるとき、離人症性障害といいます。DSM-5では、解離性障害の一つです。このグループには他に、解離性遁走、解離性健忘、解離性同一性障害(多重人格)、憑依、洗脳、ヒステリー性もうろう(ガンザー症候群)などがあります。

離人症は単独の症状として出現するばかりでなく、統合失調症、うつ病、不安障害(全般性不安障害、恐怖性障害)などの合併症として見られることも多くあります。特にうつ病の方は、この離人感を訴える人が多いです。しかし、躁病には離人感はまれなようです。

離人は、自我機能の障害に位置付けられます。

自我機能とは自尊心と関係が深く、カウンセリングによって、この自尊心が快復してくると症状もだんだんと取れてきます。

自尊心には、楽器が得意、ダンスが上手い、美人である、などの特異的な自尊心と、心理的健康を担う全体的自尊心の2つあります。心理療法ではこの全体的な自尊心を扱うわけですが、特異的な自尊心は全体的自尊心へ影響するので、特異的な自尊心をカウンセリングでサポートすることで心理的健康を快復させるようなこともやります。

自我機能についての障害には、次のようなものがあります。

(1)能動性意志の異常
離人症
させられ体験
(2)単一性意識の異常
二重自我
つきもの妄想(憑依)
(3)同一性意識の異常
解離性同一性障害(多重人格)

されられ体験とは、自分が電波やテレパシーによってあやつられているなどと体験することで、統合失調症に見られやすい症状です。

二重自我とは、別名ドッペンゲルガーとも言い、自分が二人居ると感じる体験です。考えていることが同時に声になったり、考えが同時に見えてきたりする知覚の異常もあります。

この症状は大きくわけて、①自分にもう一人の自分が姿として見える場合と、②目には見えないがもう一人の自分がいることに気づく場合があります。また、鏡に自分が映っているはずなのに自分の姿が見えないという鏡像喪失体験もあります。

これらの感覚・知覚の変容は、病態でなくても出現する可能性が高く、「正体不明の声が聞こえる」で詳しく述べることにします。

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